セカンドライフに釣りは向いているか?|おすすめできない理由と注意点

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序章:セカンドライフの趣味探し

セカンドライフは「時間をどう使うか」が最大の課題です。人気の高い趣味のひとつに「釣り」がありますが、果たして釣りはセカンドライフの趣味に向いているのでしょうか。本記事では、釣りをシニアの趣味として選ぶ際の注意点を整理してみます。


第1章:釣りは「ひとりで完結する」

釣りは、1人で完結できます。良い点でもありますが、危険性もあります。釣りは、誰にも相手にされなくなった“偏屈なジジイ”でも実行可能で、それなりに蘊蓄語りができてしまう点には要注意です。もともとの偏屈さを1人釣行でさらに強めてますます孤立してしまう危険があるからです。

とはいえ、仲間や集団に依存せず自分だけで成立しますから、孤独を癒す手段になる人もいれば、逆に孤独を深めてしまう人もいるでしょう。釣りは“自分と向き合う時間”を強制的に増やす趣味でもあります。いずれにせよ、孤独耐性が低い人には、釣りはあまり向かないかもしれません。

★関連記事➡1人で楽しめる趣味を持つ|セカンドライフを豊かにする極意


第2章:身体性の低さという弱点

釣りは一見アクティブですが、運動量はそれほど多くなく、同じ姿勢のままの時間が長いものです。そのため膝や足首が固まりやすく、柔軟性を落とします。また、ウォーキングやテニスのように筋力維持にはあまり寄与せず、体力維持を兼ねる趣味としてはやや不向きです。
むしろ、長時間の同一姿勢で腰痛や膝痛を訴える人も少なくありません。


第3章:釣果を求めすぎる「不正解」

竿釣りは本質的に効率の悪い“漁獲手段”です。魚を獲りたいのなら竿釣りは非効率ですし、食材確保という観点ではスーパーで買った方が合理的です。
釣果やその数・サイズにこだわりすぎると、楽しさよりもストレスが大きくなる危険性があります。

別の記事「釣果ゼロでも悩まない|妄想と工夫で楽しむボート釣り」で詳述しましたが、釣りは釣る行為そのものを楽しむことが本筋です。
非効率さの中にこそ、自然と向き合う“遊びの余白”があり、それを楽しめる人にとって釣りは奥深い趣味になります。


第4章:「釣り具・釣り方談義」という落とし穴

釣りは本来、セイリングと同じく“行為そのものを愉しむ内面的な遊び”です。ところが、釣果という明快な指標と多彩なギア類があるために、つい釣りそのもよりも過去の大物釣果談義とか道具や理屈の話に話題が転がりがちです。

この傾向は、釣りにおいて努力と結果が高く相関すると考える人に大きいように思います。しかし釣りはそういう必然の要素が少ないので、なかなか現在進行形の釣りそのものの話題になりにくいのかもしれません。釣りの必然性の低さについては別記事釣り・ゴルフ・将棋から考える偶然と必然──趣味の幸福論に詳述しています。

釣りギア類は、それぞれにメーカー推奨の使用法と現場に適した使い方があります。各アングラーの責任で楽しむ遊びだからこそ、自分の知識を求めてもいない他人に押し付けるのは危険です。
それは、知識自慢やマウント取りという、人間関係構築においてもっとも意味のない行動と親和性が高いのです。

釣果を目指すことも、釣果を喜ぶことも、釣果を誇ることも、それ自体は自然な行為です。
しかし経験のみを根拠に自身の道具論や釣り論を語り、他者に優位性を示そうとするのは、人間関係構築という意味でも、精神性向上という意味でも、あまり推奨できません。

ましてや実体験より道具の蘊蓄ばかりが先行すると、周囲から“老害化”と見られやすくなります。
釣りは「正解のない遊び」であり、道具談義や釣り道論に偏りすぎると本質(体験の楽しさ)を見失いかねません。
別記事「釣りに正解はない|文豪たちが釣りを人生にたとえた理由」も併せてご参照ください。


第5章:釣れた魚をどうするの問題

釣りはもちろん魚を釣ることを目的とした行為ですが、次の課題は「釣れた魚をどう扱うか」です。
自然界にいた生物を締めて捌き、食材に変えるのか。それともダメージをできるだけ与えずにリリースするのか?
前者を選ぶ場合は、どこで締めるか、衛生管理や鮮度保持をどうするかを考える必要があります。さらに、実際に食べられる以上の数は持ち帰れないという制約も生まれます。

この点については別記事「リリース前提の釣りは残酷か?自然界との比較で見える視点」に詳述していますので、参考にしていただければ幸いです。


第6章:本当に好きな人以外にはお勧めしにくい理由

以上を踏まえると、釣りは「効率」「健康」「人間関係」いずれの観点からも、セカンドライフ向きとは言い難い側面があります。
だからこそ、魚釣りが好きで仕方ない人以外には、積極的には勧めにくいのです。

ただし“向いていない”のではなく、“向き合いがいのある趣味”とも言えるでしょう。
セカンドライフを生きるシニアにとって、趣味は残りの時間を楽しくするための手段です。自分に本当に合うものを慎重に選ぶことが大切だと思います。

関連記事➡釣果目的のプレジャーボート所有は間尺に合わない|理屈コネ太郎の意見


結章:釣りを選ぶなら、実際に釣りに行こう

釣りに限らず趣味には「効率」や「成果」を超えたところに意味を見出せるかどうかが大切です。

この点は別記事シニアだからこそ出来る魚臭くない釣り|自然界での自分の現在地を探るで詳しく述べました。
本当に釣りが好きな人にとっては、これほど奥深い趣味はありません。
一方で「なんとなく」で始めると面白さが分からず、長続きしないかもしれません。
セカンドライフだからこそ、心から好きなことを選んでいきましょう。


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