GRヤリスの30:70はどう成立するのか|後輪優位トルク配分の構造考察

金属製のベベルギアとシャフトが作業台に並び、ギア比を連想させる写真風イメージ。GRヤリスの30:70トルク配分構造を示唆するビジュアル。
GRヤリスの後輪優位トルク配分を構造的に考察する記事のアイキャッチ。金属ギアの質感が回転差設計の可能性を象徴しています。

Contents

1. 問題設定

トヨタはGRヤリスに30:70という後輪優位モードが存在すると公表しています。
しかしトヨタは、その配分がどの機械構造によって成立しているのかまでは説明していません。

本記事では、GRヤリスの後輪優位トルク配分が、どの機械的構造によって成立しているのかを考察します。


2. 定義の固定

本記事では、以下の定義を用います。

後輪優位トルク配分
=前後輪間の入力トルク総量のうち、後輪側が前輪側を上回る状態です。

純機械的成立
=ESC(電子安定制御装置)やブレーキ制御介入を含まない状態で成立する配分です。

GR-FOUR
=前輪直結構造を基礎とし、後輪側に電子制御多板クラッチを備えるAWD機構です。

これらの定義は、本記事内では変更しません。


3. 理論上の上限

前後同速取り出しであり、固定ギア比差が存在しない構造を仮定します。

センター多板クラッチが完全締結した場合、前後は等速ロック状態になります。

この構造では、入力トルクは理論上50:50が上限になります。

したがって、30:70という後輪優位配分は、純機械的には成立しないことになります。


4. 多板クラッチの機能範囲

多板クラッチは接続率を制御する装置です。

多板クラッチは回転差が存在する場合にのみ、トルクを移動させます。

多板クラッチ自体は、比率を逆転させる装置ではありません。

そのため、多板クラッチ単体では50%を超える後輪配分は成立しないと考えられます。


5. 後輪優位成立に必要な条件

後輪優位を純機械的に成立させるには、前後間に回転差源が必要になります。

回転差源は次のいずれかです。

  1. 固定ギア比差による後輪側増速設計

  2. 前輪側スリップの許容

1は設計要素です。
2は挙動要素です。

純機械的成立を考える場合、検討対象は1になります。


6. 公表情報の範囲

トヨタは30:70という配分モードを公表しています。

しかしトヨタは内部ギア歯数および詳細ギア比を公表していません。

また、前後回転差が存在する設計であることを示唆する情報はありますが、その回転差が後輪優位の根幹であるとは明示していません。


7. 市井の技術解析

一部の技術解析では、後輪側がわずかに増速する設計である可能性が指摘されています。

この仮説が成立する場合、クラッチ締結時に回転差が拘束され、後輪側により多くのトルクが配分されます。

この構造であれば、理論上30:70は純機械的に成立します。

ただし、歯数を一次資料として確定させた公式公開資料は確認されていません。


8. 構造問題としての整理

前後同速設計であれば、30:70は純機械的には成立しません。

前後回転差設計が存在すれば、30:70は理論的に成立します。

したがって、GRヤリスの後輪優位成立原理は、前後回転差設計の有無に依存する構造問題といえます。

本記事は、回転差設計の存在可能性を論理的に整理することを目的としました。

最終的な断定は、一次資料の公開を待つ必要があります。


他の記事への移動は下記をクリック

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です