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はじめに|凄い医者とは何を意味するのか
医師について語るとき、「凄い医者」という言葉はしばしば使われます。
しかし、この「凄い」とは何を意味しているのでしょうか。
知識が豊富な医師なのか、
患者対応が丁寧な医師なのか、
それとも高度な手技を持つ医師なのか。
本記事では、高スキル医師との違いを整理しながら、
👉 凄い医師とは何か
を明確に定義します。
なお、この「凄さ」は技術だけでなく、その背景にある姿勢にも関わりますが、本記事ではまず技術的な側面から整理します。
高スキル医師とは何か
まず前提として、高スキル医師の定義を確認します。
ここでいう高スキルとは、
今日的スタンダードな医療知識を継続的にキャッチアップしている
担当診療領域における基礎的手技を一通り修得している
専門外や高度治療については適切に紹介できる
という状態を指します。
このレベルに達していれば、日常診療は安定して遂行可能であり、
多くの患者にとって十分に信頼できる医師です。
医療技術には難易度の差がある
医療技術には明確な難易度の差があります。
比較的習得しやすい標準的な手技
訓練と経験を要する中等度の手技
長期の修練と高度な判断を必要とする高難度手技
これらは連続したスペクトルとして存在しています。
一般の人が直感的に感じる難易度と実際の難易度の間には、大きな乖離はありません。
凄い医師とは何か
ここで本題に入ります。
結論から言えば、
👉 凄い医師とは、高スキルを前提として、より広い領域において高難度の医療技術を高精度で安定して実行できる医師です。
ここでいう「凄さ」は、
高い精度
連続した安定性
長時間にわたる集中力
を同時に要求される状況で、結果を出し続けられることにあります。
つまり、
👉 差は能力の有無と、到達領域の広さの両方にある
といえます。
具体例|消化器領域検査の場合
例えば消化器領域の検査で考えてみます。
上部・下部消化器内視鏡検査が実施できる
CTの読影ができる
腹部超音波検査が実施できる
👉 これらが一定程度以上のレベルで安定して実施できれば、高スキル医師といえます。
このレベルであれば、日常診療において大きく困ることはありません。
一方で、
👉 ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)
のような検査・治療は、これよりも一段難度の高い領域に位置します。
ただし重要なのは、
👉 特定の手技そのものが凄さを規定するわけではない
という点です。
凄さとは、
👉 より高い難度の医療を安定して実行できる能力そのもの
にあります。
医療技術はやがて再編される
ここで一つ重要な事実があります。
医療技術は、歴史的に見て常に更新され、その位置づけを変えてきました。
かつて悪性腫瘍に対しては拡大手術が主流でしたが、
QOLや根治性の問題から、化学療法や放射線療法との組み合わせによる縮小化へと移行しました。
さらに現在では、
腹腔鏡・胸腔鏡手術
ロボット手術
といった低侵襲技術が広く普及しています。
一方で、従来の開腹手術も依然として重要な選択肢であり、
病状や適応に応じて使い分けられています。
👉 このように医療技術は単純に置き換えられるのではなく、適応に応じて再編されていく性質を持っています。
凄さのもう一つの側面
それでもなお、医師は現在の技術に膨大な時間と労力を投じます。
ここに、もう一つの凄さがあります。
👉 自らの技術が将来置き換えられる可能性を理解した上で、それでも現在における最高難度の医療を高精度で実行する研鑽を続ける医師
この姿勢もまた、凄い医師を凄い医師たらしめている要素です。
まとめ
高スキル医師とは、標準医療を安定して遂行できる医師です。
一方で凄い医師とは、
👉 その前提の上で、より広い領域において高難度の医療を高精度で実行できる医師
です。
さらに、
👉 将来の再編を前提としながら現在の最高難度に挑み続ける姿勢
もまた、凄さの一部です。
両者は対立する概念ではなく、
👉 連続した関係にありつつ、明確に区別できる概念
といえます。
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