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はじめに|ブローチングをよく観察できた航海
好天に恵まれた今回の航海で、
最も印象に残ったのは、
城ヶ島外回りで体験した
高頻度かつ一定程度のブローチング現象だった。
当初は恐怖だった。
しかし、高頻度で起きたおかげで観察と試行を重ねることができ、
次第にそれは
「制御可能な自然現象」として理解できるようになった。
本稿は、その過程の記録である。
出航と進路選択|いつもとは違う選択
2025年5月3日、GW中とは思えないほどの好天。
久しぶりに相模湾から富士山を眺めたくなった。
OM-1 に 8–25mm F4.0+PL フィルターを装着し、
愛艇 Merry Fisher 895 Sport で出航する。
海上係留の最大の魅力は、
「思い立ったらすぐ出られる」ことだ。
金田湾沖では、風を受けて走るヨットが点在していた。(写真1、2)


通常、東京湾から相模湾へ出る際は
城ヶ島大橋の下をくぐる内側ルートを通る。
だがこの日は、
城ヶ島の外側を回って出てみよう
という気まぐれが勝った。
城ヶ島外回り|海の表情が変わり始める
城ヶ島南端に近づくにつれ、
海面のうねりが徐々に大きくなる。
エンジン回転数に対して
艇速が合わない感覚が出始めた。(写真3)

このあたりから、
東京湾内とは明らかに違う「外海の気配」が出てくる。
GPS による位置把握が、
心理的な余裕を大きく支えてくれた。
予期せぬブローチング|最初は恐怖だった
城ヶ島南西側に回り込むと、
風と海流が複雑にぶつかる海域に入る。
そのとき、
船が一瞬、意図しない方向へ振られる感覚があった。
軽度のブローチング。
予期せず起きると、正直に言って怖い。
「これは危ないのではないか?」
最初に湧いたのは、そういう感情だった。
恐怖から観察へ|転換点
しかし、周囲の海面をみるとやや大きな、だけどなだらかなウネリがあるだけ。
ブローチングは一度きりではなく、
同程度のものが、一定の頻度で起きている。
そのおかげで、
次第に次のことを観察できるようになった。
次第に、ブローチング現象下での船の動きを
「制御できる要素」が見えてきた。
波の向きと艇の進行方向
波面を登っているときと下っているときの違い
スロットル量と艇速の関係
どの確度でヨーが出やすいか
すると、
「これなら大丈夫だ」
という確信が静かに生まれた。
恐怖が消えたというより、
恐怖よりも観察が勝った、という感覚に近い。
そしてそのとき、軽度のブローチングには楽しめる領域がある事も分かった。
もちろん、これは危険を軽視するという意味ではない。
だが、制御可能な範囲にある限り、
ブローチングは「避けるだけの現象」ではなかった。
再定義|海面にウネリがある以上、ブローチングはつねに起きている現象
ここで、私自身のブローチング初体験を振り返っておきたい。
別記事初めての伊豆大島単独行で初ブローチング恐怖体験で述べたように わたし理屈コネ太郎のブローチング初体験は伊豆大島への単独行の往路であった。その時に感じた違和感は今でも思いだせるほど不思議で鮮明であった。
以降、ブローチングについて常に考えて来た。プレジャーボートの文脈を離れて、例えばSUP-FOILやDownwind Foilの領域にまで視野を広げ、風と波と重力がどのように各領域で意味を成しているのかを機会を見つけては探り続けて来た。
ブローチングは確かに危険につながりうる。
海面の波の①速度、②高さ、③間隔、④ハルの長さ、⑤船の速度の相関で変化するが、波に対する船の角度を比較的自由にコントロールできるうちは、ブローチングはそれほど危険ではない。
一定範囲内で制御可能なブローチングは、
海面と船体の間に起きる自然現象のひとつでもある。
これは良いチャンスだと思った私は、この比較的高頻度で起きる軽度ブローチングで、
スロットルを少し落とす
艇速を合わせる
波に対する確度を微調整する
を試しながら、
挙動がどう変わるかを確認する事ができた。
そのおかげで、
軽度のブローチングがそれなりの頻度で起きたことで、
現象を分解して理解しやすかったと言える。
相模湾へ|海が落ち着く
城ヶ島を抜け、相模湾に出ると、
うねりは一気に収まった。

このコントラストが、
先ほどまでの海況をより印象づける。
快適なクルーズが続き、
BGMをかけ、大声で歌い、少し踊る。
これはソロ航海でしかできない贅沢だ。
復路でもう一度確認する
帰路、再び城ヶ島南西部を通過。
予想通り、往路と同程度のブローチングが起きた。
だが今回は、
驚かない
状況を確認できる
操船に余裕がある
明らかに受け止め方が違っていた。
周囲の情報を取り入れて軽度のブローチングを楽しめている。
「やっぱ海って最高、ソロってサイコー」って思いながら。
金田湾へ|過去との対比
せっかくなので、
金田湾の内側へ入り、三浦海岸近くまで進む。
こうした際に最も注意しなくてはならないのが、海水浴客やサーファーやカヤックである。十分な注意を払いながら、ゆっくりゆっくりとビーチに寄せていく。


この海域に初めて入ったのは、
艇を購入して間もない頃だった。
当時は不安が先に立ち、
湾に入ったと気づいた瞬間に引き返した。
帰港|経験は資産になる
帰港後、片付けと整備を済ませるころには、
すっかり日が暮れていた。
帰港後は、船外機艇ならではの片付け作業を行い(詳細はこちらの記事を参照)、次の出港に備えて整備と記録を済ませる。ふと気づけば、すっかり日も暮れていた。(写真7)

今日のまとめ
城ヶ島外回りでは、東京湾とは異なる波と風の位相を体験できる
予期せぬブローチングは、最初は恐怖を伴う
しかし、軽度で制御可能な範囲であれば、観察と学習が成立する
恐怖が「観察」に変わった瞬間、操船の理解が一段深まった
この航海で得たものは、
距離でも景色でもなく、
判断経験そのものだった。
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