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第0章|本記事の目的と整理の方法
0-1|本記事の目的
本記事の目的は、NISAとiDeCoの仕組みを理解し、
特定口座における株式取引(以下、株式取引)と税の取り扱いを基準点として、
それぞれの利点・欠点を理解することにある。
NISAとiDeCoを直接比較して優劣を論じたり、
特定の行動を勧めたりすることは目的ではない。
現行制度の実際の在りようを整理し、
読み手が自分で判断するための材料を提示する。
0-2|整理の方法
本記事では、
株式取引と税の取り扱いを共通の基準点とする。
その基準点と比べたときに、
NISAとiDeCoが
どこで有利になり
どこで不利になるのか
という差分として、
利点・欠点を整理する。
第1章|株式取引と税の取り扱い(比較の基準点)
1-1|株式取引で課税が発生する場面
株式取引において、
課税が発生する場面は主に次の二つである。
ひとつは、
取得価額を上回る価格で株式を売却したときである。
この場合、売却益(キャピタルゲイン)が確定し、課税される。
なお、取得価額を下回る価格で売却した場合、
売却代金は口座に入金されるが、
利益は発生していないため、課税はされない。
もうひとつは、
配当が支払われたときである。
配当金は利益であり、課税対象となる。
1-2|株式取引での利益・課税・再投資
株式取引では、再投資を行う場合に使える資金は、
常に税引後の金額である。
売却益や配当に対する税額の算出と徴収は、
申告分離課税として証券会社を通じて行われる。
利益が確定した時点で税金が差し引かれ、
口座に残るのは税引後の金額となる。
1-3|売却を伴わず課税されるケース
株式取引では、
売却を伴わなくても課税が発生する。
代表的なのが配当金である。
配当が支払われた時点で利益が確定し、課税される。
また、投資信託やETFの分配金も同様である。
自動再投資を選択していても、
分配金はいったん課税され、
再投資に回せるのは税引後分配金となる。
1-4|基準点の整理
株式取引では、
利益が確定するたびに税が徴収され、
再投資に使える金額がその都度減る仕組みになっている。
本記事では、これを比較の基準点とする。
第2章|NISAの仕組み(あらまし)
2-1|NISAとは何か
NISAは、
元本の上限1,800万円まで、金融商品の運用益を非課税で扱う制度である。
NISAそのものは金融商品ではなく、
金融商品で得た利益をどの範囲まで非課税とするかを定めた制度である。
2-2|NISAでできること・できないこと
NISAでは、
売却益
配当
分配金
が非課税となる。
そのため、
これらの利益をそのまま次の運用に回すことができる。
一方で、
投資対象は金融商品に限られる
元本が保証されるわけではない
といった点は、株式取引と変わらない。
2-3|制度上の制約
NISAには、
元本1,800万円までという上限がある。
この上限を超えた部分については、
非課税の対象とはならない。
第3章|NISAを株式取引と比べた場合の利点・欠点
利点
利益が課税されないため、再投資に使える金額が減らない
課税によって複利が削られない
欠点
非課税で運用できる元本に上限がある
第4章|iDeCoの仕組み(あらまし)
4-1|iDeCoとは何か
iDeCoは、
老後資金形成を目的とした個人型年金制度である。
4-2|「拠出」という言葉の意味
iDeCoにおける拠出とは、
自分の資金を制度に預け、
60歳まで引き出さないことを前提に積み立てる行為である。
4-3|拠出額の決まり方
iDeCoの拠出額には、
制度上の上限が設けられている。
その上限額は一律ではなく、
自営業か会社員か
勤務先に企業年金があるかどうか
といった条件によって異なる。
つまり、
iDeCoは「好きな金額を拠出できる制度」ではなく、
個々の立場に応じて拠出額が細かく制限された制度である。
4-4|拠出時点での税の扱い(所得控除)
iDeCoでは、
拠出した金額が、所得税および住民税の課税対象から控除される。
これは、
運用益に対する税の扱いとは別に、
拠出時点で与えられる税制上の優遇である。
4-5|運用方法と投資対象
iDeCoでは、
運用商品を自分で選ぶ必要がある。
ただし、選択肢は
加入しているiDeCo制度が用意した商品に限られ、
個別株などを自由に選ぶことはできない。
4-6|運用期間中の税の扱い
iDeCoは、運用期間中の運用益には課税されないため、
運用中は利益をそのまま運用に回せる。
一方で、受給時には受け取り方(一時金/年金)に応じて税制上の扱いが決まり、
控除の枠内に収まる場合もあれば、課税される場合もある。
第5章|iDeCoを株式取引と比べた場合の利点・欠点
利点
拠出金額を、所得税・住民税の課税対象から控除できる
運用期間中は課税によって再投資額が削られる事がない
複利の効果が運用期間を通じて反映されやすい
欠点
拠出した資金を60歳まで自由に使えない
拠出額に上限があり、柔軟な増減ができない
運用商品の選択肢が制度側に制限される
第6章|整理とまとめ
株式取引では、
利益が確定するたびに税が徴収され、再投資額が減る。
NISAは、
非課税によって再投資額が削られず、
複利の効果がそのまま反映される制度である。
iDeCoは、
拠出時に所得控除があり、
運用期間中は課税されず再投資が可能だが、
受給時に税制上の精算が行われる制度である。
NISAとiDeCoはいずれも、
課税や徴収の仕方を変えることで、
複利の効果を高く活かす設計になっている。
ただし、
NISAは元本に上限があり
iDeCoは流動性と自由度を大きく制限する
という違いがある。
どの制度をどう使うかは、
これらの前提を理解したうえで、
各自が判断するしかないのは、金融商品全般と同じである
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