仮想通貨は資産形成に役立つか否か|理屈コネ太郎の私見

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仮想通貨は資産形成に役立つか否か|理屈コネ太郎の私見

Contents

■ はじめに

仮想通貨は、ここ十数年で一気に市民権を得た。
「億り人」という言葉が生まれ、SNSでは日々、急騰や急落のドラマが語られる。
しかし、華やかさや刺激の裏側にある“構造”を見抜かなければ、
資産形成という観点で誤った判断につながりかねない。

理屈コネ太郎の私見では、
ブロックチェーンという技術は高く評価するが、
仮想通貨そのものは資産形成の道具としては適していない。

その理由を、構造論・経済学・行動経済学・脳科学の視点から整理してみたい。


■ 第1章 仮想通貨は「価値の源泉を持たない」

資産形成に向く資産には、
“価値を増やす源泉” が存在する。

  • 株式 → 企業利益(キャッシュフロー)

  • 債券 → 利息

  • 不動産 → 賃料

  • コモディティ → 必要性と供給構造

一方で仮想通貨は、

価値を生むキャッシュフローを持たない。
価値の源泉が価格の上下=需給だけに依存する。

人が買えば上がり、売れば下がる。
「経済の成長」「人類の生産性向上」に連動しないため、
長期的に価値が増える合理性を欠く。

資産形成とは、
文明全体の“成長”に余剰を置く行為である。
その意味で、仮想通貨は 投機対象 にはなりえても、
資産形成の基盤にはなりにくい。


■ 第2章 ボラティリティが“人間の脳”と相性が悪い

仮想通貨の大きな特徴が 極端な価格変動(ボラティリティ) である。
日単位・時間単位で大きく動くことも珍しくない。

脳科学と行動経済学から見ると、この性質は
人間の脳の弱点を徹底的に刺激する構造 になっている。

● 損失回避

小さな下落でも2倍以上の痛みとして感じる。

● 短期刺激への依存

値動きのたびにドーパミンが分泌され、
「もっと見たい」「もっと触りたい」という依存的行動が起きる。

● 群集心理の暴走

SNSの空気に強く影響され、群れで上昇・下落を作る。

結果として、

長期保有という資産形成の基本構造と真逆の行動が誘発される。


■ 第3章 長期複利が機能しづらい構造

理屈コネ太郎が考える資産形成の本質は
「複利 × 時間 × ポートフォリオ」 にある。
これは、人類の経済成長を“静かに取り込む”構造である。

しかし仮想通貨は、

  • 長期で安定成長する実体価値がない

  • 現金フローが生まれない

  • 経済成長と連動しない

  • リスクプレミアムが安定しない

ため、

複利が機能する“長期成長の土台”が存在しない。

もちろん急騰局面はある。
しかしそれは 複利による成長ではなく“価格の偶然” である。

偶然は再現できず、
構造は未来に残る。
資産形成に必要なのは後者だ。


■ 第4章 ポートフォリオに入る余地は“理論上ほぼない”

現代ポートフォリオ理論(MPT)の観点では、
分散の価値とは 相関の低さ × 長期価値の安定 で決まる。

しかし仮想通貨は、

  • 株式と相関が高まる時期が多い

  • 分散効果が不安定

  • 価格変動が暴力的

  • 長期的に見た“期待リターンの源泉”が薄い

これらの理由から、
最適ポートフォリオへの採用価値は極めて低い。

長期複利を軸にした資産形成と、
価格変動が激しく価値源泉が不安定な仮想通貨は、
原理的に相性が悪い。


■ 第5章 ブロックチェーンという“技術”は評価されるべき

一方で、ブロックチェーンという技術そのものは
極めて大きな価値を持つ。

  • 分散台帳

  • 改ざん困難性

  • トラストレスな取引

  • スマートコントラクト

これらは、未来の金融・行政・物流を変えうる技術であり、
評価すべき対象である。

しかし、

技術が優れていることと、
それを資産形成のツールとして保有することは別問題である。

ここを混同してはならない。

インターネットは世界を変えたが、
投資するなら 「インターネットを活用して財やサービスを提供する企業」 だった。
仮想通貨も同じで、ブロックチェーン技術そのものは価値があるが、
利益を生み出すのはそれを活かしたビジネス側である。

ブロックチェーン技術を利用して新しい価値を作り出した企業の株式こそ、
長期的な資産形成のツールとして合理性がある。


■ 結び:技術への評価と、資産形成のツールとしての評価は別である

仮想通貨は、未来を変えうる技術の一端を担っている。
しかし資産形成という文脈では、それと投資対象としての価値は全く別物だ。

資産形成とは、
長期複利 × 分散 × 経済成長 を取り込む行為であり、
キャッシュフローの裏付けと価値の安定性が必須である。

仮想通貨は技術としての魅力はあるが、
資産形成のツールとしては
再現性・合理性・構造の観点から不向き と判断せざるを得ない。

理屈コネ太郎の私見としては、

仮想通貨は“投機として楽しむもの”であって、
資産形成の道具には向かない。

技術は評価しつつも、
資産形成の軸は、
人類の経済活動という“成長の源泉”を持つ資産に置くべきだ。


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