サービス、その本来の意味

サービス、その本来の意味
サービス、その本来の意味

「サービスって、要するに“接客”のことですよね?」

日本語の日常会話では、そう思われていても不思議ではありません。けれど、英語の “Service” は本当にそれだけの意味なのでしょうか。

私たちは、知らず知らずのうちに、本来の意味とは異なるニュアンスで“カタカナ語”を使っていることがあります。たとえば「ナイーブ」や「アバウト」、あるいはこの「サービス」も、実はその典型例なのです。

本記事では、「サービス」という言葉の本来の意味を、英語での用法や具体例をもとにひも解きながら、日本社会での誤解やその影響を考察していきます。

あなたの言葉の地図が、少しだけアップデートされるきっかけになれば幸いです。

Contents

はじめに|なぜ「Service」の意味を問い直すのか

本頁では、サービスという言葉の本来の意味、すなわち英語圏におけるServiceの意味について考えてみたい。

なぜなら、日本では外国語を輸入した段階で誤解され、その言葉の意味が誤って国内に広まる事がよくあるからだ。

外来語が持つ意味の変容の典型例:ナイーブ

例えば、ナイーブという言葉。英語ではNaiveだ。

「あの人はナイーブ」という表現は、あの人は繊細だ…くらいの意味合いで用いられる。

しかし本来のNaiveは経験不足や理解不足とか世間知らずという意味で、どちらかというと無知に近い意味だ。

You are so naive!
とは、「あなた本当に世間知らずね!」って意味の表現だ。

繊細と無知では大変な意味の違いがある。

日本語の「サービス」と英語の「Service」の違い

日本語のナイーブと英語のNaiveの意味が異なるように、日本で理解されているサービスと本来のServiceの意味は大きく異なる。

サービスやサービス業を理解するには、Service本来の意味を理解する必要がある。そうして初めてサービス業について正しい考察と理解が出来るようになる(詳細は『サービス業に携わる全ての人々へ』を参照)。


Serviceという言葉の本質を捉えるいくつかの例

特殊部隊の「サービス」:SASの語源

唐突で恐縮だが、英国陸軍特殊部隊に、特殊空挺部隊(Wikipedia当該頁を開く)という組織がある。

この特殊空挺部隊は勿論日本語訳だが、英語ではこの部隊はSpecial Air Serviceという。略してSASと呼ばれる。

SASは敵を接客しておもてなしないし、客を戦場に連れていくサービスをしてもいない。

勿論、特別な空気を販売しているのでもない。

SASは敵領空の高高度の空からパラシュート降下によって敵地奥深くの地上に侵入する。食物や飲料水は敵地で調達し作戦を遂行する超実戦部隊だ。

Special Air ServiceのServiceとは作戦を遂行することによって英国と英国民に価値をもたらすという意味でサービスなのだ。

スポーツ用語の「サービス」

テニスというスポーツでは、最初に打つショットをサービスという。バレーボールにも同様の用語がある。

競技スポーツにサービスという言葉が用いられているのは、それは競技相手に都合の良いタマを提供するからでは全くない。ゲームを始める行為そのものが価値であり、その行為がServiceなのだ。ご理解いただけるだろうか。


サービスという概念の広がり

サービスとは広い概念である。

勿論、目の前の客をもてなして接客して気持ちよく過ごしてもらう事も1つの立派なサービスではあるが、本邦ではこの接客する点にばかりサービスという言葉が使われてきた。

しかし、既述した例でもわかるように、価値創造目的の行為すべてがサービスなのである。


公的職務や専門職におけるServiceの本質

医療機関の医療従事者、検察庁の検察官、裁判所の判事、警察署の警察官、役所の公務員、自衛隊の自衛官。刑務所の教務官。彼らの行動は、誰かに価値をもたらすための行動なのだ。

ゆえに、医療機関はサービス業なのである(詳細は『医療機関はサービス業である』をクリック)。

Serviceとはそういう概念なのである。

サービスとは、誰かが行動して別の誰かのための価値を生み出すこと(詳細は『価値を創造する行為、それがサービス』をクリック)。


「サービス残業」はなぜ誤用なのか

サービスは、無償奉仕ではない。寧ろ、適切な対価と行動を交換する事の方が一般的。

だから対価なしの残業を「サービス残業」と呼ぶことはサービスという言葉の誤用なのである。

サービスの本来の意味、ご理解いただけただろうか?

今回は以上。


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