ラップタイムの前には、蘊蓄も言い訳も意味をなさない

ラップタイムとは、
蘊蓄・理屈・年齢・条件・お気持ちを
すべて無効化し、
数字という一次元でドライビングを評価する装置である。

そこには言い訳の余地がない。
語りの巧拙も、背景説明も、同情も関係ない。
あるのは、刻まれた数字だけだ。

だからこそ、ラップタイムには意味がある。
だからこそ、人はそこに没入する。
そして、追求する価値が生まれる。

――その冷酷さを引き受ける覚悟がある者にとって、
ラップタイムは、何よりも正直な答えを返してくれる。


本日、最近通い始めたサーキットで自己ベストを更新した。
タイムは 1分52秒318
クルマは弐号機、後期型GRヤリスDAT。
足もブレーキも完全ノーマル、タイヤも変更なしである。

数字だけを見ても、このタイムがどの程度の位置にあるのかは分かりにくい。
このサーキットはローカル色の強い、いわゆるマイナーコースだからだ。

Contents

このタイムは、どれくらいの位置にあるのか

読者に伝えるには比較軸が必要だと思い、
私は筑波TC2000に換算するとどれくらいのタイムになるのかを知りたくなった。

理想は、走行タイムの分布を用い、
同じパーセンタイル同士で換算する方法だった。
だが現実には、このサーキットに関する十分な統計データが存在せず、
その方法は成立しないと判断された。

次善の策としての推定法

そこで代替案として採ったのが、
コース全長から平均速度を算出し、両コースの

・コーナー数
・高低差
・テクニカル度

といった難易度要素を加味し、
「おおよそこの辺りではないか」という推定を行う方法である。

その結果は、以下のようになった。

  • ChatGPT:筑波TC2000換算 1分05秒6前後(1:05.3〜1:06.2)

  • Grok3:同 約1分04秒前後

  • 難易度補正込みで 62〜66秒、誤差±3秒

完全一致ではないが、驚くほど近い値に収束した。

正直に言えば、
還暦を過ぎた自分には出来過ぎではないか、という思いもよぎる。
だが、現時点でこれ以上妥当性のある推定方法はない。
ならば今回は、素直に喜ぶことにした。

では、筑波TC2000で「1分05秒」とは何者なのか

興味が湧き、今度は逆にAIに尋ねてみた。
筑波TC2000で、

純正・後期型 GRヤリス DAT
この条件で 65秒フラット前後 とは、どのような評価になるのか。

返ってきた答えは、率直だった。

一般走行の世界では「明確に速いドライバー」
走行会では上位グループの常連
「上手い人」ではなく「速い人」として扱われるレベル

以下は、感覚論ではなく筑波という場所の分布構造に基づく説明である。

筑波TC2000・一般的なタイム分布(体感)

1:12〜1:10
初心者/経験浅め

1:09〜1:08
走れる人(走行会の多数派)

1:07台
速い側/上位30%前後

1:06台
はっきり速い/上位15%前後

⭐ 1:05台 ⭐
明確に速い/上位5〜10%

1:04台以下
クルマも人も前提が違う領域

この中で 65秒=1:05.0 は、
「速い人ゾーンのど真ん中」に位置する。

純正DATという条件が意味するもの

筑波で1:05台という数字自体は、
改造車であれば決して珍しくない。

だが今回は条件が違う。

純正足
純正ブレーキ
純正制御
8速DAT

この条件での65秒は、
クルマではなく、ほぼドライバーの能力で出しているタイム
として評価される。

走行会の名簿に
「GRヤリス DAT / 1:05.0」
と書いてあれば、周囲は確実に警戒する。

どんなドライバー像か

筑波で純正DAT・65秒を出す人は、ほぼ例外なく次の特徴を持つ。

ブレーキで慌てない
侵入速度を欲張らない
立ち上がりでロスしない
周回ごとのブレが小さい

派手さはない。
だが質が高い。
一発芸ではなく、再現性のある速さを持つドライバーだ。

誤解してほしくないこと

これはプロの領域でも、
タイムアタック職人の世界でもない。

しかし同時に、
「上手な一般人」
「ちょっと速い人」
という言葉では明らかに足りない。

筑波TC2000という場所では、
自然に「速い側の人」と認識される位置である。

率直な格付けをすれば、

走行会参加者100人中
確実に上位10人以内

内容次第では
上位5人に入っても不思議ではない

その程度の位置だという。

それでも忘れてはいけない前提

もちろん、この評価は
換算方法に瑕疵がなければ成立する話である。

その不確かさを十分に理解したうえで、
それでも今回は、心から喜ぼうと思っている。

ラップタイムが教えてくれたこと

考えてみれば、
四輪サーキットでもレンタルカートでも、
きちんとタイムを計測し始めたのは昨年からだ。

昨年末に一度だけ受けたプロレーサーの指導も確かに効いている。
だが、それ以上に強く感じているのは、

これまでストリートやワインディングで積み重ねてきた修練が、
ようやくサーキットという場所で、
数字として返ってきたという実感である。

ラップタイムは、慰めてくれない。
忖度もしない。
だが、嘘もつかない。

だからこそ、
そこには没入する価値があり、
追求する意味がある。

――実に、嬉しい。


他の記事への移動は下記をクリック

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です