本記事は、
積立・長期・分散という考え方が、資産形成においてどのような力学を持つのかを、
数値と構造を用いて整理することを目的としています。
特定の投資商品や投資手法を勧めるものではありません。
あくまで、判断材料としての基礎的な情報共有です。
Contents
なぜ「資産設計」が必要なのか
理不尽だと感じる出来事は、
たいてい個人の努力だけではどうにもならないところから生じます。
給与は簡単に上がらない
物価や税負担は静かに上がる
将来の制度は確実ではない
こうした環境の中で重要になるのは、
短期的な勝ち負けではなく、
長期戦を前提にした設計です。
積立・長期・分散という考え方は、
一発逆転を狙うためのものではありません。
折れずに生き残るための構造を作るための選択です。
投資を考える前に、必ず確認しておくこと
最初に、最も重要な前提をはっきりさせておきます。
生活資金を投資に回してはいけません。
投資に使ってよいお金は、
それがゼロになっても、生活が破綻しない完全な余剰資金
だけです。
資産形成は、
インデックス投資や長期の複利効果を
信じ切れるかどうかにかかっています。
そして、その「信じ切る力」は、
精神論ではなく、
生活が安定しているかどうかによってのみ支えられます。
だからこそ、
投資テクニックより
商品選びより
日々のキャッシュフローをできるだけ大きく保つことが重要になります。
試算の前提条件
以下の数値は、次の前提で試算しています。
毎月定額積立
税制・手数料・インフレは考慮しない
年率リターンは仮定値(将来を保証するものではない)
金額は実務上十分な精度の概算
まず「積立元本」を確認する
毎月1万円を積み立てた場合の元本
| 投資期間 | 積立元本 |
|---|---|
| 10年 | 120万円 |
| 20年 | 240万円 |
| 30年 | 360万円 |
| 40年 | 480万円 |
この元本は確定です。
以下の差分が、時間と複利の効果になります。
毎月1万円積立した場合の元本と資産額
年率 5%
| 期間 | 元本 | 資産額 |
|---|---|---|
| 10年 | 120万円 | 約155万円 |
| 20年 | 240万円 | 約410万円 |
| 30年 | 360万円 | 約830万円 |
| 40年 | 480万円 | 約1,450万円 |
年率 7.5%
| 期間 | 元本 | 資産額 |
|---|---|---|
| 10年 | 120万円 | 約170万円 |
| 20年 | 240万円 | 約520万円 |
| 30年 | 360万円 | 約1,130万円 |
| 40年 | 480万円 | 約2,260万円 |
年率 10%
| 期間 | 元本 | 資産額 |
|---|---|---|
| 10年 | 120万円 | 約190万円 |
| 20年 | 240万円 | 約690万円 |
| 30年 | 360万円 | 約2,200万円 |
| 40年 | 480万円 | 約5,300万円 |
年率 12.5%
| 期間 | 元本 | 資産額 |
|---|---|---|
| 10年 | 120万円 | 約210万円 |
| 20年 | 240万円 | 約920万円 |
| 30年 | 360万円 | 約3,600万円 |
| 40年 | 480万円 | 約9,500万円 |
表の使い方
この表は 毎月1万円 が基準です。
毎月2万円 → 表の金額を 2倍
毎月5万円 → 表の金額を 5倍
例
毎月2万円を、年率10%で30年積み立てた場合:
元本:360万円 × 2 = 720万円
資産:約2,200万円 × 2 = 約4,400万円
数字から見えてくる重要な事実
積立額は線形に効く
積立額を2倍にすれば、
最終的な資産もほぼ2倍になります。
期間とリターンは指数関数的に効く
特に後半10年の伸びが圧倒的です。
長期を続けられるかどうかで、結果は大きく変わります。
積立は貯金の代わりではない
貯金:元本と資産は同じ
積立投資:長期になるほど 元本と資産が乖離
この乖離こそが、
積立・長期・分散の本質です。
最後に
資産形成は、
特別な才能や鋭い判断力によって決まるものではありません。
生活を安定させる
余剰資金だけを使う
世界経済の成長に、長く参加し続ける
その構造を作れるかどうか。
それがすべてです。
