横グリップ限界を学ぶサーキット練習法 ☆ 通常走行で旋回区間に集中する

サーキットのコーナーで旋回中、アクセルワークによって横グリップを限界手前まで使って走行するスポーツカーの後方イメージ
旋回中のアクセルワークによって、横グリップを限界の一歩手前で維持する練習が重要になる。

本記事の目的は、通常のサーキット走行の中で、タイヤの横グリップ限界を身体で理解するための練習方法を整理することです。

サーキットでは、

  • ブレーキング
  • ターンイン
  • ライン取り
  • 舵角
  • アクセル
  • 荷重移動

が連続して変化します。

横グリップを集中的に練習するときは、毎周の進入条件をできるだけそろえ、旋回区間を一つの学習対象として切り出します。

ここでいう横グリップ練習とは、旋回中にアクセルによる縦方向の力も小さく変化させながら、タイヤに残る余裕と旋回限界へ移る境界を読む練習です。

そこで観察するのは、

  • 旋回速度
  • アクセルの微調整
  • 舵角
  • フロントとリアの反応

です。

目標は、アンダーステアやオーバーステアへ移行し始める境界を感じ取り、その手前の領域を再現できるようになることです。


通常のコーナーを横グリップ練習の場にする

本記事が想定するのは、通常のサーキット走行枠でコース上のコーナーを使って練習する場面です。

一つのコーナーへ毎周できるだけ同じ条件で入ります。

たとえば、

  • 同じ位置から減速を始める
  • 同じ程度まで速度を落とす
  • 同じ位置からターンインする
  • 同じラインで旋回へ入る

という条件をそろえます。

こうすると、旋回中に速度やアクセルを少し変えた結果を、クルマの挙動として比較しやすくなります。

通常のコーナーの中に、横グリップを観察する区間を作る。

これが、この練習の基本です。


進入は毎周の条件をそろえる工程

横グリップを練習するときは、ストレートエンドで余裕を持って減速し、姿勢を整えて旋回へ入ります。

ここで重視するのは、

毎周ほぼ同じ状態から旋回を始めること

です。

ブレーキングポイントや制動量が変われば、ターンイン時の速度や前後荷重も変わります。

進入条件をそろえることで、旋回中に現れた変化を、

  • 速度
  • アクセル
  • 舵角

との関係として比較しやすくなります。

一つのコーナーを、毎周ほぼ同じ初期条件から始まる実験として使うイメージです。

比較しやすい周を選び、前走車との間隔、路面状態、タイヤの状態が近い条件で反復すると、入力と挙動の関係を読み取りやすくなります。


横グリップ練習の中心は旋回区間にある

旋回へ入ったら、狙ったラインを走るための基本舵角を作ります。

そこから速度やアクセルを少しずつ変えます。

旋回速度が高まるにつれて、タイヤが発生する横力も大きくなります。

やがてフロントまたはリアのどちらかが限界へ近づきます。

その過程で、

  • ステアリングの手応え
  • ラインの膨らみ方
  • ノーズの入り方
  • リアの動き
  • アクセルに対する姿勢変化

を毎周比較します。

限界へ近づく途中で現れる小さな変化を読めるようになることが、この練習の中心です。


アクセルを小さく動かして姿勢変化を覚える

旋回中にアクセルを動かすと、前後荷重と駆動輪が使うタイヤ力が変化します。

アクセルを少し増やす。

少し戻す。

そのときクルマの姿勢がどう変化するかを観察します。

FFでは、前輪が操舵と駆動の双方を担当します。

FRでは、アクセルによって後輪が使う縦方向の力が変化します。

4WDでは、前後駆動力配分やデフの特性も反応に影響します。

この練習で身体に覚えさせるのは、アクセルの微小な変化に対する自分のクルマ固有の反応です。

同じアクセル操作でも、駆動方式、前後荷重配分、LSD、電子制御、タイヤによって姿勢変化は異なります。


舵角は基準を作り、小さく修正する

ステアリングは旋回を作る主要な入力です。

まず狙ったラインを走るための基本舵角を作ります。

そのうえで、クルマの姿勢変化に応じて必要な量だけ修正します。

基本舵角が安定しているほど、速度やアクセルを変えた結果が読み取りやすくなります。

そこで、

基本舵角を基準にする → 速度やアクセルを変える → 挙動を見る → 必要量だけ舵角を修正する

という順番で走ります。

この反復によって、タイヤの横力とステアリング操作の関係も見えてきます。


アンダーステアへ移る境界を覚える

旋回速度が上がるにつれて、フロントタイヤが使う横力も増えていきます。

フロント側が限界へ近づくと、狙ったラインより外側へ膨らむ傾向が現れます。

そのときの、

  • 速度
  • 舵角
  • アクセル位置
  • ステアリングの感触
  • クルマの進行方向

を覚えます。

同じ変化を何度か経験すると、フロントタイヤが限界へ近づく過程が感覚として分かってきます。


オーバーステアへ移る境界を覚える

リア側の横力余裕が小さくなると、ヨーが増え、リアの動きが大きくなり始めます。

狙ったラインに対してノーズが内側へ向き始め、基本舵角を少し戻したくなるような変化も現れます。

ここでは、

  • リアの接地感
  • ノーズの向きの変わり方
  • アクセルに対する反応
  • 必要になる舵角修正

を覚えます。

目標にするのは、リアが限界へ近づく初期の変化を感じ取ることです。

フロントとリアのどちらが先に限界へ近づくのかが分かると、そのクルマの旋回特性も見えてきます。


一度に一つの条件を変える

毎周の比較では、変更する条件を一つに絞ると入力と挙動の関係が見えやすくなります。

ある周では、旋回速度を少し変える。

次の周では、アクセルを入れる量を少し変える。

別の周では、アクセルを戻す量を変える。

こうして一つずつ条件を動かすと、

何を変えたら、クルマがどう変わったのか

を整理できます。

一つのコーナーで同じ比較を繰り返すこと自体が、この練習の教材になります。


横グリップが分かったら制動から旋回へつなぐ

旋回区間で横グリップ限界とアクセルによる姿勢変化が分かってきたら、次にブレーキングから旋回へのつながりを練習します。

ここでトレイルブレーキを加えます。

ブレーキングからターンインへ入り、舵角が増えるにつれてブレーキを徐々に緩めることで、タイヤが使う力を、

制動方向 → 制動+旋回 → 旋回方向

へつないでいきます。

旋回中の横グリップ感覚を持っていると、制動を残したことで前後タイヤの余裕がどう変化したのかも把握しやすくなります。


さらに旋回から加速へつなぐ

コーナー後半では、旋回に使っていたタイヤの能力を徐々に加速方向へ移します。

ステアリングを戻しながらアクセルを増やし、

旋回方向 → 旋回+加速 → 加速方向

へタイヤの仕事をつないでいきます。

こうして、

  • ブレーキング
  • ターンイン
  • 旋回
  • コーナー脱出

が一つの連続した操作になっていきます。

旋回区間で横グリップの感覚を作っておくと、その前後にある制動と加速も整理しやすくなります。


私自身も「ブレーキで曲げる」を整理し直した

私は以前、「ブレーキで曲げる」という感覚と、横グリップを使う練習を同じ段階で考えていました。

現在は、

まず通常のコーナーで進入条件をそろえ、旋回中の横グリップ限界を覚える。

その次に、

ブレーキングから旋回へタイヤの能力をつなぐ。

という順番で考えています。

私自身、進入でフロント荷重を作ることへ意識が集中すると、旋回中のタイヤの状態を見る意識が薄くなっていました。

旋回区間を切り出して練習すると、トレイルブレーキも制動から旋回へタイヤの能力をつなぐ操作として理解しやすくなります。


まとめ|通常のコーナーで旋回区間を切り出す

通常のサーキット走行で横グリップ限界を学ぶときは、

  • 毎周の進入条件をそろえる
  • 旋回ラインをそろえる
  • 基本舵角を作る
  • 速度やアクセルを一つずつ変える
  • アンダーステアとオーバーステアへ移る境界を感じる
  • 必要な舵角修正を小さく行う

という方法で、一つのコーナーを繰り返し使います。

ここで身につけるのは、自分のクルマが旋回限界へ近づいたときに出す変化を読む能力です。

その感覚を土台に、

  • トレイルブレーキで制動から旋回へつなぐ
  • コーナー出口で旋回から加速へつなぐ
  • ブレーキングポイントを奥へ移す
  • ライン取りを磨く

という課題へ進みます。

通常のサーキット走行でも、進入条件をそろえれば、一つのコーナーを横グリップの教材として使えます。

旋回区間だけを切り出して反復する。

それが、タイヤの横グリップ限界を身体で覚えるための練習法だと考えています。


他の記事への移動は下記をクリック

作成者: 理屈コネ太郎

元消化器内視鏡医・産業医。現在は社会・人間行動・構造分析をテーマに執筆活動を行う。定年退職後はヨット・ボート・クルマなど趣味と構造研究の日々を過ごす。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です