GRヤリス6MTとDATで異なるサーキットのブレーキ課題 ☆ 当たりつけとベーパーロック

6MTとDATで異なるブレーキ課題

私は2020年式GRヤリスRZ High Performanceの6MTと、2024年式GRヤリスRZ High PerformanceのGR-DATの両方でサーキットを走っています。

同じGRヤリスでも、私が経験したブレーキの課題はかなり異なりました。

6MTではローターとパッドの当たりつけとジャダー、DATではブレーキへの熱負荷とベーパーロックが主な課題になりました。

この違いには、私の走らせ方における摩擦ブレーキの仕事量が関係していると考えています。

6MTで繰り返したジャダー

6MTでサーキットを走り始めた頃、ブレーキング時にジャダーが発生するようになりました。

当初はブレーキローターの歪みだと考え、ローターを交換したり、研磨したり、ブレーキパッドを交換したりしました。

整備直後には症状が改善します。

ところが、サーキットをしばらく走ると、再び同じようなジャダーが発生します。

ローターの振れを計測しても、症状に見合う変化が確認できないこともありました。

繰り返されるこの現象を正しくメカニックに伝えるため、車両評価をプロドライバーに依頼し、起きている現象をプロ同士の言葉で表現してもらおうと考えました。

プロに車両評価を依頼

ジャダーが発生している状態の6MTを、プロドライバーに約1時間走ってもらいました。

すると、ジャダーが消えました。

さらに印象的だったのがローター表面です。

走行前には色や光沢にムラがあったローターが、走行後には研磨した直後のように全面が均一に光っていました。

同じローターとパッドのまま、プロが走ったことでジャダーとローター表面の状態が同時に変化したのです。

その後、私がサーキットを走り続けると、再びジャダーが現れるようになりました。

この経験から、私自身のブレーキの使い方とローター表面の状態に強い関係があると考えるようになりました。

ジャダーとローター表面

ブレーキの当たりつけでは、パッドとローターを使用する過程で、ローター表面の摩擦状態が整っていきます。

パッド材の転写が均一になれば、ローター一周にわたる摩擦状態も揃いやすくなります。

表面の摩擦状態にムラが生じれば、ローターの回転に伴って制動トルクも変化し、それがジャダーとして感じられることがあります。

私の6MTでは、ローター表面の状態とジャダーの発生が連動していました。

この経験によって、ブレーキング時のジャダーを考える際には、ローターの形状とともに、ローター表面の摩擦状態を見ることが重要だと考えるようになりました。

6MTとエンジンブレーキ

私が6MTで減速するときには、エンジンブレーキをかなり積極的に使います。

フットブレーキを踏みながらシフトダウンし、回転を合わせ、クラッチをつないで車速を落としていきます。

以前はフットブレーキ自体も、比較的長く穏やかに使う傾向がありました。

つまり私の場合、エンジンブレーキへ減速仕事を分担させることと、フットブレーキを長く穏やかに使うことの二つが重なっていました。

そのため、ローターとパッドへ短時間に与える仕事量も小さくなります。

プロが走った後にローター表面が均一になったことから、私のブレーキの使い方では、良好な摩擦面を維持するための熱と圧力の与え方が不足していた可能性があります。

短く、強く踏む

そこで現在は、減速初期でブレーキを以前より短く、強く使うことを意識しています。

直線上で必要な減速度をしっかり作り、その後は旋回へ向かってブレーキを抜いていきます。

この練習を続けるようになってから、ジャダーはかなり減りました。

ローター表面にも多少のムラは残っていますが、以前より均一な光沢を保つようになっています。

ブレーキ操作を変えることで、ローターとパッドの当たりも安定するようになりました。

DATでは当たりが自然に整う

GR-DATでは状況が大きく変わります。

私の走り方では、減速に占める摩擦ブレーキの仕事量が6MTより明らかに大きくなります。

ブレーキパッドの消耗も非常に速く進みます。

それだけローターとパッドが多くの運動エネルギーを熱へ変換しています。

DATでは当たりつけを特別に意識して走っていませんが、6MTで経験したようなジャダーに悩まされることはありません。

通常のサーキット走行そのものによって、ローターとパッドへ十分な仕事が加わり、良好な摩擦状態が維持されているように感じます。

6MTのローターをDATへ装着

さらに興味深い経験があります。

6MTでジャダーが発生していたローターを取り外し、そのローターをDATへ装着してサーキットを走ったことがあります。

走行を始めたごく初期には、わずかにジャダーが残っているようにも感じました。

ところが、そのまま周回を続けていると症状は次第に弱くなり、やがてほぼ感じなくなりました。

6MTでジャダーが発生していたローターが、DATで走行を重ねるうちに滑らかに制動するようになったのです。

この時間的な変化は、プロドライバーが6MTを約1時間走らせた際にジャダーが消えた経験ともよく似ています。

私の中ではここで、ローター表面の摩擦状態が走行によって変化し、その状態とブレーキの使い方がジャダー発生に大きく関係しているという仮説がさらに強くなりました。

DATでは熱が課題

DATでは、当たりつけよりもブレーキの熱管理が課題になりました。

私の走り方では摩擦ブレーキへの依存度が高く、連続してアタック周回を重ねると、いわゆるエア噛みのように感じる症状が出ることがあります。

サーキット走行でブレーキ温度が高まった状況で発生することから、ベーパーロックの可能性を考えています。

6MTでは、この症状を経験していません。

ここにも、私の2台で摩擦ブレーキが担っている仕事量の違いが表れているように思います。

アタックとクーリング

DATでは、連続するアタック周回数を少し減らし、クーリング周回を少し増やすようにしています。

ブレーキへ入った熱を逃がしてから、次のアタックへ入ります。

私の使い方では、この運用でブレーキの状態を安定させやすくなります。

一方、走行枠の時間やクリアラップの確保など、サーキット利用上の制約からアタックを優先したい場面もあります。

その場合は、ブレーキへ走行風を導くなど、冷却能力を高める対策も検討対象になります。

DATでサーキットを走り込むほど、ブレーキ冷却の重要性を強く感じます。

6MTとDATで違う課題

私の経験を整理すると、6MTとDATではブレーキに現れる課題が異なります。

6MTでは、エンジンブレーキによる減速の分担と、以前の長く穏やかなフットブレーキ操作が重なり、摩擦ブレーキへ短時間に与える仕事量が小さくなっていました。

その結果、ローターとパッドの良好な当たりを維持するために、ブレーキの使い方を意識する必要がありました。

DATでは摩擦ブレーキの仕事量が大きくなります。

通常のサーキット走行で当たりは整いやすく、その一方でパッドの消耗とブレーキ系の熱負荷は大きくなります。

6MTでは当たりつけとジャダー、DATでは熱管理とベーパーロック。

同じGRヤリスでも、私の走らせ方ではサーキットで現れるブレーキ課題が大きく異なりました。

まとめ|ブレーキ仕事量が課題を変える

6MTでは、ブレーキング時のジャダーを当初ローターの歪みだと考え、ローターやパッドの交換、ローター研磨を行いました。

それでもサーキットを走り続けると同じ症状が現れました。

プロドライバーへ車両評価を依頼すると、約1時間の走行でジャダーが消え、ローター表面も研磨したように均一になりました。

自分のブレーキ操作を短く強く使う方向へ変えてからは、ジャダーも減っています。

さらに、6MTでジャダーが出ていたローターをDATへ移すと、走行初期にはわずかに症状を感じたものの、周回を重ねるにつれてほぼ消失しました。

一方のDATでは、当たりつけに苦労することなく走れる代わりに、ブレーキへの熱負荷が大きく、連続アタックではベーパーロックと思われる症状を経験しました。

GRヤリス6MTとDATでは、私の走らせ方における摩擦ブレーキの仕事量が違います。その違いが、6MTでは当たりつけとジャダーとして、DATでは熱負荷とベーパーロックとして現れました。

 

作成者: 理屈コネ太郎

元消化器内視鏡医・産業医。現在は社会・人間行動・構造分析をテーマに執筆活動を行う。定年退職後はヨット・ボート・クルマなど趣味と構造研究の日々を過ごす。

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