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第1章|問題設定
GRヤリスにLSDは必要か。
この問いは、多くの場合「走りに必要か」という文脈で語られます。
しかし本記事では、問いの軸を変更します。
本記事が扱うのは
「その人は、GRヤリスに何の価値を見出して購入するのか」
という問題です。
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第2章|購入価値の分解
GRヤリスの購入価値は、少なくとも二つに分解できます。
運転で性能を使う価値
存在や物語を支持する価値
前者は、車両性能を実際に限界域で使用することによって発生します。
後者は、その車が持つ思想や背景に資本でコミットすることによって発生します。
この二つは、重なることもありますが、同一ではありません。
第3章|LSDの価値はどこで発生するか
LSDは、摩擦限界近傍で駆動力を維持するための装置です。
摩擦限界近傍とは、タイヤが滑り始める直前の領域です。
この領域では左右輪の荷重差が拡大し、駆動力が抜けやすくなります。
LSDはその回転差を抑制し、駆動力を維持します。
したがって、LSDの価値は
摩擦限界近傍を使う運用
に依存します。
摩擦限界近傍を使わない場合、LSDの機能は顕在化しません。
第4章|支持型購入という選択
一方で、GRヤリスを「支持」として購入する人が存在します。
Toyotaは、量販メーカーです。
量販メーカーは通常、利益合理性を優先します。
その中でGRヤリスは、
・競技起源
・専用ボディ
・高出力ターボ
・高剛性シャシー
という、必ずしも量販効率と整合しない要素を持っています。
さらに、電動化が主流言説となった時代において、
内燃機関スポーツを成立させたという社会背景もあります。
このような挑戦に資本でコミットすることを、ここでは「支持型購入」と定義します。
支持型購入では、購入価値の源泉は
性能を使うことではなく、存在を支持すること
に置かれます。
第5章|支持型購入とLSDの関係
支持型購入では、摩擦限界近傍を反復して使用することは主目的になりません。
摩擦限界近傍を主目的として使わない場合、
LSDの価値は購入価値の中核になりません。
支持は、
・GRヤリスを市場で成立させること
・この種の車両が存続することを肯定すること
によって成立します。
その成立条件に、LSDの装着有無は含まれません。
第6章|結論
GRヤリスの購入価値が
「運転で性能を使うこと」
にある場合、LSDは重要な装置になります。
しかし、GRヤリスの購入価値が
「思想や物語を支持すること」
にある場合、LSDは支持の成立条件ではありません。
したがって、
GRヤリスを支持型購入として選択する場合、LSDは不要と言える条件が成立します。
補記|筆者の立場
わたし理屈コネ太郎は、GRヤリスをスポーツカーとして評価しています。
そして、私自身の購入動機も、トヨタの心意気というものに共感したからです。
そしてたまたま私はヘッポコながらも筋金入りのスポーツドライビング好き。
だからLSDなしの選択肢は私にはなかった。
それだけです。
しかし、支持という行為は一様ではありません。
性能を使うことで支持する人もいれば、
存在を肯定することで支持する人もいます。
どちらも、GRヤリスという挑戦に対する正当なコミットです。
