タイヤの横グリップを使うためのサーキット練習法 ──旋回中のアクセルワークを成立させるため

サーキットのコーナーで旋回中、アクセルワークによって横グリップを限界手前まで使って走行するスポーツカーの後方イメージ
旋回中のアクセルワークによって、横グリップを限界の一歩手前で維持する練習が重要になる。

本記事の目的は、
コーナリング中にタイヤの横グリップを、
アンダーステアやテールスライドが発生する一歩手前まで、
安定して使いきれるようになるための
サーキットでの練習方法を整理すること
である。

そのために行うべき練習は、

  • ライン取りでもなく

  • ブレーキングの奥行きでもない

旋回中のアクセルワークと、最小限の舵角修正である。


Contents

横グリップを使う練習は「旋回中」にしか存在しない

横グリップは、

  • ストレートでは使えない

  • そして、進入中でもまだ使い切れない

横グリップを使う練習とは、

  • フロントが逃げてアンダーステアになる直前

  • リアが緩んでテールスライドに移行する直前

その狭い帯域を、
コーナリング中に保ち続ける練習である。

つまり、

横グリップ練習の本体は、
コーナリング中のアクセル操作と舵角修正にある。


なぜ進入で「安定」を作る必要があるのか

ただし、この練習には前提条件がある。

それは、
コーナリングに入った時点で、荷重が安定していることだ。

ストレートエンドで減速を行うと、

  • 前後方向の荷重移動が発生し

  • ブレーキを緩めたあとも、しばらく揺れが残る

この状態で舵角を与えると、

  • フロントとリアの接地感が一定しない

  • アクセル操作に対する反応が読めない

結果として、
旋回中に横グリップの限界を探る練習が成立しなくなる。


進入は「練習環境を整える工程」にすぎない

だから進入では、

  • ストレートエンドで十分に速度を落とし

  • 荷重移動を完了させ

  • 姿勢を安定させてから旋回に入る

これは、練習そのものではない。
練習環境を整えるための準備である。


横グリップ練習の核心:旋回中のアクセルワーク

旋回に入ったら、
ここからが本番だ。

コーナリング中は、

  • 舵角はできるだけ一定

  • クルマの向きはアクセルで微調整する

という意識で走る。

具体的には、

  • 速度が高く、フロントが逃げ始めたら
    → アクセルをわずかに緩める

  • ノーズがインに入りすぎ、向きが過剰になったら
    → アクセルをわずかに踏み増す

この操作によって、

  • 前後荷重が微妙に変化し

  • 横グリップの使われ方が変わる

その結果として、
アンダーステアやテールスライドの一歩手前に
クルマを留め続ける。

これが、
横グリップを使い切る練習である。


舵角修正は「原因」ではなく「結果」にする

この練習で重要なのは、
舵角修正を主役にしないことだ。

舵角は、

  • 向きを作るための操作ではなく

  • アクセル操作の結果として、最小限行うもの

であるべきだ。

舵角で無理に向きを変えようとすると、

  • フロントグリップだけを酷使し

  • 横グリップの帯域から外れやすくなる

横グリップを使う練習では、
舵角は抑え、アクセルで姿勢を作る。


「ブレーキで曲げる」と矛盾しているように見えるが、そうではない

ここで、

進入では減速を終えてから舵角を与える

という考え方が、
かつてよく言われた
「ブレーキで曲げる」という表現と
矛盾するように感じられるかもしれない。

しかし、実際にはそうではない。


「ブレーキで曲げる」は当時の文脈では正しかった

かつて頻繁に言われていた
「ブレーキで曲げる」という表現は、
当時のタイヤ性能と走行文脈において、完全に適合していた。

当時は、

  • 横グリップの絶対値が低く

  • 荷重移動が挙動に直結しやすく

  • ドリフト走行も含めた独特の旋回文化があった

ブレーキングによる前輪荷重は、
クルマを旋回状態に入れる
分かりやすいトリガーだった。


現代では、その思想はトレイルブレーキに宿っている

今日の高グリップタイヤを前提にすると、
「ブレーキで曲げる」という考え方は、
トレイルブレーキという形で生きている
理屈コネ太郎は今になって考えている。

すなわち、

  • 減速を完了させ

  • 荷重を安定させたうえで

  • 旋回初期に、ごく微量のブレーキで姿勢を整える

これは、

  • 進入を速くするための操作ではなく

  • 旋回中の横グリップ練習を成立させるための補助操作

にすぎない。


私自身も、概念をアップデートできていなかった

正直に言えば、
私自身も長いあいだ、

「ブレーキで曲げる」という概念をアップデートせずに
そのまま現代のグリップ走行に持ち込んでしまっていた。

その結果、

  • 進入でフロント荷重を作ることに意識が向きすぎ

  • 旋回中のアクセルワークがおろそかになり

横グリップを使う練習の核心から、
少しズレていたのだと思う。


まとめ|横グリップ練習の主役は、旋回中にある

横グリップを上手に使えるようになるための練習は、

  • 進入を速くすることではない

  • フロント荷重で無理に曲げることでもない

旋回中に、
アクセルと最小限の舵角修正で、
横グリップの限界帯を保ち続けること
にある。

進入で荷重を安定させるのは、
その練習を成立させるための準備にすぎない。

そう考えると、
「ブレーキで曲げる」という言葉も、
現代ではトレイルブレーキという形に翻訳されている
と理解できる。

横グリップ練習とは、
その翻訳を身体で納得するための、
地味だが確実なプロセスなのである。

そして、
ストレートからコーナーへの移行がスムーズに行え、
コーナリング中の横グリップ利用が思いのままになったとき、
次に取り組むべき課題が、

  • ストレートエンドのブレーキを奥へ持っていくこと

  • そして、ライン取りの戦術

なのだろう──
いまは、そんな気がしている。


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