本記事では、愛艇Jeanneau Merry Fisher 895 Sportに導入したSeakeeper Rideについて、装着後約2週間乗り回して感じた効果をまとめたい。
以下は、私・理屈コネ太郎が自分の艇で実際に体験したことと、そこから考えた私自身の推測である。
プレジャーボート購入で後悔しないために|実体験から分かった4つの落とし穴と対策の記事でも書いたように、航行中の小型船舶の乗り心地は、いつも快適とは限らない。
海況によっては船体が海面をガンガン、ダンダンと叩き、その衝撃に初めて乗ったゲストが「船が壊れるのではないか」と驚くこともある。
船体は耐えても、その衝撃を受け続ける人間の身体と心理には疲労が蓄積する。
目的地へ着いたときにはすでに疲れてしまい、せっかく船で出掛けても遊ぶ体力が残っていない。
航行中の乗り味に自分自身が辟易したり、喜ばせようと思った家族やゲストが船を敬遠するようになったりして、次第に船から足が遠のく。
実際に船を所有してみると、それも十分あり得る話だと感じる。
波への当たりを柔らかくする船型を選ぶ方法もあるのだろう。
しかし、愛艇紹介のページで書いたように、室内空間や使い勝手を含めて私が船に求める条件を考えると、Merry Fisher 895 Sportは非常に気に入っている。
ならば、この艇のまま航行中の衝撃を減らしたい。
そんなときYouTubeでこの動画を見つけた。
その後、横浜のボートショーでSeakeeperの代理店と知り合う機会があり、思い切ってSeakeeper Rideを愛艇に装着することにした。
ファーストインプレッションは初乗りの印象に書いた。
今回は、その後約2週間、さまざまな条件で乗ってみて分かってきたことを整理する。
まず結論|Manualでも違い、Autoではさらに違う
約2週間乗って、特に印象に残ったのは次の二点だった。
1.Manualでも以前のトリムタブより乗り味が穏やかになった
Seakeeper RideをManualで使用すると、ブレード位置は操船者が設定した位置を基本として維持する。
この状態でも、以前装着していた通常のトリムタブと比べて、
- 揺れが少ない
- 海面を叩く回数が減る
- 着水時の衝撃が柔らかい
- プレーニングへの移行が早い
と感じる。
2.Autoにすると、さらに揺れと叩きが減る
Autoにすると、Rideが艇の動きに応じてブレードを自動的に制御する。
私の艇では、切り替えた瞬間に劇的な変化が現れるというより、何拍か、場合によっては数秒ほど走っているうちに、
「揺れが減ったな」「叩かなくなったな」
と感じ始める。
プレーニングへの移行もさらに素早く感じる。
総じてSeakeeper Rideは、私の艇ではかなり効果がある。
長時間航行での疲労が軽くなり、快適に維持できる速度が上がった。
そして何より、操船そのものが楽しくなった。
なぜManualでも以前のトリムタブより良く感じるのか
ここからは、私自身の推測である。
以前のトリムタブとSeakeeper Rideを、愛艇のスターンに取り付けた状態で見比べてみる。


見比べてわかるのは、Seakeeper Rideの方が横幅が長い事。そして部品と取り付け部位の剛性が高そうな事である(写真3)。

私は以前のトリムタブを装着した状態で、この艇を約一年半乗り回してきた。
その体感と、Seakeeper Ride装着後にManualで走ったときの感触はかなり違う。
Rideでは揺れが少なく、着水がマイルドで、プレーニングへの移行も早い。
私は、横方向の広さや構造の違いそのものが、Manualでの乗り味の違いにも関係しているのではないかと考えている。
つまり、Autoによる電子制御以前に、Rideのブレードそのものが船尾に与える作用が、以前のトリムタブとはかなり違うように感じるのである。
Autoにしても、私の艇では一瞬で劇的に変わるわけではない
YouTubeのデモ動画を見ると、AutoをONにした瞬間、ピッチングが劇的に小さくなる様子が分かる。
私も装着前は、同じような変化を想像していた。
しかしMerry Fisher 895 Sportでは、少し違った。
Autoにしてから何拍か、場合によっては数秒ほど走ったところで、
「揺れが少なくなった」「叩かなくなった」
と感じ始める。
Ride自体の制御が遅いという感覚ではない。
私自身が、艇全体の挙動が落ち着いたと感じるまでに少し時間がかかるのである。
その理由には、艇の重量や質量配分、特にバウ側の質量や慣性が関係しているのではないか、と私は考えている。
動画のデモ艇は、比較的軽量なセンターコンソール艇だ。
私のMerry Fisher 895 Sportはキャビンと居住設備を持ち、バウ側にも相応の質量がある。
動画の艇では、軽いバウの上下動が視覚的にも大きく、その動きがRideによって抑えられた瞬間の変化も分かりやすいのではないか。
一方、私の艇では変化の見え方がもっと穏やかだ。
短時間の試乗より、半日乗った方が違いが分かる
ここはSeakeeper Rideを検討している人に伝えたいところだ。
私の艇のような比較的重量のあるキャビン艇では、短時間の試乗でONとOFFを切り替えただけでは、
「思ったほど劇的ではないな」
と感じる人もいるかもしれない。
しかし半日から一日かけて海上を走り回ると、印象は大きく変わる。
あちこち移動し、さまざまな方向から波を受け、ときには速度を上げて走っていると、
「これは違う。かなり楽だ」
と実感する。
私自身、
RideをONにしなければ、この海面をこの速度で連続して走るのは苦行だな
と感じる場面に何度も遭遇した。
ON/OFFを数秒見比べるデモでは分かりにくい差が、数時間乗った後の身体にはかなり大きな違いとして現れる。
私にとってSeakeeper Rideの価値は、まさにそこにある。
幅の広いトリムタブだけでも乗り味は変わるのではないか
マリーナで陸置きされている船を眺めていると、多くの船外機艇にトリムタブが付いている。
Merry Fisher 895 Sportも、私の艇には納艇時からトリムタブを装着していた。
そうした一般的なトリムタブとRideを見比べているうちに、一つ考えるようになった。
もっと横幅が広く、十分な剛性を持ったトリムタブを使うだけでも、船外機艇の乗り味はかなり変わるのではないか。
プレーニングへの移行が早くなり、着水時の衝撃が少し穏やかになれば、それだけでも操船は楽しくなるはずだ。
もちろんSeakeeper Rideには、そこへAutoによる高速な電子制御が加わる。
私の艇で感じるRideの良さは、Manualでも感じる基本的な乗り味の変化と、Autoで加わる動的な姿勢制御の両方から生まれているように思う。
Seakeeper Rideを装着して、速く走ることが楽になった
私の場合、Seakeeper Rideを装着したことで、同じような海況でも快適に維持できる速度が上がった。
そして揺れや叩きが減ることで、高い速度を維持することへの心理的な負担も小さくなった。
結果として、操船する歓びそのものが増えた。
全てを後ろに置き去りにするようなスピードには恐怖もある。
しかし同時に、海面を滑るように遠くへ進んでいく感覚には、何とも言えない甘美さがある。
その時間を、以前より穏やかな船体で楽しめる。
それが私にとって、Seakeeper Rideを装着した大きな意味だった。
結論|装着して良かった
装着後約2週間乗ってみて、Seakeeper Rideは私のMerry Fisher 895 Sportで明確な効果を感じられる装備だった。
Manualでも以前のトリムタブとは乗り味が違い、Autoにするとさらに揺れや叩きが減る。
軽量艇のデモ動画のような瞬間的な劇的変化よりも、長く走ったときの快適さと疲労の違いとして、その価値がはっきり分かる。
海上を長時間走り、ときには速度を上げて楽しみたい私にとって、この効果は非常に大きい。
Seakeeper Rideを愛艇に導入して良かったと、海上を走るたびに感じている。
もし今後、新しい船へ乗り換える機会に恵まれたなら、その艇にも最初からSeakeeper Rideを装着したい。
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