本稿ではアメ車が日本で売れない理由を理屈コネ太郎の管見内の独断と偏見による私見を述べたい。情報収集には細心を注意を払ったつもりだが、私の能力不足故に間違いをおかしているかもしれないが、その点はご容赦願いたい。
「アメリカ車は大きすぎるから売れない」「トラブルが多いから買う人がいない」
ちう意見は、日本の自動車ファンの間でしばしば語られる。しかし、これは本質を突いているようで、核心を見落としている。
為替相場とは無関係にアメ車が日本市場で売れないのは、アメリカの現代の自動車メーカーが日本市場に適応しようとしていないからである。そして、その理由は単純で合理的だ。
アメ車は元来、米国の“非都市部”での使用を想定して設計されており、日本車や日本市場と勝負する気がそもそもない。この前提を理解しないと、アメ車の本当の姿は見えてこない。
Contents
✅ アメ車が日本市場を重視しない理由
① 過去の海外展開は「不適合」により失敗
アメリカの自動車メーカーはかつて、ヨーロッパやアジア市場への進出を試みた。
しかし、米国の非都市部に近い交通環境を持つ国は極めて少なかった。
道路が狭く、車体サイズに制限がある
燃料コストが高く、排出規制も厳しい
小型で燃費の良い車を求める文化
こうした環境では、米国のフルサイズSUVやピックアップは“場違い”だった。結果、多くの国で販売不振に終わり、撤退を余儀なくされた。
② 米国国内で、十分すぎるほどの利潤を得ている
ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、ステランティス(旧クライスラー)のいわゆる「ビッグスリー」は、ほぼすべての利益を米国市場から得ている。
GMの営業利益:約21.9億ドル
フォードの営業利益:約10.3億ドル
ステランティスの営業利益:約194億ドル(北米比率 約50%)
一方、トヨタの北米営業利益は約35億ドルで、全社営業利益の10%程度に過ぎない。
つまり、米国の自動車メーカーは“米国だけ”でトヨタの北米売上に匹敵する利益を上げているという構造にある。
③ 米国の株主構造が、再海外進出のような長期投資を許容しない
米国企業は四半期ごとの業績評価が非常に厳しく、投資の回収に時間がかかる事業(=海外市場開拓)には消極的にならざるを得ない。
新たな法規制対応
右ハンドル仕様の開発
狭路地対応車体の新設計
現地販売網の整備とサービス構築
これらには最低5〜10年単位の投資が必要だが、株主は短期の利益を求める。結果として、「やらない」のではなく、「合理的に選ばれていない」だけなのだ。
✅ 米国非都市部が求める車の特性
では、アメ車が想定している「米国非都市部」とは、どのような環境か?
そして、そこではどんな車が求められているのか?
使用環境の特徴:
DIY文化と修理拠点の分布
自宅での整備や町工場での修理が一般的
修理可能性=耐用年数とコスト管理に直結
燃料が安価かつ給油所が豊富
ガソリン価格が日本の半額以下
航続距離より、積載・牽引能力が優先される
道路が広く、車両サイズに制限がない
ピックアップやフルサイズSUVでも運転・駐車が可能
そこで求められる車の性能:
故障時に“直せる”構造
パーツの互換性、エンジンの整備性が重視される
大トルク・高出力
トレーラー牽引や資材運搬など、仕事の道具として機能することが必須
剛性と耐久性
過酷な環境でも20万マイル以上走行できる頑丈さが求められる
✅ 日本市場とは、根本的に“土俵が違う”
日本は:
狭路が多く、小型車が必須
燃料が高価で、燃費性能が評価される
整備や修理はプロ任せ、DIY文化は稀
車は「壊れない」「静か」「清潔」であることが前提
このような環境で、米国非都市部仕様のアメ車が“そのまま”通用するわけがない。
✅ 結論:米国車は「売れるはずがない」のではなく、「売る気がないだけ」
アメ車は、「日本で売れない」のではない。
アメリカの非都市部という特定の市場に向けて最適化された製品であり、
日本のような市場で売ろうとすらしていない。
それは、
過去の教訓に基づいた撤退の判断であり、
米国市場での十分な利益による満足であり、
長期投資を株主が支持しない構造による、合理的な経営判断である。
だからこそ、米国車が日本で売れない理由を「製品の質」や「技術者のレベル」に求めるのは、大変に不見識な誤解であり、米国労働者に失礼だなあ…と理屈コネ太郎は思っている。
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