共感疲労とは何か|医者が感じ悪く見える原因を感情資源から解説

医者が“感じ悪く”なる理由|患者が知らない現場の現実
医者が“感じ悪く”なる理由|患者が知らない現場の現実

共感疲労による感情資源の消耗は、医者を感じ悪く振舞わせます。
医師は日々、多くの患者の不安や苦痛、怒りといった感情に向き合っており、その蓄積が共感を維持する力を徐々に消耗させていきます。
その結果として生じる態度の変化が、「横柄」「冷たい」「感じが悪い」と受け取られることがあります。

医療機関を受診した経験のある人なら、「医者って感じが悪い」と感じたことがあるかもしれません。
本記事では、その背景にある現象を「共感疲労」という観点から整理します。

共感疲労は、防衛機制とともに、医者の態度が悪い心理的な原因です。防衛機制については、別記事防衛反応とは何か|医者の態度を変える心理メカニズムとその背景に詳細を整理しています。


Contents

共感疲労とは何か

医師は想像を絶するトンデモ患者に出会う職業です。

もし医師の“クソ率”が、日本人全体のそれより高く見えるとしたら──
その理由の多くは、日々の過酷な患者対応環境にあります。

一度でも、不遜・不埒・無礼・無法(以下、便宜上「クソ」と略)な患者に出会えば、医師の感情資源は大きく消耗します。
このような経験の蓄積が、共感を維持する力を削り、共感疲労という状態を生みます。

ところがこの共感疲労による変化は、患者の目には「横柄」「冷淡」「感じが悪い」と映ってしまうことが非常に多いのです。
残念ながらこのプロセスは体系化されておらず、医師が自身の体験を通して身に着けていくのが現状です。


医師は患者を選べない

法律的にも道義的にも、医師には患者を拒む自由がありません。
とはいえ、医師もまた人間です。

人格破綻レベルの患者に遭遇すれば、医師は心的ダメージを受けます。
そしてそのダメージの蓄積が、共感疲労として現れます。

その結果として、医師は次のような変化を示すようになります。

  • 傾聴しない
  • 共感しない
  • 距離を取る

これらは意図的な態度ではなく、共感疲労による自然な変化です。


医師の心をすり減らす“困った受診者”の存在

ここでは、筆者が実際に遭遇した一部の「患者とは呼べない受診者」の例を紹介します。

自己診断に対して診断書を求める人

無断欠勤後、「体調不良で休んだ」と会社に事後報告。
会社から「診断書を持ってこい」と言われて受診し、診察もしていないのに診断書を要求。

誰かを攻撃するための道具に医療を利用する人

「寿司屋でサーモンを出されたせいで痛風が悪化した」──
そんな理屈で寿司屋を訴えるための診断書を求めに来る人。

保険医療制度を悪用する人

明らかに詐病・仮病、あるいは職業的な悪意をもって被害者性を偽装し、
保険診療の枠内で「医療の力」を使って自らの主張を通そうとする者も存在します。

こうした存在が、医師の感情資源を削り、共感疲労を進行させていきます。


医者の態度が冷たい理由は共感疲労である

理屈も通じず、怒鳴り、威圧し、
「医者だからって威張ってんじゃねえぞ」「オレは客だぞ」「金払ってんだぞ」
と言い放つ受診者に対応しながら、医師の感情資源は消耗していきます。

その結果として生じるのが、共感疲労です。


共感疲労と人間関係の変化

共感疲労が進行すると、医師は次のような態度を取るようになります。

  • 共感を示さない
  • 声が低くなる
  • 表情が乏しくなる
  • 冷たい態度を取る

これは決してあなたを傷つけたいからではなく、
医師自身がこれ以上消耗しないために起きている変化です。


だからといって、理不尽な対応が許されるわけではない

当然ながら、どんな事情があっても、患者に高圧的な態度をとることが正当化されるわけではありません。

ただ、もしあなたが「ひどい医者に当たった」と感じたなら、
少しだけ想像してみてください。

「ああ、この人は共感疲労によって感情資源を消耗し、余裕を失っているのかもしれない」


医師と患者、どちらも人間であるという前提に立つ

あなたが冷静に、合理的に受診し、誠実に対話する姿勢を持てば、
医師もほんの少し、共感を取り戻す余地が生まれるかもしれません。


まとめ

医者に“感じが悪い”人が多く見える背景には、
その裏側に共感疲労による感情資源の消耗が確かに存在します。


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作成者: 理屈コネ太郎

元消化器内視鏡医・産業医。現在は社会・人間行動・構造分析をテーマに執筆活動を行う。定年退職後はヨット・ボート・クルマなど趣味と構造研究の日々を過ごす。

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