なぜおかっぱり釣りは釣れないのか?|制度が決めた“非効率な漁法”という仮説

夕暮れの防波堤で竿を手に座り込み、釣れずに考え込む男性。おかっぱり釣りが釣れない理由を問いかけるイメージ。
長時間粘っても釣れない――その理由は腕だけではなく、制度と労働時間の構造にあるのかもしれない。

「おかっぱりで何時間も粘ったのに、まったく釣れない。」

多くの人はそこで、自分の腕を疑う。
仕掛けが悪いのか、ポイント選びが甘いのか、潮を読めていないのか。

あるいは魚がスレ切っていてどうにもならないのか…。

しかし、別の角度から考えることもできる。

もしかすると問題は技術ではなく、
選べる漁法そのものにあるのではないか。

現代日本では、陸から一般人が使える漁法は実質的に竿釣りに限定されている。
一方で、籠や定置的な罠といった回収前提技術は制度上、一般人には許可されていない。

本記事では、労働時間と制度の違いに注目し、「おかっぱり釣りが釣れにくい理由」を順を追って整理していく。

ご注意→おかっぱりでももちろん釣れることもあります。「おかっぱりは釣れない」は釣りよりも努力に見合った効果を体感できる遊びは他にたくさんある…と言う意味の比喩です。


Contents

1|陸から許可されている漁法

現代日本で、陸から一般人が合法的に行える漁法は竿釣りである。

籠、魚梁、定置網などの回収前提技術は、漁業権や免許制度によって一般人の選択肢から外れている。

ここで重要なのは、どの漁法が優れているかではない。
どの漁法が許されているかである。

選択可能性は、制度によって先に決められている。


2|労働時間という視点

本記事では労働時間を次のように定義する。

労働時間とは、漁獲のために人が拘束されている時間である。

この定義に基づけば、

  • 回収前提技術の労働時間は「設置時間+回収時間」である。

  • 竿釣りの労働時間は「釣りをしている時間のすべて」である。

両者は、同じ「漁」でも時間の使い方が根本的に異なる。

罠は、時間を外部に預ける。
竿釣りは、時間を自分で抱え込む。


3|漁獲効率の定義

漁獲効率を次のように定義する。

漁獲効率とは、単位労働時間あたりの期待漁獲量である。

この定義を用いると、漁法の比較は感覚ではなく構造で語ることができる。


4|時間構造の差

回収前提技術は、設置と回収の二時点でしか人を拘束しない。

竿釣りは、魚がかかるまで人を連続的に拘束する。

もし同じ漁獲量が得られるなら、
労働時間が短い方が単位時間あたりの効率は高くなる。

この観点から見ると、回収前提技術の方が合理的に見える場面は少なくない。


5|選択できない合理性

しかし一般人は、その技術を選択できない。

制度制約が存在するためである。

結果として、一般人は竿釣りという労働時間の長い技術を選択せざるを得ない。

ここで生じるのは、個人の能力の問題ではない。
技術選択の制限という前提条件である。


6|「釣れない」という現象

おかっぱり竿釣りが釣れにくいと感じられるのは、

  • 労働時間が長くなりやすいこと

  • 漁獲効率が制度的に制約されていること

と無関係ではない可能性がある。

もちろん、技術差や環境差は存在する。

しかし、「釣れない」という経験のすべてを個人の腕に帰すのは早計かもしれない。


結論

おかっぱり竿釣りが釣れにくい現象は、魚がスレている以外に、

  • 労働時間の構造

  • 技術選択の制度制約

という二つの要素から説明できる可能性がある。

もし籠や定置的な罠が自由に使えるなら、
陸からの漁獲効率は違った様相を示すだろう。

しかし現代日本では、その選択肢は開かれていない。

釣れない理由を自分の技術だけに求める前に、
まず制度と時間構造を見直してみる。

そこから見える景色は、少し違うかもしれない。


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