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はじめに:違いが分かりにくい理由
ヨットとボートの違いを調べても、どこか腑に落ちません。
帆があるかどうか、大きさ、用途――説明は様々ですが、明確な境界は見つかりません。
理由は単純です。
多くの人が無意識に、
船はヨットかボートのどちらかに必ず属する
という前提を置いているからです。
しかし実際には、
ヨットでもありボートでもある船が存在します。
ヨットでもボートでもない船も存在します。
この可能性が最初から排除されているために、違いを探すほど混乱が深まります。
まずこの前提を外すところから始めたいと思います。
ボートorヨットの2択ではなく、3軸で整理
説明のために、船を3つの軸で単純化してみます。
現実はもっと複雑ですが、このモデルで多くのケースは整理できます。
軸1:用途
レジャー目的か、業務目的かです。。
軸2:帆走可能性
帆走設備を持つか否かです。
(多くの帆船は補助エンジンを積みますが、重要なのは「機走するか」ではなく「帆走できる設計かどうか」です。)
軸3:サイズ
小型か大型かです。
この3軸の組み合わせで、船は8通りに整理できます。
ヨットでもあり、ボートでもあります。
たとえば、
- レジャー目的
- 帆走可能
- 小型
この組み合わせの船は、日本では通常「ヨット」と呼ばれます。
しかし英語では、これは普通に boat とも呼ばれます。
つまり、ある文脈ではヨットであり、別の文脈ではボートでもあります。
2択ではありません。
ヨットですが、ボートとは呼ばれない場合もあります。
たとえば、
- レジャー目的
- 帆走不可
- 大型
英語ではこの種の船は yacht と呼ばれることが多いです。
帆走できない構造なのに、yachtと呼ばれるの点が日本人にはなじみがありません。
だから、日本では、帆がない限り通常「ヨット」とは呼ばれません。
同じ船でも、言語と分類軸の取り方によってラベルは変わります。
日本人に馴染みがあるのは以下のようは船でしょう。
- レジャー目的
- 帆走可能
- 小型
こうした船は日本ではヨットと呼ばれますが、海外ではboatあるいはsailing boatと呼ばれたりします。
ヨットではなく、ボートである場合。
さらに、
- 業務目的でもレジャー目的でも
- 帆走不可
- 小型
こうした船は日本でも海外でもボート(boat)です。
ヨットでもボートでもない場合
さらに、
- 業務目的
- 帆走不可
- 大型
こうした船は通常 ship と呼ばれます。
ここにはヨットもボートも出てきません。
つまりヨットとボートは、船を2分する語ではないのです。
明確な境界が見つからないのは当然です。
3軸で整理すると分かります。
ヨットとボートは、
互いに完全に排他的な箱ではありません。
ある条件では重なり合い、
ある条件では離れ、
ある領域ではどちらにも属しません。
それにもかかわらず、
「どちらかに必ず入るはずだ」
この前提が、違いを分かりにくくしています。
結論:そもそもヨットとボートの間に境界はない
ヨットとボートの区分けは、船の構造だけに由来しません。
だから、ヨットとボートの分ける明確な境界を探す限り、答えは見つかりません。
しかし、既述した3軸で整理すれば、混乱はかなり解消します。
ヨットとボートは「どちらか一方に必ず属する存在」ではなく、どちらにも属する船もあれば、どちらでもない船もあります。なお、船の呼び方や名称についての具体的な解説は別記事船の種類と呼び方|ボートやヨットなどのテクニカルな意味に詳述しています。