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はじめに
所有とは何か。
所有とは、
その対象について最終的に決める立場に立つことであり、
同時に責任の所在を所有者に確定させることでもある。
住み方を決める。
使い方を決める。
貸すか、売るか、壊すかを決める。
この最終決定権が、所有の核心だ。
ただし決定権は単独では存在しない。
責任は所有者に固定される。
そして責任が固定されると、
撤退の形も変わる。
手放すことはできる。
しかし放置では終わらない。
制度の出口を通る必要がある。
本稿では、
所有を「決定権」「責任」「撤退」という三つの視点から整理する。
Ⅰ. 所有とは「最終的に決められる立場」に立つこと
法的に言えば、所有とは
使用・収益・処分の権利を持つことを意味する。
使うかどうかを決める。
利益を得るかどうかを決める。
売るか、貸すか、壊すかを決める。
その対象について最終的な判断を下せる立場に立つ。
これが所有の中心である。
住宅でも、車でも、土地でも、機械でも同じだ。
誰が最終決定を下すのか。
そこが所有の分岐点になる。
Ⅱ. 所有は自由を広げるが、同時に責任を固定する
最終決定権を持つということは、
その決定の結果を引き受けるということでもある。
維持管理。
安全確保。
近隣への配慮。
税負担。
対象に関わる責任は、所有者に帰属する。
所有は、自由を広げる。
同時に、責任の所在を明確にする。
「買えば自由になる」と感じるのは、
決定権の側面だけを見ているからだ。
しかし制度の中では、
決定権と責任は切り離されない。
Ⅲ. 責任が固定されると、撤退の形も法的に拘束される
責任の所在が所有者に確定すると、
対象から離れる方法も制度の内部に組み込まれる。
譲渡。
売却。
解体。
契約解除。
いずれも手続きが必要だ。
所有物を放置することはできない。
安全上の問題や第三者への影響が生じれば、
責任は所有者に向かう。
撤退は可能である。
しかしその形式は、法と契約の枠内で定義される。
所有は、対象に対する関与を
制度の中に固定する。
Ⅳ. 撤退はできる。しかし簡単ではない
所有をやめることはできる。
売ることもできるし、譲ることもできる。
しかし取得前の状態に戻るわけではない。
時間がかかることがある。
費用がかかることがある。
相手との合意が必要になることもある。
手続きが成立して初めて、
撤退は完了する。
所有は、決定権を与える。
同時に、その決定に社会的整合性を求める。
だから撤退は、気分や放置では終わらない。
制度の出口を通る行為になる。
Ⅴ. 所有を選ぶとは何を引き受けることか
所有を選ぶということは、
最終決定権を得ることを選ぶということだ。
同時に、責任の固定を選ぶことでもある。
さらに言えば、
撤退が制度の中で定義される状態を選ぶということでもある。
所有は、自由の拡張装置ではない。
決定権と責任が一体化する構造である。
その構造を理解した上で持つのか。
あるいは持たないのか。
所有は、
信条ではなく、構造の選択である。
おわりに
所有は、対象を「持つ」ことではない。
所有とは、
決定権を持ち、
責任を引き受け、
制度の中で出入りする立場に立つことである。
当たり前に使っている「所有」という言葉を、
決定権・責任・撤退の構造から捉え直す。
それだけで、
選択の見え方は変わる。
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