職場で上司に怒られた。でも、なぜなのか自分ではよくわからない。
言い返すわけにもいかず、納得もできず、ただ悔しい気持ちだけが残っている──
この記事は、私の産業医としての知見を全て投入して、そんなふうに感じているあなたのために書きました。あなたの今後の成長に糧になれば幸いです。
Contents
怒られた「内容」と「言われ方」は分けて考える
怒られた経験は、大きく2つの側面に分かれます。
ひとつは何を言われたか(内容)、もうひとつはどう言われたか(言われ方)です。
この2つをごちゃまぜにしたままだと、「自分が悪い」と一方的に押し付けられたことになってしまい、気持ちの整理がつきません。
まずは、「自分が言われた内容」と「上司の感情表現」を分けて見てみましょう。あなたは言われた内容より、言われ方に不快を感じ、納得できていないのだと思います。
たとえば、「報告が遅れた」という事実があっても、それと「怒鳴られた」り「人前で叱られた」とは別の問題です。ここでは、上司が怒った事だけについて考えてみましょう。
怒りには“背景”がある
上司の怒りには、あなたが見えていない背景があることも少なくありません。
上司が未熟だったり、機嫌が悪かったり、職場の空気が悪かったり──あなたのミスや間違いとは直接関係のないことが、怒りの本当の原因になっている場合もあります。あなたのミスは単なる発火点だけかも。
もちろん、それで上司が部下に感情をぶつけていい理由にはなりません。職場は感情、特に怒りの感情を表現してはいけない場所なのです。
ただ“あなたのミスや間違い”だけでは説明できない要素があることを知っておくと、少しだけ落ち着いて考えられるかもしれません。そして、その要素はあなたにはどうしようもない要素なのですが、その要素を知っておくと「怒られたけどどうしたらいいか分からない」状況ではなく、もしかしたら「怒られずに済む別の方法があったかも」と考えられるようになるかもしれません。
つまり、地雷の解除や摘除は出来ないが、地雷のありそうな場所を知っていれば地雷の回避できるようになるのです。
同じように、上司が抱えている問題の在り方を少しでも知っていれば、上司の怒りの誘発をさけられるのです。
怒られにくい人が自然とやっていること
職場にあまり叱られない人っていませんか?
「あの人はあまり怒られないよな」と感じる同僚がいるはずです。
そうした人たちは、場の空気を読むというより、「上司が抱えていそうな問題のパターン」あるいは「人が怒りそうな状況のパターン」知っていてそれを回避するのが上手なのだとしたらどうでしょう。
たとえば、
忙しそうなときに話しかけない
メモを取りながら聞く(そのメモをきちんと復習する)
「確認したいことが3点あります」と最初に要件を整理して話す
など、小さな気遣いが相手の感情の起伏を和らげているのです。
あなたの努力がゼロになるわけではない
怒られたからといって、あなたの努力が無駄になるわけではありません。
いま大切なのは、「理不尽や納得できないけど自分を押さえること」ではなく、「理不尽な状況でも自分の考えを保ちつつ、次に活かせる視点を持つこと」です。
自分を責めすぎず、相手を悪者にしすぎず。
その両方を避けながら、「次にどうしたら怒られずに済むか?」を少しだけ考えてみる。
それは、自分の心を守り成長するための、ちょっとした知恵です。以下の関連記事に、そうした“知恵のタネ”になりそうなことをまとめています。
関連記事:
👉 叱責と指導の違いとは?怒りと未熟さが生む職場の危機
👉 怒られやすい人の行動パターン|叱責を引き寄せない5つの習慣
怒られた理由がわからない、納得いかない。
でも、わからないままモヤモヤを無理に抑え込んで過ごすよりも(モヤモヤを無理に抑え込むのは、精神的にも肉体的にも有害です)、いったん立ち止まって考えてみることは、きっとあなたにとって意味のある経験になると思います。
この記事が、そのきっかけになれたら嬉しいです。