本ページでは、OM SYSTEMのドットサイト照準器EE-1を、実際にOM-1で使用した経験をもとに、その使用感・利点・難点・効果的な使い方をまとめて紹介する。
これから導入を検討している方の参考になれば幸いである。
なお、ここに書くことはあくまで『理屈コネ太郎』の独断と偏見、知ったかぶりであることをご了承いただきたい。
Contents
第1章 EE-1とは何か ― 仕組みと特徴
ドットサイト照準器EE-1は、動く被写体を素早く捉えるための補助ツールだ。
OM-1のホットシューに装着し、赤い光点(ドット)を被写体に重ねるだけで、カメラ画面の中央に被写体が収まる仕組みになっている。
このシンプルな構造が、飛ぶ鳥など高速に移動する被写体の撮影に大きな効果を発揮する。とくにマイクロフォーサーズはトリミング耐性が高くないので、被写体をどれだけフレームの中に収められるかが重要だから。



EE-1は、銃器のオープンサイトのように照門・照星を合わせる必要がない。
紅いドットを目標に合わせるだけでよく、しかもメガネをかけたままでもシャープに見える。
これはメガネ使用者にとって極めてありがたい仕様である。
第2章 初期設定とサイト調整 ― 命中精度を決める手順
EE-1を使うには、まず「サイト調整」が欠かせない。
手順は以下の通り。
カメラを三脚などに固定する。
遠くの静止ターゲットをフレーム中央に置く。
EE-1の調整ダイヤルを操作し、光点をターゲットと一致させる。
この作業は、言葉で書くほど簡単ではない。
適切なターゲットが見つからないことも多く、安定した三脚が必要だ。
さらにEE-1のクリック調整は一段の変化幅が大きいため、超望遠撮影時には「あと半クリック欲しい」場面が頻発する。
しかも最大の難点は、調整がすぐにズレることだ。ちょっとの衝撃で照準がずれる。
樹脂製の装着部が柔らかく、わずかな力でも位置が変わってしまう。
自宅で調整を終え、クルマの助手席に置いたまま移動しただけで、現地到着時にはズレていることがある。
つまり、撮影直前の再調整が必須なのである。大変に面倒くさい。
第3章 実戦投入 ― 飛ぶ鳥を狙う
飛翔中の鳥を撮るとき、構図を語る以前にまず「被写体をフレームに入れる」ことが最難関だ。
一瞬の判断と動作が要求される中、ドットサイトの力は圧倒的である。


ファインダーを覗く必要はない。
眼から30センチほど離れた位置で、両腕を自然に伸ばし、紅いドットを鳥に重ねる。
この姿勢なら、被写体を視界から外すことなく撮影できる。
慣れれば片手でも可能だ。


ドットサイトを使うことで、飛ぶ鳥をフレーム中央近くに収める成功率は劇的に上がった。
鳥の表情や目線が明確に写るショットも多く、空を舞う姿の生命感が伝わってくる。
構図の美しさを追う前に、まず「捕捉できること」。
ドットサイトはその最初のハードルを軽やかに越えさせてくれる。
第4章 撮影設定と機材構成
今回の撮影では、
OM-1
M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS
JPEG撮影
という構成を使用した。
固定撮影でも十分な成果を得られたが、手ブレ対策や粒度の最適化を詰めればさらに良い結果が得られるだろう。
また、EE-1のフレーム追従性から見ても、揺れる船上撮影でも効果を発揮すると確信している。
第5章 利点と難点 ― EE-1を正しく理解する
長所
動く被写体をフレーム内に収める成功率が大幅に上昇
ファインダーを覗かずに素早く構図を決定できる
メガネをかけたままでもドットが明瞭に見える
眼で被写体を追いながら、カメラ操作が可能
短所
装着部の精度が甘く、再調整が頻繁に必要
ダイヤルクリックの調整幅が大きく、微妙な狙いが難しい
調整には安定した三脚が必須
(写真7:EE-1調整作業中の風景)
第6章 理屈コネ太郎的結論
EE-1は「超遠距離狙撃のように正確な照準を取る装置」ではない。
だが、その実用性は確かだ。
適切な期待値で使えば、超望遠撮影の歩留まりを明確に向上させてくれる。
ファインダーに被写体を入れられず苦労した経験がある人ほど、この装置のありがたみがわかるはずだ。
完璧を求めず、適度な塩梅で使いこなす――
それがEE-1との上手な付き合い方である。
理屈コネ太郎もまた、過剰な理想を修正しながら、この便利なツールを愛用していくつもりだ。
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著者紹介は
理屈コネ太郎の知ったか自慢|35歳で医師となり定年後は趣味と学びに邁進
まとめ
EE-1はよくできた装置だがカメラとの締結部の強度に問題がある。その点を、正しく理解して使えば確実に結果を変えるツールだ。
「飛ぶ鳥を狙う」という難題を楽しみに変えてくれるこの小さな装置――。
ブラボー、ドットサイト。
