初診問診をストレスなく進める方法|柔和な態度とクローズドクエスチョン

初診時の問診では、限られた時間の中で患者の訴えや希望を把握し、「次の一手」を決定する必要があります。しかし、患者の話が脱線したり、医師の質問がうまく伝わらなかったりすると、患者と医師の双方に余計なストレスが生じます。

私『理屈コネ太郎』が初診時の問診で最初に気を配るのは、患者から「この医師は真摯かつ柔和で受容的な人だ」と思われる口調と態度を保つことです。その理由は、患者の本音や本当の問題意識を聞き出すために、患者の防御本能を刺激しないことにあります。

外来を受診する患者の訴えには、身体疾患だけでなく、社会的・個人的な事情が複雑に関係している場合があります。なかには詐病や仮病もあります。

臨床医は、患者の訴えをそのまま受け取るだけではなく、その背後に別の病態や事情が隠れていないかを常に疑わなければなりません。特に初診問診では、患者のナラティブに引きずられてはいけません。

目の前に現れた患者のどこかに、主訴と関連しているが、まだ見えていない問題があるかもしれないと考えるのが、臨床医の仕事です。患者には真摯かつ柔和で受容的に接しながら、頭の中では冷徹に可能性を検討します。

だからこそ、患者の本音や本当の問題意識を短時間で把握する必要があります。一人の患者の問診に必要以上の時間を費やしている間にも、待合室には、胃痛だと思っている急性冠症候群の患者や、穿孔寸前の憩室炎の患者、その日に検査をすれば発見できる悪性腫瘍の患者が待っているかもしれません。

そのうえで、緊急性や重篤性が高くないと判断できれば、初診時の問診だけで正確な病名まで確定しようとせず、患者の問題意識と希望を把握できれば十分です。

そのために確認すべきポイントは、①主訴とその程度、②本人の問題意識による受診かどうか、③精密検査を望んでいるのか、経過観察を含む当面の対処を望んでいるのか、の3点です。

本記事では、患者の防御本能を刺激しない態度を保ちながら、回答を「はい」「いいえ」「分からない、または覚えていない」に収束させるクローズドクエスチョンを用い、患者との対立を避けて効率的に問診を進める方法を述べます。

なお、以下はいつものように、私『理屈コネ太郎』の管見による私見です。その点をご理解のうえ、読み進めてください。

初診時に把握すべき3つのポイント

結論を先に述べます。

診察中は、どのような患者に対しても、たとえ演技であっても、患者から「この先生は真摯かつ柔和で受容的な人だ」と思われるような口調と態度で接してください。

そのうえで、緊急性や重篤性が高くないと判断できれば、初診時の問診では患者の問題意識と希望をくみ取ることができれば十分だと心得ましょう。正確な病名を、この段階で確定する必要はありません。

くみ取るべきポイントは、次の3点です。

  1. 主訴とその程度
  2. 患者本人の問題意識による受診なのか
  3. 精密検査を希望しているのか、経過観察を含む当面の対処を希望しているのか

初診ではクローズドクエスチョンを中心にする

現在も同様かは確認できませんが、問診の際には、医師の質問はできるだけオープンクエスチョンにするべきだと、一時期盛んに言われていました。

しかし、私は、これは間違っていると考えています。

問診、特に初診時に医師が患者へ行う質問は、回答が「はい」「いいえ」「分からない、または覚えていない」に収束する質問であるべきです。

クローズドクエスチョンでは、患者が緊張してうまく回答できないという意見もあるでしょう。しかし、私はそうは考えません。

医師の口調や態度が柔和で受容的であれば、患者は過度に緊張せず、クローズドクエスチョンにも回答してくれます。

そのような態度を保ちながら、先ほどの3点を知るために端的なクローズドクエスチョンで尋ねることが、最もストレスが少なく、効率的な問診であると考えます。

患者にナラティブを自由に展開させない方法として、高圧的な態度を取ったり、関心がないことを露骨に示したりする医師もいます。確かに、そのような態度を取れば、患者の話を短く切り上げることはできます。

しかし、初診問診の時点では、患者がどのような問題を抱えているのか、まだ十分には分かっていません。単に話を聞いてほしくて受診した人なのか、重大な病態や切迫した事情をうまく説明できずにいる人なのかを、問診前から決めつけるべきではありません。

だからこそ、初診時には柔和で受容的な態度が必要です。

ただし、それは患者に自由に語らせるためではありません。医師がクローズドクエスチョンによって問診を主導しながらも、患者側には「自分の話を聞いてもらえた」という充足感をある程度残すためです。

ありていに言えば、「十分に話を聞いてもらえた」という患者の充足感には、多少の錯覚が含まれていても構いません。患者に長時間傾聴する余裕は、通常の外来を担当する臨床医にはないからです。

患者には真摯かつ柔和で受容的に接しながら、ナラティブを自由には展開させず、必要な情報だけを短時間で把握する。それが、初診問診における臨床医の技術です。

難しい患者にも反応しない

もちろん、患者にはさまざまな人がいます。

理知的で抑制的な態度の人もいれば、礼儀を欠き、権利意識が強く、最初からけんか腰の人もいます。

後者のような患者であっても、問題が生じない程度に柔和で受容的な口調と態度を身につけましょう。

また、一部の患者が示す敵対的、あるいは挑発的な態度を正面から受け止めてはいけません。

たとえ医師の内心で怒りの炎が激しく燃え上がっても、それをできるだけ患者に悟られないようにすべきです。

なぜなら、できるだけ対立の度合いを下げた状況で、既述の3点を短時間で確認したいからです。

話が脱線したら穏やかに戻す

柔和で受容的な口調と態度を保ちながら、患者に対して端的なクローズドクエスチョンで尋ねます。

ただし、中途半端にニヤニヤした表情は禁物です。

患者の話が脱線しそうになったら、話の途中であっても、穏やかに、話が脱線しつつあることを伝えてください。

そのうえで、知りたいポイントを再びクローズドクエスチョンで尋ねます。

話に割って入っても、まったく構いません。その方法が、患者から見て柔和で受容的であればよいのです。

医師の態度を制御する方が総ストレスは減る

ここまで読んだ方は、「この方法では、かえってストレスがたまりそうだ」と思っているかもしれません。

しかし、そうではありません。

何十人もの患者を診察する外来では、この方法で診察する方が、その日全体のストレスが大幅に軽くなります。

ストレスの原因が、患者と医師の間の対立にあるとすれば、対立を最小化することによるストレス軽減効果の方が、医師が自分の口調や態度を制御するストレスよりも、はるかに大きいからです。

要するに、次のようなことです。

医師は、対立の要因を絶対に作ってはなりません。

患者が作った対立要因にも、反応してはなりません。

そのうえで、先ほどの3点を把握するためのクローズドクエスチョンをすればよいのです。

逆に言えば、その3点を知るまでの間だけ、目の前の患者に対して適切な口調と態度で振る舞えばよいのです。

習熟すれば自然にできるようになる

このように考えると、患者1人あたりにかかる時間も、医師が感じるストレスも、平均すれば相当に軽減できると思いませんか。

最初は、なかなかやりづらいものです。

しかし、習い性になるといいます。最初は強く意識しなければできない行動でも、習熟すれば、いつの間にか無意識にできるようになります。

問診は、次の一手を決定するための言語的な情報交換です。

次の一手を決めるための具体的な考え方については、『初診問診をストレスなく進める方法②|患者を4タイプに分けて次の一手を決める』を読んでください。

若い医師の皆さんのお役に立てることを願っています。

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作成者: 理屈コネ太郎

元消化器内視鏡医・産業医。現在は社会・人間行動・構造分析をテーマに執筆活動を行う。定年退職後はヨット・ボート・クルマなど趣味と構造研究の日々を過ごす。

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