ノーマルGRヤリス8速DATの完成度|雨天のサーキットで連続30周してわかったこと

雨天のサーキットを走行するノーマルGRヤリス8速DAT後期型。連続30周のスポーツ走行に耐える完成度を象徴する走行シーン
画像は前期型を使用したイメージです。

ノーマルのGRヤリス8速DATは、サーキットスポーツ走行を余裕でこなせる速さと堅牢性を持ちながら、日常生活ではドライバーに極端な無理を強いない素晴らしいクルマである。
この両立が、雨降るサーキットでの連続30周スポーツ走行して高い完成度で成立していると確認できたので、報告したい。

Contents

はじめに

その日は雨で、だが幸運な事にコース上は私一人だけだった。やや滑りやすい路面での、走り放題、試し放題という素晴らしい条件が揃っていた。

サーキットでの連続30周のスポーツ走行は、ドライバーにとってもクルマにとってもそれなりに過酷である。ドライバーには集中力の持続が、そしてクルマには性能の維持が求められる。
だから、サーキットでのスポーツ走行では、クルマとドライバーの両方の”完成度”が素直に露呈してしまう。

ペースを落とさず、集中を切らさず、淡々と周回を重ねる。
そのなかで、クルマに無理が溜まっていくのか、それとも余裕が残っているのかは、走っていれば自然と分かる。

GRヤリス8速DATは、走り始めから30周目まで、印象が変わらなかった。

操作に追われない、という素晴らしさ

雨天ということもあり、走行中、意識は常にクルマの挙動に向いていた。
しかし、ギヤ選択や変速操作や回転数への配慮に気を取られることはない。

考えているのは、

次の操作でタイヤが路面をグリップしてくれるか

それだけだ。

操作が少ないからこそ、感じ取れる情報が増え、それを処理する余裕も生まれる。
DATであることは、この30周では一貫して集中を助ける方向に働いた。

例えば、ストレートでの迷いが激減する

コーナーを抜けてストレートでは加速するが、GRヤリスDATなら、アクセル操作に一切のためらいがない。
オーバーレブを意識する必要もなく、4WDになので雨中でのトラクションの不安もほぼない。

意識の中にあるのは、

「まだ踏めるか」ではなく
「このストレートのどこまで踏むべきか」

という問いだけだ。

ブレーキングと旋回に集中できる時間

ストレートエンドでは、タイヤのグリップ限界を探りながらのブレーキングに集中できる。
ギア比やシフト操作を気にせず、減速と荷重移動の最適化に意識を向けられるからだ。

ターンインでは、舵角に対するフロントの応答を確かめる余裕がある。
コーナリング中は、狙ったラインに対してニュートラルステアを維持できるアクセル量と舵角を丁寧に探る。

そして、姿勢を乱さず次のストレートあるいは次のコーナーに向けて最適な姿勢を作る。

この一連の流れが、30周目でも崩れない。
考えるべきこと、操作すべきことが少ないと、よりシャープにクルマの挙動コントロールに集中できる。

この状態が続くと、走りが安定してくるし、ラップも揃う。
それが30周という時間の中で、はっきりと体感できた。

走り終えたあとに残った感覚

30周走り切ったあと、理屈コネ太郎に残ったのは、場面ごとに発生したクルマの挙動変化の感覚である。
無理をさせた感じも、限界を踏み越えた感じもない。クルマと私が一体になって、スポーツ走行を味わった感動が胸のうちにしっかり刻まれている。

サーキットでのこのクルマは、

速く

確実で

信頼性が高く

それなのに日常へ何事もなく戻れる…という完成度に、工場出荷状態から出来ている。

おわりに

サーキットを30周走ったその帰りに、
コンビニに寄る。歩道の段差を超えて面のうねった駐車場に入れる。

その時、何かを気にする必要は全くない。
ノンシャランにクルマを駐車場に突っ込み、エンジンを停止する。

GRヤリス8速DATは、
特別な日にだけ輝くクルマではない。
真剣に走っても壊れず、真剣に走ったあとに普通にコンビニに寄れる。

サーキットでの30周は、
その高い完成度を、身体感覚として確信させてくれた。

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