OM-1と8mm F1.8 Fisheyeで船上撮影|波浮港と航海風景を魚眼レンズで写す

2022年11月に購入したOM SYSTEMのOM-1は、コンパクトで持ち出しやすいため、現在では外出時にたびたび携行するカメラになっています。特に、マイボートで出航するときには、何本かのレンズとともに必ず船へ持ち込んでいます。

揺れる船上ではレンズ交換が難しいため、通常は汎用性の高い12-100mm F4を装着しています。しかし、海況が穏やかなときや目的地へ上陸したときには、いつもとは違う写真を撮りたくなり、8mm F1.8 Fisheyeを使うことがあります。

魚眼レンズは、目の前の景色を正確に記録するだけのレンズではありません。大きく湾曲した像が、そのとき自分が感じていた空間の広がり、視線の忙しさ、焦りや惜別感と、不思議なほどよく重なることがあります。

今回は、年末年始に東京湾から伊豆大島の波浮港へ向かった際に、OM-1と8mm F1.8 Fisheyeで撮影した写真を掲載します。立派な作例というより、魚眼レンズを使ったことのない人が、船上や港でどのような写真を撮れるのかを想像するための参考になれば幸いです。

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船上ではレンズ交換も簡単ではない

『理屈コネ太郎』の船は、それほど大きくありません。揺れるときは、しっかり揺れます。

そのような状況では手元を安定させることが難しく、レンズ交換もままなりません。そのため、基本的には最初から12-100mm F4を装着しています。

このレンズがあれば、たいていの場面では不自由しません。日常的な記録写真を撮るには、十分に間に合ってしまいます。

しかし、あまり揺れていないときや目的地へ上陸したときには、何かいつもと違う面白い写真を撮りたくなります。

そんなときに、8mm F1.8 Fisheyeを気まぐれに装着し、オートブラケット機能を使って気ままに連写します。

波浮港を魚眼レンズで撮る

今回、年末年始に2回ほど、東京湾から伊豆大島の波浮港へ行ってきました。

『理屈コネ太郎』は、どれほど素晴らしい機材を使ってもダサい写真しか撮れないので、「作例」と呼ぶのはおこがましい気がします。

それでも、8mm F1.8 Fisheyeではどのような写真が撮れるのか、興味はあるけれど魚眼レンズを使ったことのない人には、多少のヒントになるかもしれません。

最初の写真は、伊豆大島南東端にある波浮港の最奥から、港全体を撮影した一枚です。

【写真1:波浮港の最奥から港内を撮影】

魚眼レンズによる歪み具合が、『理屈コネ太郎』の記憶とよく符合しています。

広いけれど狭い。狭いけれど広い。

波浮港で感じた空間は、そんな少し矛盾した印象でした。

魚眼レンズは、現実の形を正確に再現するレンズではありません。しかし、その歪みが、かえって自分の記憶に残っている空間の印象へ近づくことがあります。

特に用事もないので、写真を撮った後は東京湾へ向けて帰途につきました。

操船中の視線の忙しさを写す

次の写真は、帰途の操舵席から撮影したものです。

【写真2:航行中の操舵席と航海計器】

この写真も、そのときの『理屈コネ太郎』の印象に近いものです。

眼前の地図や電子機器に注意を払いながら、周辺海域に衝突しそうな船舶や浮遊物がないか、絶えず視線を巡らせています。

一つのことだけに集中できないときの人間の頭の中は、こんなふうなのかもしれません。

魚眼レンズで撮ったこの写真を見て、そう思いました。

画面中央の航海計器だけでなく、前方の海面、窓、操船装置までが一つの画面に収まっています。その代わり、それぞれの位置関係や形は大きく歪んでいます。

しかし、複数の対象へ同時に注意を向けていた自分の感覚としては、むしろこちらの方が正確な気もします。

船内全体を見渡そうとする焦り

【写真3:魚眼レンズで撮影した船内と操舵席】

写真は、少し引いた位置から操舵席と船内を撮影したものです。

少し冷静になり、今、眼前で起きている事象のすべてを捉えようと必死になっている。その焦りが記憶の歪みになっているような写真です。

複数のことを同時に考え、判断し、処理しなければならないとき、人間の心象風景も、このように歪んでいるのかもしれません。

魚眼レンズでは、実際よりも広い範囲を一枚に収められます。

しかし、広く写るからといって、落ち着いた写真になるとは限りません。むしろ多くのものが同時に入り込むことで、その場で感じていた情報量の多さや、視線の忙しさが強調されます。

【写真4 実際以上に広く見える室内】

伊豆大島を後にしたときの惜別感

【写真5:船尾から見た航跡と海】

最後の写真は、船尾から航跡と遠ざかる海を撮影したものです。

この写真には、後方へ去っていく伊豆大島に対する、不思議な惜別感が表現できている気がします。

写真を見ると、

「そうそう、あのときはそんな気持ちだった」

と思い出せます。

目で見た景色を、そのまま正確に保存した写真ではありません。魚眼レンズによって水平線も空間も大きく曲がっています。

それでも、その歪みを含めた写真の方が、そのとき自分が感じていた海の広さ、船の運動、島から離れていく時間の感覚に近いのです。

魚眼レンズは記憶の形を写すのかもしれない

8mm F1.8 Fisheyeは、目の前の景色を正確に記録するためだけのレンズではありません。

実際の空間を大きく歪めながら、撮影した人間がその場で感じた広さ、狭さ、忙しさ、焦り、寂しさのようなものを、写真の中に残してくれることがあります。

魚眼レンズで撮影した写真が、現実とは違うのに、記憶とはよく符合する。

そのことが面白いのです。

写真って、面白いですね。

【メタディスクリプション】

OM SYSTEMのOM-1と8mm F1.8 Fisheyeを使い、伊豆大島の波浮港や航海中の船内、海上風景を撮影しました。魚眼レンズ特有の歪みが、船上で感じた空間の広がりや焦り、惜別感まで写し出す面白さを写真とともに紹介します。

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著者紹介は
理屈コネ太郎の知ったか自慢|35歳で医師となり定年後は趣味と学びに邁進

作成者: 理屈コネ太郎

元消化器内視鏡医・産業医。現在は社会・人間行動・構造分析をテーマに執筆活動を行う。定年退職後はヨット・ボート・クルマなど趣味と構造研究の日々を過ごす。

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