政治家に国民の声が届かないと感じられるのは、政治家が国民を無視しているからではありません。(※無視している可能性ももちろんあります)
投票率の低さ、組織票の影響、そして政治を職業とする「プロ政治家」の構造が重なり、そもそも声が届く仕組みになっていないためです。
本稿では、この問題を構造として整理します。
Contents
政治家に届くのは誰の「声」か
政治家は、社会全体から均等に情報を受け取っているわけではありません。
実際には、自分を支持し、当選を支えてくれる人々――支援者、業界団体、活動家、秘書など――から情報を得ています。
そして重要なのは、これらの人々が有権者全体の厚生を考慮しているわけではないという点です。
彼らは、自らの所属する団体や業界、自身の立場に基づいた利害を政治家に伝えています。
その結果、政治家のもとに届く情報は、「国民全体の声」ではなく、特定の集団にとって都合のよい情報に偏りやすくなります。
投票率の低さが構造を固定する
この偏りをさらに強めるのが、投票率の低さです。
投票率が低い状況では、
必ず投票する人たち
組織的に動員される人たち
の影響力が相対的に大きくなります。
政治家にとって重要なのは「票になる声」です。
そのため、投票に行かない多数の人々の声は、政治的にはほとんど意味を持たなくなります。
結果として政治家は、
「確実に自分に投票してくれる集団」だけを見る構造
に置かれることになります。
政治家自身も聴きたい声を聴く
さらに問題を複雑にしているのは、政治家自身の認知の偏りです。
政治家も人間である以上、自分にとって不都合な情報や、自らの立場を脅かす情報よりも、
自分にとって都合のよい情報や、自分を肯定する情報を優先して受け取りやすいという性質を持っています。
そしてこの性質は、周囲の行動にも影響します。
政治家の周囲にいる秘書や参謀、支援者たちは、政治家本人の評価や機嫌を意識するあまり、
政治家にとって不利な情報
支持基盤にとって不都合な情報
判断を揺るがす情報
を伝えなくなっていきます。
その結果、政治家の周囲には
自分にとって都合のよい情報だけが集まる環境
が形成されます。
プロ政治家という構造
ここまでの流れは偶然ではありません。
政治家が政治を職業として継続し、「プロ政治家」として生計を営むようになると、
当選を維持することが最優先となります。
その結果、
支持基盤への依存
情報の偏り
認知の偏り
が強化されていきます。
したがって、当選当初は国民のためを思う志を持っていた政治家であっても、
次第に特定集団の利益を反映した情報や、自分にとって都合のよい情報に囲まれるようになり、
有権者全体の厚生を反映したマジョリティーの声は届きにくくなっていきます。
これは、個々の政治家の資質の問題というよりも、
政治を職業として成立させたときに不可避的に生じる構造的な帰結
だと考えられます。
(※この点については、別記事「政治家はなぜ自己保身に走るのか|プロ政治家という構造」で詳述しています。)
外部からの影響が入り込む余地
この構造は、さらに別の問題も引き起こします。
政治家が特定の人間関係や情報経路に依存する状態が続くと、
その情報の中に外国を有利にする内容が入り込む余地も生まれます。
これは特定の事例に限らず、
情報が偏る構造そのものが持つ脆弱性
といえます。
投票率だけでは解決しない理由
この構造を是正するためには、投票率の向上は確かに重要です。
しかし同時に、投票率を上げることだけでは限界があることも事実です。
現実にはすべての有権者が毎回投票に参加することは難しく、現在の選挙制度はその前提自体に無理を抱えています。
したがってこの問題は、
投票率の問題であると同時に、制度設計の問題でもある
と言えます。
(※この点については、別記事「日本の選挙制度はなぜ民意を歪めるのか|投票率では解決しない構造問題」で詳しく述べています。)
結論:届かないのではなく、届かない構造になっている
政治家に国民の声が届かないのは、
投票率の低さ
組織票の影響
情報経路の偏り
認知の偏り
プロ政治家という構造
が重なっているためです。
つまり問題は、
政治家が聞こうとしないことではなく、
そもそも声が届く構造になっていないこと
にあります。
そんな状況で私たちにできること
この構造の中で、個人としてできる最も直接的な行動は投票です。
ただし同時に、私たちは
なぜ声が届かないのか
なぜ政治が歪むのか
という構造そのものを理解しておく意味があると思います。
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