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はじめに:クイックシフターシリーズ第一章として
本記事は、クイックシフター(以下QS)をGRヤリスに装着した体験を詳述する。「クイックシフター導入シリーズ」の第一章にあたり、人と機械がどこまで一体化できるかを探る出発点である。クイックシフター装着と同時にクラッチペダルの冗長なストロークを適正化するクラッチストッパーも装着した。
1.GR Garage北池袋に装着を依頼
2021年7月、愛機GRヤリスをGR Garage北池袋へ。導入したのはドイツC.A.E. Racing社製のQSとCS。純正外ゆえに整備側にもリスクがある。機能についての補償や保険は一切ない。もし不具合が発生した場合は全て私の負担で元に戻すと伝えたうえで、部品+工賃(当時約18万円)で施工を依頼した。目的はただ一つ──運転者と車両の一体感を可能な限り高めるためである。
2.ストローク短縮がもたらした“異次元の一体感”
作業が終わり、クラッチを踏み込むとストロークが短くなったこと、ニュートラルから1速へ短いノブ移動量で「ゴクッ」と入る確かな手応えに驚く。シフトストロークは体感で約1/3、CSによりクラッチの無駄な踏み込みも消える。ミート位置は安定し、左足の微細な操作にクラッチが締結しはじめ車体がスっと動きだす。クルマが身体の延長になる――その感覚がはっきり立ち上がった。この時の感覚はその後何年たっても思いだせるくらい、装着前のGRヤリスとは違っていた。
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3.ワインディングで覚醒する“スパスパスッパァーン”の快感
いつものワインディングで答え合わせ。QS+CSのテンポは打楽器の連打のようだ。
スパッ! ゴクッ! スパッ! ゴクッ!
クラッチとシフトが呼吸のように同期し、自分で操るジェットコースターの高揚が続く。出費への後悔などは一切ない。むしろ、ドライビングの愉悦だけ研ぎ澄まされた。
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4.バケットシートとの相乗効果――“操る機械”から“一体化”へ
私のGRヤリスはフルバケットシート仕様。体がマシンに締結される。さらにQS/CSと組み合わさると、姿勢と操作のタイムラグが消える。ペダル、ステアリング、シフトがコンマ秒単位で連鎖し、動かしている意識が薄れていく。GRヤリスは“操る機械”から“一体化した機会”へと変わる。
5.ネガは見当たらず、むしろ安心感が増した
QS装着前に抱いていた「短いストロークはミスシフトを招くのでは?」という懸念は、少なくとも私の個体では杞憂だった。CAE製の剛性とガイド感が正しいポジションへ手を導く。2速ダウン時の回転合わせも容易になり、雨天・低μ路でも半クラのコントロールが楽。操作の精度と安心感が同時に上がったと感じる。
6.サードパーティー製品が実現する“理想のGRヤリス”
クルマを作らせたら信頼性世界一のトヨタが、あえて“操る歓び”を宿したGRヤリスをつくり、サードパーティーがその可能性をさらに拡張する。メーカー/独立系/オーナーの三者がそれぞれの責任を果たすことで、GRヤリスはドライバーの理想へと近づいていく。この装着は、その好例だ。
7.まとめ:努力に応える機械、それがGRヤリス
QSとCSは単なるパーツ交換ではない。運転者が自分の思考と行動と判断を“運転”に再最適化する機能部品だった。シフトとクラッチのストロークの短さが、人間とクルマの間にあるノイズを削減してくれる。
GRヤリスは今、ドライバーと一体化する存在になった。ここから先は、わたし自身のドライビングスキルをさらに磨く旅になる。
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