医師の診断と治療という第一の使命が、患者への共感をときに二の次に後退させます。
医療の現場では、安心させることや寄り添うことよりも、まず正確な診断と適切な治療が優先されます。
その結果、患者が医師に期待しがちなことの一部は、構造的に満たされにくくなります。
病院で診察を受けたとき、
「もっと話を聞いてほしかった」
「もう少し安心させてほしかった」
と感じたことはないでしょうか。
結論から言うと、医師の仕事の構造上、そもそも期待する対象がずれている可能性があります。
本記事では、医療現場の実態として
「医者に期待しない方がよいこと」
を整理します。
Contents
病院で医者に期待しない方がいいこととは
医者に期待してはいけないこととして、まず次の四つを挙げます。
① 安心する言葉を言ってもらう
② 勇気づけてもらう
③ 不安や不満についてじっくり話を聞いてもらう
④ 体調不良の原因について自分の説を聞いてもらう
これらは、決して期待してはいけないという意味ではありません。
ただ、医師の第一の使命が診断と治療にある以上、期待しない方がよい結果になることが多いと『理屈コネ太郎』は考えます。
医師の役割とは何か
医療機関における医師の仕事は、
受診者の問題(腹痛や吐き気など)を医学的概念に落とし込み、標準化された手順で診療方針を決定・実行すること
です。
この役割が最優先されるため、共感や傾聴は状況によって後順位になります。
医師の診断と治療という第一の使命が、患者への共感をときに二の次に後退させるのです。
とはいえ、医師も人間です。それぞれの感性を通して心の底では共感をしているものです。そして毎日診察する個々の様々な疾病と背景を抱えた患者に共感すると、共感疲労とも呼ぶべき現象が医師に起きます。共感疲労については別記事共感疲労とは何か|医者が感じ悪く見える原因を感情資源から解説に整理しています。
医者に期待してはいけないこと①|安心する言葉を求める
医師に安心する言葉を求めることは、構造的に満たされにくい期待です。
医師の役割は、患者を気分よくさせることではなく、病態を見立てて必要な診療につなげることだからです。
もちろん結果として安心させてくれる医師はいます。
しかしそれは医師の主業務そのものではありません。
医者に期待してはいけないこと②|勇気づけや共感を求める
勇気づけや共感も、医師の主業務ではありません。
これらは場合によっては看護師の業務に含まれることもありますが、医師の仕事の中心ではありません。
医療の現場では、まず診断と治療の判断が優先されます。
そのため、患者の側が強く共感を期待すると、現実とのズレが生じやすくなります。
医者に期待してはいけないこと③|不安や不満をじっくり聞いてもらう
医療現場では時間が限られています。
そのため、不安や不満を丁寧に聞いてもらうことを期待すると、現実とのズレが生じやすくなります。
医師は、診療に必要な情報を優先的に拾い上げようとするからです。
この点は、診察の本質が「想いのたけを話す場」ではなく、「診療に必要な情報を聞き出す場」であることともつながっています。
医者に期待してはいけないこと④|自分の原因分析を評価してもらう
体調不良の原因について自分なりの説を聞いてもらいたい、という期待も満たされにくいものです。
医師にとって重要なのは、受診者の分析や解釈そのものではなく、そこから診療に有益な情報を取り出せるかどうかです。
受診者の推測は、ときに診断の助けになりますが、ときにノイズにもなります。
場合によっては誤情報によって診療方針がぶれる危険もあります。
なぜ医者は話を聞かないように見えるのか
混んでいる病院では、医師は診療に関係が薄い話を聞かない傾向があります。
話を遮る医師や、反応しない医師もいます。
これは受診者から見ると、不親切・横柄・ズレていると感じられる場面です。
しかしその背景には、共感の欠如というより、診断と治療を優先する役割構造があります。
医者が対応できる条件とは
①〜④に医師が対応できるとすれば、
- 待合室に誰もいない
- 診療に余裕がある
といった状況です。
つまり、時間的余裕がある場合に限られます。
逆に言えば、混んでいる病院ほど、医師は診断と治療に集中せざるを得ず、共感や傾聴は後順位になりやすいのです。
混んでいる病院で何が起きているのか
高スキルな医師がいる医療機関ほど、患者数が多く、余裕はありません。
そのため、診療は効率重視になります。
これは手抜きではなく、限られた時間の中で多くの患者に医療を成立させるための構造です。
その結果として、患者の側が求める「もっと話を聞いてほしい」「もっと寄り添ってほしい」は、後回しにされやすくなります。
良い診療を受けるための考え方
医師に期待すべきことは明確です。
- 正確な診断
- 適切な治療
です。
もし、迅速に、ストレスなく、質の高い診療を受けたいのであれば、
①〜④への期待は控えた方がよい結果になる可能性が高いです。
なぜ期待しすぎると損をするのか
過度な期待を持って受診すると、
- 診察時間が延びる
- 他の患者の待ち時間が増える
- 医師の負担が増える
- 受診者自身が不満を感じる
といった結果につながりやすくなります。
期待が現実とずれているほど、受診体験の満足度は下がります。
まとめ|病院での適切な期待とは
何事も過度な期待は禁物です。
医師の第一の使命は、患者を安心させることでも、勇気づけることでも、胸中を十分に受け止めることでもありません。
まずは診断し、治療することです。
そのため、医師の診断と治療という第一の使命が、患者への共感をときに二の次に後退させます。
この構造を理解し、適切な期待値を持つことが、結果として最も満足度の高い受診につながります。
当サイト内他の記事への移動は下記より
日本の医療現場 記事一覧【元医師の現場視点から】
当サイト内記事のトピック一覧ページ 【最上位のページ】
管理人の自己紹介は理屈コネ太郎の知ったか自慢|35歳で医師となり定年後は趣味と学びに邁進
