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■ はじめに|前提の明示
本記事は、一代限りで完結する資産形成を前提とする。
子どもへの相続や世代間移転は扱わない。
ここで考えるのは、
自分の人生の中で、資産形成はいつまで続けるのか
という問いである。
資産形成は永遠に増やし続ける営為ではない。
しかし、増やすことをやめる基準もまた、曖昧にされがちである。
本稿では、その終了条件を構造として整理する。
■ 第1章|資産形成と成長フェーズは同義ではない
資産形成とは、生涯を通じた資産の設計である。
そこには、
増やす期間
使う期間
の両方が含まれる。
成長フェーズとは、その中で「資産を増やす必要がある期間」である。
したがって、
資産形成 = 成長フェーズ
ではない。
成長フェーズは、資産形成の前半工程にすぎない。
■ 第2章|なぜ「十分増えた」は基準にならないのか
多くの人は、
「これだけあれば十分だろう」
という感覚で成長フェーズの終了を考える。
しかし「十分」という言葉は曖昧である。
市場は変動する。
寿命は不確実である。
支出も変化する。
感覚で決めた“十分”は、構造的な基準にはならない。
■ 第3章|終了条件は構造で決まる
成長フェーズの終了とは、
自分が想定する人生の終点に対し、資産が先に尽きない構造を確認できた時である。
ここで重要なのは金額ではない。
重要なのは、
生活費を資産から安定的に賄えること
下落局面でも破綻しないこと
期待余命との整合が取れていること
である。
この構造が確認できた時、成長フェーズは終了する。
■ 第4章|取り崩しは敗北ではない
取り崩しは、複利の放棄ではない。
それは、複利の役割転換である。
成長期においては複利は拡張装置であった。
卒業後は、生活を支える安定装置へと変わる。
資産形成の目的は、永遠に増やすことではない。
生涯を通じて安定を確保することである。
■ 第5章|増やすことが目的化する危険
成長フェーズが長く続くと、
増やすこと自体が目的化する。
しかし、資産形成は手段である。
自由を確保するための手段であり、
不安を減らすための手段である。
手段が目的化したとき、資産形成は終わらなくなる。
■ 結び
資産形成は、生涯続く設計である。
しかし成長フェーズは永遠ではない。
成長フェーズの終了とは、
自分が想定する人生の終点に対し、資産が先に尽きない構造を確認できた時である。
それは増やせなくなった状態ではない。
増やす必要がなくなった状態である。
資産形成の卒業とは、
複利を止めることではなく、
複利に依存しなくても生きられる状態に移ることである。
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筆者紹介は理屈コネ太郎の知ったか自慢|35歳で医師となり定年後は趣味と学びに邁進中
