初診問診をストレスなく進める方法②|患者を4タイプに分けて次の一手を決める

初診問診では、主訴とその程度を把握するだけでなく、患者がなぜ受診し、診察や検査に何を望んでいるのかを確認する必要があります。同じ症状を訴える患者でも、自分の判断で自発的に受診した人と、勤務先や学校に指示されてなかば嫌々受診した人とでは、診療に対する問題意識が異なります。

また、原因を詳しく調べたい患者もいれば、症状を一時的に和らげる対症療法や経過観察だけを望む患者もいます。患者の問題意識や希望を把握しないまま医学的合理性だけで診療を進めると、患者が望んでいない検査を勧めたり、反対に必要な精査の機会を逃したりすることがあります。

私『理屈コネ太郎』は、初診患者を、①自分の判断による受診か、他者の指示による受診か、②精密検査を希望しているか、対症療法や経過観察だけを希望しているか、という二つの軸から4タイプに分けて考えます。

本記事では、『初診問診をストレスなく進める方法|柔和な態度とクローズドクエスチョン』で述べた、真摯かつ柔和で受容的な態度とクローズドクエスチョンを前提として、患者のタイプごとに「次の一手」をどのように決めるかを具体的に述べます。

なお、以下はいつものように、私『理屈コネ太郎』の管見による私見です。その点をご理解のうえ、読み進めてください。

皆さんのお役に立てる内容であることを願っています。

初診時の問診で重視する二つの軸

初診時の問診における最大のポイントは、「自分の判断による受診か、他者の指示による受診か」です。

医学的には、もちろん「主訴とその程度」が最大のポイントです。

しかし、問診という作業を、医学的合理性を個々の患者にどの程度適用するか判断するためのものだと考えれば、受診の経緯を重視する理由を納得してもらえるのではないでしょうか。

次に大きな意味を持つポイントは、「対症療法や経過観察だけを希望しているのか、精査や必要な治療まで希望しているのか」です。

問診における要点は、

  1. 自分の判断で自発的に受診したのか、他者の指示によって受診したのか
  2. 対症療法や経過観察だけを希望しているのか、精査を希望しているのか

という二つの観点から、患者を4つのタイプに分けることです。

そのうえで、「主訴とその程度」に基づき、医学的合理性をどこまで適用するのが妥当なのか、その適否や濃淡を判断します。

Type I|自分の判断で受診し、精査を希望している

自分の判断で自発的に受診し、精査を希望している患者は、医学的に合理的な診断と治療を望んでいると考えてよいでしょう。

主訴とその程度を聴取し、医学的合理性のある検査や治療へ進みます。

場合によっては、この段階で他院へ紹介しても構いません。

Type II|自分の判断で受診し、対症療法のみを希望している

自分の判断で受診したものの、対症療法や経過観察だけを希望している患者は、恐怖心、時間的制約、経済的事情などから、検査をあまり希望していない可能性があります。

主訴とその程度に基づいて、精査の必要性の有無を説明したうえで、本人が希望する対症療法や経過観察にとどめます。

ただし、症状がしばらく継続する場合には、精査が必要になる可能性があることを説明しておきましょう。

Type III|他者の指示で受診し、精査を希望している

上司や学校などから指示されて受診したにもかかわらず、精査を希望している患者は極めて少数です。

このタイプの患者は、指示された受診を、検査を受けるよい機会だと考えている可能性があります。

上司や学校が、なぜ受診を指示したのかを聞き取り、必要な精査へ進みます。

場合によっては、この段階で他院へ紹介しても構いません。

Type IV|他者の指示で受診し、対症療法のみを希望している

上司や学校から指示されてなかば嫌々受診し、対症療法や経過観察だけを希望している患者は、患者本人が医学的に合理的な精査や治療を積極的に希望している可能性は低いと解釈します。

上司や学校が受診を指示した理由をある程度聞き取ったうえで、対症療法や経過観察にとどめます。

このタイプの患者に、本人が希望していない精査や治療を一方的に押しつける必要はありません。

ただし、主訴やその程度から、緊急性や重篤性が疑われる場合は別です。必要性を説明し、医学的に妥当な対応を提案します。

初診時には受診動機と希望を直接尋ねてもよい

初診時の問診で、医師が最初に発する質問は、「今日はどうしましたか?」であることが一般的です。

しかし、視診上問題がなく、バイタルサインも正常で、重症感がまったくない会社員などには、診察の冒頭で単刀直入に、

「今日はご自身の判断で受診されたのですか。それとも、会社などから受診するように言われたのですか」

「今日は症状を和らげる対処だけを希望されていますか。それとも、原因を詳しく調べたいですか」

と尋ねてもよいと考えます。

彼らの多くは、業務時間中に都合をつけて受診しています。彼らにとって、時間は大切です。

患者の問題意識と希望を医師ができるだけ早くくみ取ることは、患者のストレスだけでなく、医師のストレスも軽減します。

単刀直入な質問ほど態度が重要になる

単刀直入なクローズドクエスチョンによって患者に警戒心を抱かせないためには、『初診問診をストレスなく進める方法|柔和な態度とクローズドクエスチョン』で述べたように、医師は真摯かつ柔和で受容的な口調と態度で患者に接する必要があります。

どの患者に対しても、そのような態度と口調を保つには大きな努力が必要です。医師にとって、それ自体がストレスになることもあります。

しかし、その結果として診察が滞りなく進み、患者との対立や会話の行き違いが減れば、午後の診察を終えた時点での総ストレスは大幅に軽減されているはずです。

患者がなぜ受診し、診療に何を望んでいるのかを短時間で把握する。

そのうえで、主訴とその程度に基づき、医学的合理性をどこまで適用するのかを決める。

これが、初診問診における「次の一手」の決め方です。

皆さんのお役に立てることを願っています。

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作成者: 理屈コネ太郎

元消化器内視鏡医・産業医。現在は社会・人間行動・構造分析をテーマに執筆活動を行う。定年退職後はヨット・ボート・クルマなど趣味と構造研究の日々を過ごす。

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