ラップタイムは何を測る数字か ☆ GRヤリスDAT自己ベストを筑波TC2000で試算

ラップタイムが測るのは、所与の車両、タイヤ、路面、気象などの条件のもとで、一周をどれだけ短い時間で走れるかという能力です。

運転技術には、安全性、快適性、燃費、悪条件への対応、耐久走行での車両管理、レースでの他車との駆け引きなど、さまざまな領域があります。

その中で「一周をできるだけ速く走る」という課題に限れば、ラップタイムはドライバーの技能をかなり正確に反映する数字だと私は考えています。

私は最近通い始めた全長3.5kmのサーキットで、2024年式GRヤリスDATの完全ノーマル車を走らせ、1分52秒318の自己ベストを記録しました。

この数字だけでは、普段そのコースを走らない人には速さの水準が伝わりにくいため、筑波サーキットTC2000を共通の物差しとして試算してみます。

今回の実測平均速度は約112.18km/hです。

TC2000での平均速度低下量を複数のシナリオとして置いて計算すると、試算タイムは約1分06秒8から1分10秒7まで動きます。

そのうち、平均速度が3km/h低くなるケースでは約1分07秒4です。

この試算を通じて、自分の現在の走行水準と、そもそもラップタイムという数字が何を測っているのかを考えてみます。

ラップタイムが測るのは「一周を速く走る能力」

一周のタイムアタックでは、さまざまな操作が最後に一つの数字へ集約されます。

ブレーキングポイント、制動力の立ち上げ方と抜き方、コーナーへの進入速度、走行ライン、旋回中の姿勢、アクセルを開け始める位置、立ち上がり加速。

これらを一周としてつなぎ、その総合的な結果として現れるのがラップタイムです。

耐久走行では、ここにタイヤやブレーキ、燃料、車両を効率よく使う能力が加わります。

レースではさらに、スタート、追い抜き、防御、交通処理、他車との位置関係を読む能力が加わります。

一周のタイムアタックでラップタイムが直接反映するのは、所与の条件下で一周を最短時間にまとめる技能です。

そして時計は、年齢、肩書、経験年数、知識量、自己評価とは独立して結果を返します。

1分52秒318で走れば、記録される数字は1分52秒318です。

この明快さが、ラップタイムという尺度の大きな魅力だと思います。

2024年式GRヤリスDATで自己ベストを更新

今回記録した自己ベストは、

1分52秒318

でした。

使用したのは、弐号機である2024年式GRヤリスDATです。

走行に関わる部分は市販状態のままで、

  • 純正サスペンション
  • 純正ブレーキ
  • 純正タイヤ
  • 純正電子制御
  • 純正エンジン
  • 純正駆動系

という仕様です。

私が走っているのは、全長3.5kmで、長いストレートと大きな高低差を持つローカルサーキットです。

そこで、この1分52秒318という数字を、より多くのスポーツ走行経験者がイメージしやすい筑波サーキットTC2000へ置き換えて考えてみることにしました。

本来は同じ条件のパーセンタイルを比較したい

異なるサーキットで走行水準を比較するなら、それぞれのコースで記録されたタイムの分布を調べ、同じパーセンタイル同士を比較する方法が有力です。

例えば、同程度の車種、タイヤ、改造範囲、ドライバー層について、あるコースの上位20%が何秒で、TC2000の上位20%が何秒なのかを比較します。

これなら、コース全長や平均速度だけでなく、実際にそのコースを走った人たちの結果を基準にできます。

今回走行しているローカルサーキットについては、車種、タイヤ、改造状態、ドライバー経験などを揃えた十分なタイム分布を確保できていません。

そこで今回は、平均速度を起点とした感度分析を行います。

まず平均速度を求める

コース全長は3.5km。

ラップタイム1分52秒318は、112.318秒です。

したがって平均速度は、

3.5km ÷ 112.318秒 × 3600 ≒ 112.18km/h

となります。

今回の自己ベストでは、一周を平均約112.18km/hで走ったことになります。

ここまでは、実測されたラップタイムとコース全長から求められる計算値です。

TC2000では平均速度がどの程度変わるか

筑波TC2000は全長2.045kmで、比較的短い直線と複数のコーナーが組み合わされたテクニカルなコースです。

今回走行した3.5kmコースは、長いストレートに加えて大きな高低差を持ち、TC2000とはレイアウトの性格がかなり異なります。

長いストレートは平均速度を高めやすく、コーナーの配置や高低差は加減速の仕方を大きく変えます。

両者を同じ車両、同じドライバーで走った比較データがあれば、平均速度差を具体的に検討できます。

今回は、結果が平均速度の仮定によってどの程度動くのかを見るため、TC2000での平均速度低下量を2、3、5、6、8km/hと段階的に置いて計算します。

これらは、感度を見るためのシナリオです。

仮定によって試算タイムは1分06秒8~1分10秒7まで動く

計算結果は次のようになります。

TC2000での平均速度差想定平均速度試算タイム
-2km/h110.18km/h約1分06秒8
-3km/h109.18km/h約1分07秒4
-5km/h107.18km/h約1分08秒7
-6km/h106.18km/h約1分09秒3
-8km/h104.18km/h約1分10秒7

例えば、平均速度が3km/h低くなるケースでは、

2.045km ÷ 109.18km/h × 3600 ≒ 67.4秒

となり、

約1分07秒4

です。

5km/h低下なら約1分08秒7、8km/h低下なら約1分10秒7になります。

ここで見えてくるのは、TC2000での試算値が平均速度差の置き方によって数秒単位で変化することです。

私が実際に記録した1分52秒318と、そこから求めた平均速度112.18km/hは確定した数字です。

TC2000でのタイムは、コース間の平均速度差という仮定に応じて変化する試算値です。

2020年式GRヤリス6MTには筑波1分07秒736という実測例がある

GRヤリスについては、TC2000での興味深い実測例があります。

プロドライバーの谷口信輝選手が、2020年式GRヤリス6MTのフルノーマル車を筑波TC2000で走らせた際には、1分07秒736が記録されています。

車両は純正DUNLOP SPORT MAXX 050を装着した市販状態でした。

私が使用している2024年式GRヤリスDATは、2020年式6MTとはエンジン出力やトルク、トランスミッションを含めて仕様が異なります。

谷口選手の1分07秒736は、完全ノーマルの2020年式GRヤリス6MTがTC2000で実際に記録した一つの基準点として興味深い数字です。

今回の感度分析とは独立した実測例として、GRヤリスがTC2000でどのようなタイム領域を走っているのかを考える材料になります。

今回の数字から何を読み取るか

私が実際に記録したのは、3.5kmのコースにおける1分52秒318です。

そこから計算される平均速度は112.18km/hです。

この二つが、今回の考察の土台です。

一周を速く走るには、ブレーキング、旋回、ライン、アクセル操作を一連の流れとして成立させる必要があります。

どこか一つが大きく崩れれば、一周の数字に表れます。

一周としてうまくまとめられれば、その成果も数字になります。

以前レッスンを受けたプロレーサーからも、私の現在の走行水準について、一般のスポーツ走行ドライバーとしてかなり速い側という趣旨の評価を受けています。

実際に私の運転を見た人物の評価と、現在記録されているタイムが同じ方向を示していることは、素直に嬉しく感じています。

完全ノーマルで走る意味

私は現在、2024年式GRヤリスDATを市販状態のまま走らせています。

クルマ側に手を入れれば、タイヤグリップ、制動力、コーナリング性能などを高め、さらにタイムを縮められる可能性があります。

純正状態を保つことで、メーカーが市販した車両を自分がどこまで走らせられるかという課題が明確になります。

同じクルマで自分のタイムが縮まれば、自分側の変化を捉えやすい。

そこに、完全ノーマルで走る面白さを感じています。

61歳のドライバーとして喜ぶ

私は現在61歳です。

サーキットの時計は、61歳のドライバーにも若いドライバーにも同じ速度で進みます。

現在の自分がどこまで走れるのか。

以前の自分より速くなったのか。

計測器は、それを同じ単位で返してくれます。

今回、その数字が1分52秒318まで短くなりました。

自己ベストを更新できたことを、素直に嬉しく思います。

2025年から本格的にタイムを測り始めた

四輪サーキットでもレンタルカートでも、私が継続的にタイムを計測するようになったのは2025年からです。

2025年末には、プロレーサーから一度だけ指導を受けました。

その経験も、その後の走り方に確実に影響しています。

同時に、日常の運転やワインディングで長く意識してきたことも、サーキットにつながっていると感じます。

安全余裕を十分に残した範囲で操作を丁寧に行うこと。

クルマの挙動を観察すること。

荷重がどこへ移っているのかを感じること。

ブレーキとアクセルを雑に扱わないこと。

長年積み重ねてきたそうした習慣が、サーキットではラップタイムという形になって現れました。

ラップタイムは慰めないが、嘘もつかない

ラップタイムは、とても単純です。

その日、その車、そのタイヤ、その路面、その気象条件で、一周に何秒かかったのか。

時計が記録するのは、その結果です。

そして、一周タイムアタックという課題に限れば、その数字にはドライバーの技能がかなり濃く反映されます。

蘊蓄の量も、理屈の多さも、年齢も、肩書も、その数字を速くしてはくれません。

自分が以前より上手くなったのか。

まだどこに時間を失っているのか。

練習してきたことが結果につながったのか。

それらが最後には、一つの数字として返ってきます。

今回、その数字がまた少し短くなりました。

実に、嬉しい出来事です。

理屈コネ太郎のラップタイムの推移は、別記事サーキット走行でのタイム変化の記録にまとめています。


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作成者: 理屈コネ太郎

元消化器内視鏡医・産業医。現在は社会・人間行動・構造分析をテーマに執筆活動を行う。定年退職後はヨット・ボート・クルマなど趣味と構造研究の日々を過ごす。

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