管理職は職場にイジメは”ある”と想定して対策しよう

管理職は職場にイジメはあると想定しよう。
管理職は職場にイジメはあると想定しよう。

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職場に蔓延する「見えないイジメ」

大変に残念なことですが、多くの職場ではイジメが静かに、しかし確実に蔓延しています。加害者と被害者の構図は固定化されがちで、こうした問題は管理職の視野からは見えにくい場所で起きています。

典型的な構図は、古株職員が新規入職者に対し「指導」や「指示」の名目で、実際には攻撃的かつ粘着質に振る舞うケースです。他人の目にもイジメと映るような状況は、まだ分かりやすい方かもしれません。

本当に深刻なのは、当事者同士でしか認識できない、言葉遣いや態度のニュアンスに潜む無礼さや横柄さによるイジメです。これは被害者である職員にしかわからない種類の攻撃です。


産業医としての面談経験から見えた加害者の“確信”

『理屈コネ太郎』は産業医として、これまで多数のイジメ被害者と面談してきました。そして、加害者側の職員とも、ほとんどのケースで直接対話しています。

その経験から得た結論は――加害者たちは「確信犯的」にそのように振る舞っている、ということです。

ここでいう「確信犯」とは、意図的に悪事を働こうとしているという意味ではなく、「自分はそうしても許される」と思い込んで行動しているという点が重要です。したがって、彼らの周囲にも被害者が存在している蓋然性は高いと言えます。


サボタージュ型職員が組織を壊す

この種の加害者的職員には、ある共通した特徴があります。

  • 上司や先輩には愛想が良く、仕事ができるふうを装う

  • 実際には部下や後輩への丸投げが多い

  • 指導もなく、問題を咀嚼せずにそのまま投げる

  • 部下が苦しんでいる間、自分は他部署の人と談笑している

  • 手が空いていても、他人を手伝うことはない

そのため、外部からは「有能な職員」に見えてしまうことが多く、管理職はその裏で起きている人間関係の歪みや被害に気づきません。

結果、こうした人物の下に配属された若手や後輩は過度なストレスを受け、早期退職を選ぶケースが非常に多く見られます。


組織が崩れていく構造

このような環境では、職場は次第にこうなっていきます:

  • 有能で雰囲気を明るくする人材ほど早く辞める

  • サボタージュ型の古株が組織内に定着する

  • 新人が定着せず、人材の高齢化が進行

  • 組織としての成長力・柔軟性が著しく低下

その結果、職場は内向きで停滞し、徐々に崩壊の兆しを見せていくのです。


日本社会における構造的問題

諸外国については詳しくありませんが、少なくとも本邦では、入職年次や上下関係を盾にした暴力的・横柄な態度が未だに多くの場面で容認されています。学校でも職場でも同様です。

つまり、日本社会の中には、構造的にイジメが温存されやすい土壌が存在しているのです。


解決の糸口:「相互評価システム」という提案

では、職場内のイジメを抑止し、職員が辞めない職場づくり、加害者の行動変容を促すにはどうすればいいのでしょうか?

『理屈コネ太郎』は、その問いに対する一つの答えを持っています。

それは「職員間相互評価システム」の導入です。

この仕組みにより、誰が誰にどのような態度を取っているか、組織全体で可視化されるようになります。これにより、見えなかったイジメの構図が浮き彫りとなり、予防と是正が可能になるのです。

なお、この相互評価システムの詳細や導入の実例については、また別の機会に別ページにてご紹介したいと思います。


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おわりに

イジメは「ない」と思いたい感情と、「ある」と認識して対応する現実との間で、管理職は意識を切り替える必要があります。「職場にはイジメがあるものだ」とまず想定して組織運営にあたることで、より健全な職場を築いていくことが可能になるのです。

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