現代社会では、恋愛と結婚はほとんど同じものとして理解されています。
好きになった二人が結ばれ、家庭を築き、人生を共に歩む。
恋愛は結婚に向かう自然なプロセスであり、結婚は恋愛の完成形――そのようなイメージは広く共有されています。
しかし人類の長い歴史を振り返ると、この理解はそれほど普遍的なものではありません。
多くの社会では、結婚は
家同士の結びつき
経済的関係
社会的地位
といった要素によって決められてきました。
つまり
恋愛と結婚は本来別の現象
だったのです。
恋愛と結婚の関係については次の記事で整理しています。
→ 恋愛と結婚の違い|なぜこの二つは本来別の現象なのか
では、恋愛結婚はいつ生まれたのでしょうか。
Contents
農村社会の結婚
近代以前の多くの社会では、人々は農村共同体の中で生活していました。
農業社会では
土地
労働力
家族関係
が生活の基盤です。
そのため結婚は
家の存続
と深く結びついていました。
結婚によって
労働力が増える
家同士の関係が結ばれる
財産が維持される
といった役割がありました。
恋愛が存在しなかったわけではありません。
しかし恋愛は必ずしも結婚の前提ではなく、婚姻制度とは別の現象として存在していました。
都市化が結婚を変えた
状況が大きく変わったのは、産業革命以降です。
産業化が進むと
人々は都市へ移動し
農村共同体から離れ
家制度の影響が弱まりました
都市社会では
親族
村落
家制度
といった枠組みが弱くなります。
その結果、結婚の決定権は
家から個人へ
移っていきました。
自由恋愛の誕生
都市社会では、人々は
職場
学校
社交場
などで多くの人と出会うようになります。
こうした環境の中で広がったのが
自由恋愛
です。
人々は
自分の意思で
自分の好きな相手を選び
結婚する
という考え方を持つようになりました。
つまり恋愛が
結婚の動機
になったのです。
恋愛結婚の矛盾
しかし恋愛結婚には、一つの根本的な矛盾があります。
恋愛は
感情
魅力
心理
によって生まれる現象です。
感情は時間とともに変化します。
一方で結婚は
家庭形成
子育て
社会制度
という長期的な枠組みです。
つまり恋愛結婚とは
短期的な感情を根拠に長期契約を結ぶ
仕組みなのです。
ここで自然な疑問が生まれます。
恋愛感情に基づいて結婚する人は、将来の自分の心理の変化や、より魅力的な相手の出現を予想しないのでしょうか。
この問いに対する社会学的な回答はいくつかあります。
まず、人間は恋愛の中で
感情の永続性を過大評価する
傾向があります。
恋愛文化は
運命の人
永遠の愛
一生の伴侶
といった物語を作ります。
この物語が、感情の変化という現実を見えにくくします。
また恋愛結婚は多くの場合、若い年齢で行われます。
若い人は
将来の人間関係の変化
長期的な心理変化
を十分に想像する経験を持っていないことも多いのです。
さらに現代社会では
恋愛して結婚するのが自然
という文化が広く共有されています。
そのため、多くの人は深く制度を考えずに恋愛結婚を選択します。
恋愛結婚が生んだ社会の変化
恋愛結婚が一般化したことで、婚姻制度にも変化が生まれました。
恋愛は
感情
魅力
心理
に大きく左右されます。
そのため
離婚
未婚
晩婚
といった現象が増えるようになりました。
恋愛結婚が婚姻制度にどのような影響を与えたのかについては、次の記事で整理しています。
→ 結婚制度は本質を失ったのか|恋愛結婚が生んだ制度の空洞化
まとめ
恋愛結婚は、人類史の中では比較的新しい現象です。
歴史的に見ると
恋愛は個人の感情
結婚は社会制度
として存在していました。
しかし産業革命以降の都市社会では
個人の自由
自由恋愛
個人選択
が広がり、恋愛が結婚の動機となりました。
つまり恋愛結婚は
近代社会が生んだ結婚形態
と言うことができます。
結婚という制度の構造については、次の記事で整理しています。