女系天皇の問題点、女性天皇の問題点、わかりやすく解説

女系天皇と女性天皇の違いについては『女系天皇と女性天皇の違い』のページに纏めたので、是非参照して下さい。本ページでは、女系天皇や女性天皇がどのような存在かを理解した前提で、何が問題になり得るのか…についてわかりやすく解説します。本ページの既述はわたし理屈コネ太郎の管見内の独断と偏見による私見とご銘記のうえ読み進めて下さい。また、日本における天皇の歴史的な意味や記号性についてはコチラの記事を参照して下さい。

Contents

●女系天皇の問題点

女系天皇の第一の問題点は、ずばり日本史上に女系天皇は1人もいないという事実です。2千年以上続く天皇の系譜に女系天皇は1人もいません。

だから、女系天皇が今後日本に現れるとしたら、この歴史以上の重さを持った理由(皇統を継げる男系男子が1人も存在しない…とか)なり大義(ちょっと思いつきません)なりが必要です。

つまり女系天皇という概念は、これまでの天皇という概念の定義を変更する事なのです。

もちろん男女平等や男女共同参画、女性の生きやすさ、などのごく最近の思想や考え方では2千年の歴史には太刀打ちできません。

女系天皇の第二の問題点は、世界史的な観点で見ると王朝が交代した事を意味する点です。原理的に女系天皇の父は皇統の系譜外からの人物です(皇統の系譜内の男系男子であれば女系天皇ではありません)。既述した第一の問題点に戻ってしまいますが、日本史上、王朝が他家に交代した事はありません。

天皇には名字がないので私たちは普段は意識しませんが、歴代天皇はずっとひとつの家系なのです。

欧州では、王朝が他家に移行する事はわりと起こる事で、王族ネットワークと呼ばれる親戚関係が構築されています。欧州の人々は自国の王朝や王族の血筋には、欧州ネットワークの中においてはわりと寛容なようですが、日本にはこうした歴史は全くありません。つまり、欧州と日本とでは全く話が違うのです。

余談ですが、欧州の王室関係者や王室ウォッチャーの視点では、日本の世界最長を誇る皇統は羨望のまとです。

さて次に女性天皇の問題点にうつります。

 

●女性天皇の問題点

女性天皇の問題点は、とにもかくにも心配事の多さです。たとえば婚姻を例に挙げて考えてみましょう。いま仮に、天皇の娘(すなわち男系女子)が女性天皇に即位したとします。この女性がもし他国の男性、あるいは日本人だけど素行や背景に懸念がある人物と恋に落ちたら、日本国民はどう感じるでしょうか?

かつての日本であれば、それは許されない恋でした。実際、これまでの8人10代の女性天皇はいずれも未婚か、子を産んでいません。

しかし現代の世の中で、人を好きになる感情を押さえるべきだ…と考えるひとは少数派でしょう。殆どの日本国民は好きになっちゃったのなら仕方ないねえ…と感じると思います。

そういうわけで、この女性天皇が他国の男性や懸念ある日本人と恋におちて結婚し、話を簡単にするために男子を出産したとしましょう。そしてもし、夫となった他国の男性が、日本と歴史的に複雑な関係を持った国出身、例えば朝鮮半島出身者であったり、中国大陸出身者であったり、ロシア出身者である場合、日本国民はその子を次ぎの天皇として心穏やかに受け入れる事が出来るでしょうか?

あるいは日本人と外見がかなり異なる人物、たとえばアフリカ系や北欧系の人物であったらどうでしょう?

これは、差別や偏見などという問題ではありません。ましてや思想やイデオロギーとは無関係な、素直な人間の心の機微の問題であり、国民感情の問題です。制度は差別的であってはなりませんが、制度を支える「共感」の基盤は理性のみでは成立しないのも事実です。

こうした状況(男系の女性天皇が男子を生んだ場合)になった場合、これまでの男系男子による皇統維持の歴史に則るべきだとして、すでに皇籍を離れて民間人である男系男子の中から適切な人物を次の天皇にいただくべきだと主張する人々との対立も生まれかねません。

皇籍を離れた民間の男系男子が天皇に即位したケースは日本史上に確実に1人は詳細は文末の注釈※印参照存在しているので、皇統維持のために民間人であっても男系男子が即位すべしとの主張は、論理的にも歴史的にも極めて整合性が高いのです。

そうなると、「女性天皇の息子である女系男子」と「民間人である男系男子」のどちらを天皇にいただくかをめぐって、日本は国を割った議論をする事になるかも知れません。

直感的理解では女性天皇の息子が天皇に即位できないのは不条理に思えます。しかし、歴史的論理的には女系男子が天皇に即位できないのは当然なのです。

直感的理解と、歴史論理的理解とで、国論を二分してしまう。なんとも不幸な状況ではありませんか?もしかしたら、こういう不幸な状況を作り出すために、外国の工作が行われるかもしれません。その点も心配です。

 

●日本の歴史を見てみれば

このような諸問題を回避するために、皇統継承可能な男系男子が1人でも生存する限りは女系天皇の可能性を容認せず、男系男子のみによる皇統維持を貫いてきたのが、既述した通り、日本の歴史なのです。女性天皇は8人、10代を数えるのみで、これら女性天皇は未婚か子をもうけない生き方をしました。そしていずれも、ピンチヒッター的な天皇でした。これは間違いなく先人の知恵です。

女系天皇や女性天皇について考えるとき大切なのは、自分がどう思うか…ではなく、国民がどう感じるかが、という視点です。国民感情を考えると、国家存亡に関する特段の問題がない限り、「これまで通り」が一番多くの国民が納得する最も穏健な方法ですから。

 

●女系天皇は歴史的ムリ筋だし、女性天皇は心配ごと多いし…

女性天皇や女系天皇の議論は、この世に皇統に連なる男系男子が1人も存在しなくなった時に初めて俎上に乗り得るかもしれませんが、そのような場合には、むしろ天皇という概念そのものを過去のものとし、我が国は共和制に移行するのが自然かもしれません。

以上、女系天皇や女性天皇の何が問題なのかを、還暦元医師の理屈コネ太郎の浅薄な私見を述べてみました。

どなたかの参考になれば幸甚これに勝るものはありません。

それから、もし読者が女系天皇や女性天皇を認めるべきであると主張する政治家、政治家でなくても良いですが、に出会ったら、その人が日本に女系天皇はこれまでの1人も存在しないこととその理由を知って言うかどうかを穏やかに確認してみて下さい。その人に十分な知識があるのかないのか、ハナシはそこからです。

※光格天皇(在位1779年〜1817年)は、父である閑院宮典仁親王が一時皇籍を離れ、民間の公家として生活していた時期に生まれた男系男子である。後桃園天皇の崩御により直系男子が絶えたため、傍系の男系男子として皇籍に復帰し、天皇に即位した。この経緯は、歴史上唯一、一度皇籍を離れた民間出身の男系男子が天皇に即位した例である。

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4件のコメント

  1. 「女系天皇などありえない」

    大戦後の1946年、GHQは天皇の人間宣言を発表し、天皇の「現人神」という認識は排除され、 初代の神武天皇から約2600年続く紀元節を廃止しました。 戦後教育からは日本の礎である皇室が排除されました。 しかし皇統は残り、国は1966年に2月11日を「建国記念の日」としました。 初代天皇として神武天皇が即位した日が日本国の建国のルーツです。 神武天皇は神の御霊(みたま: Y遺伝子のこと)を授かった現人神です。 天皇家の親族は、神の子孫であることの証に競って古墳を作りました。これが大和朝廷の基盤となります。 126代続く天皇家は男系男子の万世一系で皇統を繋ぎました。 これが日本国の礎 (Identity)となっています。 女性は子供を産み、男性は御霊を繋ぐという役を担っています。 男女の役割分担が対等なうえで、「女系天皇などありえない」ことが解ります。 神の御霊を持たないからです。皇統が途切れるときは日本国がその礎を失うときです。 神武天皇の建国精神に「八紘一宇」があります。その意味は、日本人はみな家族であるからして、 互いに争う事は止めるべきである。ひとつの家族のように仲よくしよう。 これが日本人の心のルーツ:和の精神性です。 戦後80年。日本人は日本のルーツを取り戻す必要があります。

    万世一系とは: 女性は子供を産み、男性は御霊(みたま:Y遺伝子のこと)を繋ぐ、という役割分担で生じる万世に繋がる「男系の血筋」のこと
    皇統とは: 天皇の血筋を男系男子で繋ぐ「万世一系」のこと 
    日本とは: 天皇が「皇統」を繋いで知らす国のこと

    1. コメントありがとうございます。女系天皇はあり得ないとのお考え、その通りだと思います。これまで通り、男系男子による皇統維持が一番自然で合理的で、国民感情に沿うと思います。

      今後ともよろしくお願いします。

      1. 皇統を定義するときに、なぜ男系男子でないといけないか、と問われることがあります。竹田恒泰さんは、女系天皇はかつて一度も前例がないと説明しますが、前例がないだけでは納得できない人は多いでしょう。一番自然で合理的という説明も説得力がありません。しかし、「女系天皇は神の御霊を持たないからです。」との説明は神道や日本神話、日本国のルーツを勉強したことのある人には説得力があります。残念なことに、これらは戦後GHQにより日本人教育から排除されたので、若い人は日本のルーツや皇統に無関心だし関係ないと思っています。だからアンケート調査などをやると女性・女系天皇容認が多数を占めてしまいます。女性・女系の違いも分かっていない人たちを極左が扇動しているとしか思えません。

        1. 理解や納得の仕方は人それぞれであるし、造詣の深い人も浅い人も同じ一票ですから、なかなか切ないのが実情ですね。

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