独学の限界を越える|プロレーサーの指導で見えるようになった世界

サーキットでプロレーサーのインストラクターが運転するGRヤリスの助手席から見た車内と左コーナーの走行風景
ロレーサーの実演走行で見えるようになった走行ライン(画像はイメージ)

GRヤリスでワインディングやサーキット走行を重ねてきたが、あるところで
「独学では、もうこれ以上はほぼほぼ進歩できない」
と感じるようになった。

そこで初めて、プロレーサーのインストラクターによる指導をサーキットで受けることにした。

本記事では、GRヤリス(後期型8速DAT)での実走行を通じて、
独学では決して見いだせなかった走行ラインと、プロの視点がもたらす決定的な違いについて記している。

自分の力で出来るところまでやり、それ以上の進歩が望めないと判断した場合、
信頼できる上級者に指導を乞うのも一つの選択肢である。

もっとも、世の中には実力の乏しいインストラクターも存在するので注意は必要だ。
ただしドライビングの世界において、プロレーサーはアマチュアとは段違いのスキルを持つ存在であり、
少なくとも不可解な指導に遭遇する可能性は低いだろう。


理屈コネ太郎は、基本的に独学の男である。
仕事でも趣味でも、基礎訓練の後は、まず自分で考え、試し、失敗し、修正する。
そのPDCAサイクルを回し続ける過程そのものが、とてつもなく面白い。

スポーツドライビングについても同様だった。
サーキット走行を重ね、理屈を学び、走りながら修正を続けてきた。

ただ、あるところまで来て、はっきりと感じるようになった。
**「独学では、もうこれ以上は成長しないな」**と。

タイムは2分6秒台で安定してしまっている。
自分なりの理屈もある。
しかし、より進歩するための次の一手が見えない。

機は熟したのだろう。
プロレーサーに教えを請うことにした。


Contents

使用車両と、これまでの到達点

使用したのは、GRヤリス 弐号機(後期型・8速DAT)
これまでの自己ベストは、おおむね2分6秒前後で推移していた。

伸び悩みというほどではない。
ただ、「次に何を変えればいいのか」が、自分一人では見えなくなっていた。


まずは私が走り、インストラクターが観察する

最初は、

  • 私がドライブ

  • インストラクターが助手席に同乗し、私のドライビングを観察・分析する

という形で、数周にわたって走行した。

走行中、具体的な指示はほとんどない。
ライン、ブレーキ、アクセル、クルマの姿勢。
インストラクターは淡々と、私の走りを観察していた。

この時間は、評価と分析、そして「今、何を指導すべきか」の選定に充てられていたのだろう。
私自身も、いつも通りの走りを心がけた。


パドックに戻り、クルマを降りて座学へ

数周走ったあと、いったんパドックに戻る。
クルマを降り、ここで短い座学の時間が設けられた。

このとき、当日の指導テーマが明確に示される。

その日の要改善点は、二つだった。

ひとつ目は、
コーナリングにおいて、タイヤの横グリップを十分に使えていないこと。

ふたつ目は、
ある特定のコーナーにおける、私の走行ラインの不効率性。

この二点が明示されることで、どこに集中すべきかが明確になる。
これは非常にありがたい。


役割を交代し、インストラクターの実演走行へ

座学を終えたあと、再びコースへ向かう。
ここで役割を交代する。

  • インストラクターがドライブ

  • 私が助手席に乗り込む

そして、実演走行が始まった。

まず横グリップの使い方。
コーナーでは、はっきりとスキール音が出る。
だが挙動は不安定ではなく、むしろクルマは落ち着いている。

音は限界の悲鳴ではない。
きちんと横グリップを使っている証拠として、自然に鳴っていた。


問題のコーナーで起きていたこと

問題となったコーナーは、左の下りコーナーだった。
イン側、特にエイペックス周辺は強い逆バンク(カント)になっている。
アウトにいくほどカントは緩やかになり、水平に近づいていく――
私は、そう認識していた。

そのためそれまでは、

  • エイペックスをかすめることを避け

  • ややアウト寄りの、カントが緩い場所を選び

  • 旋回半径が大きくなっても、速度でカバーする

という走り方をしていた。

路面を読む力としては、当時の自分にはそこまでが限界だったと思う。
「逆バンクは危険」「水平に近い方が安心」
その判断自体は、決して間違ってはいない。

しかし、インストラクターはまったく別の次元で、このコーナーを捉えていた。

座学の際、彼はこのコーナーの立体構成を、
下り勾配、カントの変化、進入時の姿勢変化を含めて、
より精密に言語化した。

そのうえで、

  • どこで、どの強さでブレーキングすべきか

  • どのタイミングで舵角を当てるか

  • エイペックスをどの「角度」でかすめるか

  • その結果、出口でどこまで姿勢を作り、どこから加速できるか

を、一つひとつ論理的に説明してくれた。

目から鱗が落ちるとは、まさにこのことだった。

座学で説明を聞き、
そのうえでインストラクターの実演走行を助手席で体験すると、
なるほど――
そこには、私がこれまで走っていたラインよりも、はるかに高効率な走行ラインが確かに存在していた。

しかもそれは、無理をしているラインではない。
クルマの姿勢、タイヤの使い方、重力の向きが、
すべて自然につながるラインだった。


見せられて、初めて分かったこと

それは、決して私一人では見いだせない走行ラインだった。
言葉で説明されるだけでも、自分がこれまで取ってきたラインが誤っていたことには気づける。
そして、実際に走って見せられて初めて、自分のスキルとして血肉化できる技術なのだと理解できた。

助手席から見える景色は、明らかに違っていた。
同じコーナーを走っているはずなのに、
まるでコースそのものが変わったように感じた。


たった一つのコーナーで、体感1秒短縮

教えられた走り方を、自分でも試してみる。

すると、そのコーナーの“滞在時間”が、はっきりと短い。
体感的には、
「ここだけで1秒くらい縮んだのではないか」
と思えるほど、通過がスムーズになった。

無駄な操作が消え、
クルマの動きが素直になり、
次の区間へのつながりが良くなる。

タイム以上に、走りの質が変わったという実感があった。


結果:1分58秒台へ

今回の練習で重点的に行ったのは、

  • 横グリップをしっかり使うこと

  • 問題のコーナーの新しい攻略法を身体に覚えさせること

この二点だけだった。

それにもかかわらず、最終的なラップタイムは1分58秒台に入った。
実に8秒の短縮である。

それは、指導前の私のドライビングがかなりヘッポコだったというのも理由だろう。

独学で積み上げてきたもの上に、
プロの指導によって一気に高い視座が獲得できた。
そんな感覚だった。


独学は否定しない。ただし限界はある

独学は悪くない。
むしろ独学は、絶対に必要だと私は考えている。
基礎を作る段階では、非常に有効な方法だ。

ただし、独学だけでは成長に限界もある。

  • 自分でも気づいていない悪癖

  • 無意識に残しているマージン

  • 見えていない前提

これらは、他者の目と実演がなければ破れない壁になる。

スポーツドライビングは、
理屈と感覚と物理が交差する世界だ。

だからこそ、一度はプロの視点を借りる意味がある。
独学で進歩が止まり苦しんだとき、
プロに教えを乞うのも、次の段階に進むための立派な選択肢なのだと思う。


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