学資保険・積立保険・終身保険を私が買わない理由をファクトベースで解説

「WHY MIXED INSURANCE PRODUCTS DON’T WORK」という英文タイトルと、保険証書・銀行・下降グラフ・悲しげな貯金箱が黒線で描かれたミニマルなイラスト。投資と保険の混合商品が非効率であることを象徴する構図。
学資保険・積立保険・終身保険を私が買わない理由をファクトベースで解説

Contents

序章:長期資産形成の視点では、この3つの保険は選ばない

長期的な資産形成を前提にすると、学資保険・積立保険・終身保険は、私にとって購入すべき商品ではありません。

理由は明快で、
3者に共通する「投資と保険の混合商品としての構造的問題」と、
3者がそれぞれ抱える「独自の問題点」
の両方が、

これらの保険商品を割高にしており資産形成という目的と相性が悪いからです。

本記事では、私がこれら3つの保険商品を選ばない理由を、
制度構造と金融の原則に基づきファクトベースで説明します。

結論はあくまで私の合理的判断であり、読者への押しつけではありません。
ただし判断基準だけは明確にお伝えしたいと思います。


第1章 3者共通の構造的問題|金融の原則

まず 投資と保険は商品構成の原理が異なるもの であることを理解する必要があります。ここでは、投資と保険の原理的な違いをまとめ、学資保険・積立型保険・終身保険に共通する構造的問題を理解する手がかりをしめします。

1-1 投資の本質:リターンを得るために、自分が取るリスクを分散する行為

投資とは、
将来のリターンを得るために、自分が引き受けるリスクを分散させる行為
です。

1つの企業、1つの業界、1つの国に集中するリスク(個別リスク)を分散し、
長期で市場全体の成長を取り込みます。

投資の構造はシンプルです。

  • 市場全体のリスクは引き受ける(リターンの源泉)

  • 個別リスクは分散してヘッジする

これは“自分自身が引き受けるリスク”を最適化する行為です。


1-2 保険の本質:破滅リスクを、多人数で分担して小さくする仕組み

保険とは、
個人では支えきれない破滅的損失を、多くの加入者で分担して軽くする仕組み
です。

火災、死亡、賠償責任、就業不能など、
個人で背負えば人生が崩れる損失を、
“みんなで分ける”ことで成り立っています。

保険を一文で言えば、

個人が引き受けきれないリスク(破滅リスク)を他人数で引き受ける仕組み

です。


1-3 投資と保険は“分散”の意味がまったく違う

  • 投資の分散:自分が引き受けるリスクの総量を減らすための手法(リスクは最終的に自分が引き受ける)

  • 保険の分散:個人の破滅リスクを多人数で薄めるための仕組み(リスクは最終的に多人数が引き受ける)

同じ「分散」という言葉を使っていても、リスクを最終的に誰が引き受けるかで、投資と保険は目的も構造も本質的に別物 です。当然、どのように分散するかを決定する理論も数学式も違います。


1-4 だから投資と保険をひとつに混ぜると必ず非効率になる

投資はリスクを取りに行く行為。
保険はリスクを消すための仕組み。

逆向きの機能を、1つの商品で同時に満たそうとすると、

  • 投資の効率が落ちる

  • 保険の保障も弱くなる

  • コストが二重になる

  • 流動性が下がる

  • 透明性が消える

という 構造的な非効率 が発生します。

学資保険・積立保険・終身保険が“悪いところ取り”になる根本原因はここにあります。


第2章 3者に共通する「投資と保険の混合商品としての構造」を理解する

ここでは、3つの商品がどのように“投資と保険を混ぜ込んだ商品”になっているのかを明確にします。

2-1 「保障(保険)+貯蓄(投資)」の2層構造を持つ

学資保険
積立保険
終身保険

名前は違っても、内部構造は非常に似ています。

  • 保険料の一部 → 保険(死亡・入院など)

  • 保険料の一部 → 投資(返戻金・満期金)

という 「投資と保険の混合商品」 です。


2-2 混合商品が非効率になる理由(構造的問題)

混合は便利に見えますが、構造的に成立しません。それは、投資と保険の原理が異なるからです。無理のある構造を“わかりやすい商品名”で包んでいますが、内容的には次のような非効率を避けられません。

  • コストが二重化する

  • 投資部分が不透明で利回りが低い

  • 保障部分が薄くなる

  • 資金が拘束され流動性が消える

  • 投資・保険の両方を最適化できない

典型的な「本質の劣化」が起きます。


2-3 金融原則から見ても混合商品は個別商品には及ばない

金融工学的にも、
Risk-taking(投資)と Risk-hedging(保険)を同一商品に閉じ込める
という設計思想が非合理なのです。

そのため3者はすべて、
資産形成の視点では根本的にミスマッチな商品になっています。

塩と砂糖は別々に売られているから便利だし美味しいお料理を作れるのです。「どうせ両方必要でしょ?」という感じで比率不詳に混合された品物を買うより、塩と砂糖を別々に購入して、別々に使用してこそ美味しいお料理になるのです。


第3章 学資保険:教育費は“破滅リスク”ではない

教育費は、生活設計の一部であって、保険で備えるべき対象ではありません。

学資保険は

  • インフレに弱く

  • 返戻率が低く

  • 保障はほとんど役に立たない

結論として、学資保険は
投資としても保険としても弱い 混合商品の典型例です。


第4章 積立保険:投資パートが致命的に非効率

  • 内部コストが高い

  • 投資効率が著しく低い

  • 複利が死んでいる

  • 解約時の損失が大きい

資産形成を目的にするなら、
積立保険よりインデックス投資の方が圧倒的に合理的 です。


第5章 終身保険:心理的安心の裏で効率を失う

  • 必要保障額が割高で買えない

  • 「貯蓄性」は名ばかり

  • 死亡保障も投資も中途半端

  • “一生”という言葉で本質を曖昧にする

終身保険は感情的メリットはあるものの、
資産形成の観点では優先度が低い 商品です。


第6章 3者が資産形成に不向きである理由の総括

3者はすべて、

  • 投資と保険の混合構造で原理的に整合しない

  • 二重コスト

  • 低流動性

  • 低利回り

  • 薄い保障

という特徴を持ち、
資産形成という目的と正面から矛盾 します。


第7章 保険と投資を両方求めるなら、“別々に購入する”のが圧倒的に合理的

もし読者が、
「保険も必要だし、投資も必要だ」
と考えるなら、もっとも合理的な選択肢は明白です。

7-1 保険と投資を別々に購入する

  • 保険 → 破滅リスクに備えるためだけに買う(掛け捨て)

  • 投資 → 長期複利と成長を取り込むために買う(インデックスなど)

両者を分離することで、それぞれを最大性能で運用できます。

7-2 別々にコントロールする自由さが手に入る

  • 投資は自由に組み換え可能

  • 保険は人生設計に応じて必要最小限を買い替え可能

  • 二重コストがなくなる

  • 資産形成のスピードが上がる

混合商品よりも圧倒的に合理的で、長期成果につながる戦略です。

【追記】

なお詳細は省きますが、個人年金保険・変額保険も同様に「投資と保険の混合商品」であり、構造的な非効率性を避けにくい商品です。私はこの点を踏まえ、これらの保険を購入しませんでしt。


終章:構造を知れば、答えは驚くほど単純になる

  • 投資は「自分が取るリスクを最適化する」行為

  • 保険は「個人の破滅リスクを社会で肩代わりする」仕組み

  • この2つを混ぜると効率が落ちるのは必然

  • 学資・積立・終身保険はその典型例

私は、こうした構造的理由により3者を購入しません。
この記事が、読者が自身の資産形成戦略を考える際の
“1つの判断材料”になれば幸いです。


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