値段を知って「うわ、高っ!」と口走る人についての考察|未来の見積もりとお金の余裕

値段を知って「うわ、高っ!」と口走る人についての考察|未来の見積もりとお金の余裕
値段を知って「うわ、高っ!」と口走る人についての考察|未来の見積もりとお金の余裕

買い物の場で値札を見て「うわ、高っ!」と反射的に口にする人がいます。単なる驚きの一言に見えて、実はその人の経済状況や未来への信頼の度合いが透けて見えるのではないか──そんな観察から本稿を綴ります。


Contents

1. はじめに

買い物の場面で、誰かが値札を見て「うわ、高っ!」と反射的に口走ることがあります。日常の一コマのように思えますが、この言葉には単なる驚き以上の意味が潜んでいると私は感じます。

「高い」と言うとき、人は自分の経済的な余裕と、自分の未来をどのように見ているかを同時に表しているのではないでしょうか。本稿では、値段を知って「うわ、高っ!」と口走る人について、私なりの観察と考えを綴ります。


2. 市場価格と自分の判断

広くマーケットで売買されている商品は、需要と供給で価格付けされているので、その商品がそれなりに売れているのであれば、その価格はそれなりに適正であると言えるでしょう。

しかし、市場的な価格が適正であっても、その商品を自分が買うかどうかは、まったく別の問題です。
それは次の三つの要素のバランスで決まるのではないでしょうか。

2-1. 自分の未来のチャンスをどう見積もるか

存在するかどうかも、大きさも分からない未来のチャンス。そのチャンスに、その商品を手にすることで応じられることがあります。どんなチャンスかは後ほど具体例を挙げますが、この見積もりを小さくしてしまえば、「自分には不要」と判断してしまうでしょう。

2-2. そのチャンスを自分が活かせるかどうか

チャンスを大きいと見積もっても、「自分には活かせない」と思えば支払いの動機は生まれません。
ここには、自分の力量に対する自信の程度が反映されます。

2-3. 経済的な余裕があるかどうか

チャンスを小さく見積もっても、あるいは活かせる自信が乏しくても、十分な経済的余裕があれば、とりあえず気軽に購入して備えることはできます。
現時点での余裕の有無が、未来のチャンスに備える最後の一押しになるのです。

「高い」と口走る人は、①のチャンスを小さく見積もってしまったり、②に挑む自信がなかったり、③に十分な経済的余裕がないのかもしれません。


3. 「投資」としての支出

何かを買うとき、支払ったお金は単なる浪費で終わるかもしれません。けれども、ときにそれは「投資」としての意味を持ちます。

たとえばカメラを買う。

  • もしかしたらすぐに飽きてしまい、費用は浪費となってしまう。

  • しかし、もし写真にのめり込み、表現や交流の世界が広がって、最初の出費は小さな入口料にすぎなかったと感じるでしょう。

具体的には、撮った作品が展覧会に入選するかもしれません。SNSを通じて多くの人に届き、写真をきっかけにした新しい友人関係が生まれるかもしれません。あるいは、本格的に学んでプロ写真家として活動する未来につながることもあるでしょう。

同じことは釣り道具にも言えます。とりあえず一式を揃えておいたからこそ、友人たちとの釣行でたまたまその海域一番の大物を釣り上げる、そんな出来事に出会えることもあるのです。道具がなければ、その場にいてもチャンスは素通りしていきます。

だからこそ大切なのは、存在するかどうかも、大きさも分からない自分の未来のチャンスに、どれだけ気軽に備えられるか。その心構えがなければ、支払いが浪費になることばかりを恐れて、結局は投資の機会を逃してしまうのです。


4. 「高い」と口走る背景

「高い」と言ってしまう心理には、いくつかの層があるように思います。

「自分ならもっと廉価に入手できる」
「そんな割高なものは買わない」

こうした言葉の背後には、「自分は市場より賢く立ち回れる」という意識が潜んでいる場合もあります。

しかし、その「自分ならもっと上手くやれる」という意識の根底には、実は「市場価格を超えるだけのチャンスを自分の未来に見ていないか、チャンスを見ていても活かせる自信がない」という覚悟のなさが隠れているのではないか…と私はそう感じます。


5. まとめ ─ 値札を見る目は自分を見る目

結局のところ、値段に対する反応は、その人の現在の経済状況と未来の自分への信頼を映す鏡です。

「高い」と反射的に口走るのか、あるいは「これでどんなチャンスに備えられる」と考えるのか。その違いが、その人の価値観を鮮やかに映し出しているのだと思います。

消費か、それともチャンスに備えて未来を広げるための投資か。
値札を見て心に浮かぶ言葉は、その人が自分自身をどう見ているかを静かに物語っているのです。

そして、この視点を持てば、値段との付き合い方も少し変わるかもしれません。


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