ドローン国家資格|一等と二等の違いとレベル1~4の飛行区分をわかりやすく整理する

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はじめに:どちらを取るべきか迷う人が多い理由

2022年に始まったドローンの国家資格制度。
制度が整ったとはいえ、「一等と二等、何が違うの?」という疑問は依然として多い。
講習内容や飛行範囲、資格の価値を理解せずに選んでしまうと、
自分の目的に合わない資格を取ることになりかねない。

そもそもドローンを飛ばすのに国家資格が必要かどうかで悩んでいる人は別記事国家資格の要vs不要論争に決着|ドローンの社会実装に参加するなら必要を参照して下さい。そこに答えを記述しました。

さらにこの制度を正しく理解するには、まずレベル1~4という飛行区分を知ることが欠かせない。
この記事では、レベル区分の概要と、一等・二等資格の違いを目的別にわかりやすく整理する。
自分がどんな飛行をしたいのかを明確にすれば、どちらを目指すべきかが自然と見えてくる。


第1章:国家資格ができた背景

国家資格制度は、ドローンの飛行ルールを統一し、操縦者の技能を社会全体で均質化・底上げする目的で設けられた。
資格を持たないまま無許可で飛ばすケースが増え、事故やトラブルも報告されていたためだ。

この制度により、今後のドローン産業は**「許可された空域を、資格を持った人が安全に飛ばす」**という前提で発展していく。
その中心に位置するのが、一等・二等という二段階の国家資格であり、これに対応して「レベル1~4」という飛行区分が設定されている。


第2章:レベル1~4とは何か ― 飛行のリスクと制限の区分

ドローンの飛行レベルは、**「どれだけリスクの高い環境で飛ばせるか」**を基準に4段階で定められている。

レベル内容主な利用シーン必要な資格・許可
レベル1目視内での手動飛行(特定飛行ではない)趣味の空撮、練習、屋外撮影など不要(国家資格不要)
レベル2目視内での自動・プログラム飛行点検・測量などの定常飛行不要(申請または民間資格で可)
レベル3目視外飛行(無人地帯・補助者あり)農業、測量、インフラ点検など二等無人航空機操縦士または許可申請
レベル4目視外飛行(有人地帯・補助者なし)物流、災害救援、警備、都市上空飛行など一等無人航空機操縦士が必須

つまり、レベル4こそが社会実装レベルであり、ここに踏み込むために国家資格「一等」が設けられている。
レベル3までであれば、二等資格または申請手続きで対応可能だ。


第3章:一等と二等の基本的な違い(概要表)

比較項目一等無人航空機操縦士二等無人航空機操縦士
対応レベルレベル4(有人地帯目視外)を含む全レベルレベル3(無人地帯目視外)まで
飛行可能範囲都市部・人口集中地区を含む全空域無人地帯・郊外中心
飛行条件補助者なしでの目視外飛行が可能補助者の配置が必要
主な業務領域物流・災害救援・警備・都市点検農業・測量・インフラ点検など
試験構成学科・実地・口述(難易度高)学科・実地(比較的容易)
許可・承認原則不要(資格が許可に代わる)一部飛行で申請が必要
費用・難易度高(約40~60万円)中(約20~30万円)

第4章:一等資格が必要になるシーン

一等は、レベル4=有人地帯での目視外飛行を行うための資格だ。
これは、都市部でのドローン物流や警備、災害支援など、**「社会実装の現場」**を支える操縦士のための資格である。

代表的な一等資格が必要な業務

  • 市街地での物資配送(ドローン物流)

  • 災害発生時の被災地上空での救援・撮影

  • 高層ビルや橋梁の外壁点検

  • 都市の警備・監視システムの運用

  • 複数ドローンの統合運航管理

一等操縦士は「空の新産業を担う人材」であり、社会の空を動かすプロフェッショナルだ。
資格取得には筆記試験・実地試験・口述試験があり、気象・電波・法令・安全運航の総合的知識が求められる。


第5章:二等資格でできること

二等は、**レベル3=無人地帯での目視外飛行(補助者あり)**を想定している。
農業や測量、林業、インフラ点検など、人の少ない地域での業務飛行が中心だ。

二等資格で可能な主な業務

  • 農薬散布・農地管理

  • 河川やダムの測量・点検

  • 山岳地帯での災害調査

  • 建設現場での進捗確認

  • 空撮・映像制作(非都市部)

二等資格があれば、特定飛行(夜間・目視外・30m以内など)を行う際に、都度申請を簡略化できる。
ただし、都市部での飛行や補助者なしの目視外飛行はできない。
産業用途には十分だが、社会インフラとしてのドローン運用を担うには一等が必要になる。


第6章:どちらを目指すべきか ― 目的別の考え方

あなたの目的向いている資格
趣味で空撮を楽しみたい国家資格不要(民間資格で十分)
農業・測量など非都市部での業務二等
物流・警備・災害対応・都市上空運用一等
ドローンスクールで講師をしたい一等(信頼度が高い)

将来、都市部でのドローン運用が本格化すれば、一等資格保持者が業界標準になる可能性が高い。
国家資格は、単なる“免許”ではなく、ドローン社会に参入するためのパスポートである。


おわりに:資格の選択は「未来の自分の位置」で決まる

一等と二等の違いは、単なる難易度の差ではない。
それは、どんな空を飛びたいか、どんな未来に関わりたいかという選択の問題だ。

二等は現場で役立つ実用資格。
一等は社会の空を動かすための戦略資格。

もしあなたが、ドローンの社会実装――物流・救援・警備・交通管理といった
「空の新しい産業」に参加したいなら、一等を目指すのが最短の道である。


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