結婚という制度には、多くの社会で共通する特徴があります。
それは 排他的な関係であることです。
婚姻関係にある二人は、互いを配偶者として独占し、他の人物との同様の関係を持たないことが原則とされています。
現代ではこれを「一夫一妻制」と呼びますが、この仕組みは単なる道徳や慣習ではありません。
むしろ婚姻制度の中核にあるのは
排他契約
という性質です。
ではなぜ結婚は排他的契約なのでしょうか。
本記事では
婚姻制度の排他性
一夫一妻制の合理性
人類社会に共通する婚姻規範
という観点から、この問題を整理してみます。
Contents
婚姻は長期契約である
結婚は、基本的には長期的な関係です。
家庭を形成し
生活を共にし
子どもを育て
人生を共有する
という関係は、短期的なものでは成立しません。
そのため婚姻には
長期契約
という性質があります。
この長期契約を成立させるためには、ある前提が必要になります。
それが
排他性
です。
もし複数の関係が同時に成立してしまうと、家庭という生活単位は安定しません。
このため婚姻制度は、多くの場合
一夫一妻
という形を取ります。
父性の確定という問題
婚姻制度の排他性を説明する際に、しばしば指摘されるのが
父性の確定
です。
母親は出産によって子どもとの関係が明確ですが、父親はそうではありません。
そのため歴史的に多くの社会では
配偶者関係の排他性
不倫の禁止
といった規範が生まれました。
これは
誰の子どもなのか
という問題を明確にするためでもあります。
子育て投資の安定
もう一つの理由は
子育て投資
です。
人間の子どもは非常に未熟な状態で生まれ、長い養育期間を必要とします。
そのため
食料
保護
教育
など、多くの資源が必要になります。
こうした投資を長期的に行うためには
安定した家庭関係
が必要になります。
排他的な婚姻関係は、この安定を支える仕組みでもあります。
社会秩序としての一夫一妻制
婚姻制度は個人の関係だけでなく
社会秩序
にも関係します。
もし一部の人だけが多数の配偶者を持つ社会になると、男女比の問題から
結婚できない男性
社会的不満
が増える可能性があります。
このため多くの社会では、結果的に
一夫一妻制
が社会の安定に寄与してきました。
近親婚の禁止(インセストタブー)
婚姻制度にはもう一つ重要な要素があります。
それが
インセストタブー(近親婚の禁止)
です。
多くの社会では
親子
兄弟姉妹
近い血縁
との婚姻や性的関係が禁止されています。
この規範は人類社会に非常に広く見られ、人類学の重要な研究テーマにもなっています。
理由としては
遺伝的リスクの回避
家族内権力の抑制
他の家族との結びつきの促進
などが指摘されています。
つまり婚姻制度は
誰と結婚できるか
だけでなく
誰とは結婚できないか
も定めている制度なのです。
現代社会で排他性は揺らいでいる
現代社会では、婚姻制度そのものが変化しています。
恋愛結婚が主流になることで
感情
魅力
個人の自由
が婚姻関係の中で大きな役割を持つようになりました。
その結果
離婚の増加
未婚率の上昇
結婚の任意化
といった現象が見られます。
恋愛結婚が婚姻制度をどのように変化させたのかについては、次の記事で整理しています。
→ 結婚制度は本質を失ったのか|恋愛結婚が生んだ制度の空洞化
まとめ
婚姻制度の排他性を整理すると、次のようになります。
婚姻が排他的契約である理由は
父性の確定
子育て投資の安定
社会秩序
近親婚の禁止
といった複数の要素が重なっているためです。
つまり一夫一妻制は、単なる道徳ではなく
社会制度としての合理性
を持っています。
結婚制度の全体像については、次の記事で整理しています。