レンタルカートでクルマの運転技術は磨ける?|ドラテクを調律する理由

結論から言うと、レンタルカートは、クルマのドライビングスキルを「調律」するのに適した乗り物です。

ここでいうチューニングとは、部品を交換して性能を高めることではありません。tune本来の意味である「調律」です。

減速し、旋回し、加速する。そのとき、自分の操作に対して車両がどのように反応するのか。こうしたドライビングの基本を原点に戻って確かめるには、レンタルカートは非常に優れた原器になります。

カートの技術をそのままクルマへ持ち込めるわけではない

カートと一般的な四輪車では、構造も挙動も異なります。

カートには通常のクルマのようなサスペンション機構がなく、デファレンシャルギアもありません。車体は軽く、重心も低く、運転者の身体が挙動へ与える影響も大きくなります。

したがって、カートで身につけた操作や感覚のすべてが、そのまま四輪車へ当てはまるわけではありません。

カートと四輪車の具体的な違いについては、関連記事カートとクルマのコーナリングの違い|前輪ブレーキの有無が生む走りの差で詳しく説明しています。

それでも私は、極めて原始的で軽量なミッドシップ車ともいえるカートには、タイムアタック的なドライビングの基本が凝縮されていると考えています。

荷重移動とグリップの関係を体感できる

レンタルカートの大きな魅力は、自分の操作とタイヤのグリップとの関係が分かりやすいことです。

ブレーキによって前輪へ荷重を移し、その荷重を旋回へつなげる。旋回中の速度を管理し、カートの向きが変わってから加速する。

減速、旋回、加速という一連の操作がうまくつながれば、カートは速く走ります。逆に、どこかで操作が乱れれば、その結果は挙動やラップタイムに現れます。

つまりレンタルカートは、荷重移動によってタイヤのグリップをどう活用するか、その基本を繰り返し試せる乗り物です。

ブレーキを少し遅らせたらどうなるのか。

旋回開始を早めたらどうなるのか。

ステアリングを切りすぎると、どの程度失速するのか。

立ち上がりを重視したラインと、進入速度を重視したラインでは、どちらが速いのか。

さまざまな考え方を比較的安全な環境で試し、その結果を確認できます。

マシンの調整ではなく、自分の操作に集中できる

レンタルカートでは、利用者が車両のセッティングを細かく変更することは、基本的にありません。

競技用のレーシングカートでは、タイヤ、空気圧、ギア比、車体剛性、アライメントなど、多くの要素を調整します。しかし、レンタルカートでは、施設側が用意した車両をそのまま使用します。

そのため、マシンのセッティングに悩まず、自分の運転操作へ集中できます。

もちろん、レンタルカートにも車両ごとの個体差はあります。エンジンの状態、タイヤの摩耗、ブレーキの感触などが、完全に同一であるとは限りません。

それでも、自分でセッティングを変更しながら走るモータースポーツと比べれば、ラップタイムに対する運転者の操作の影響を、比較的分かりやすく確認できます。

同じコースを繰り返し走り、操作を少しずつ変え、その結果をタイムで比較する。

この単純な反復が、ドライビングスキルの調律になります。

カートで得た感覚を四輪車へどう活かすか

レンタルカートで試行錯誤して得た操作を、そのまま四輪車へ移植するのではありません。

重要なのは、カートで得た考え方を、条件の異なる四輪車ではどう使うかを考えることです。

例えば、カートではブレーキやステアリングの操作に対して、車体が非常に素早く反応します。一方、一般的なクルマにはサスペンションがあり、車重も大きいため、荷重の移動には時間がかかります。

カートで急激な操作が成立したからといって、同じ速さで四輪車を操作すればよいわけではありません。

しかし、

  • ブレーキによって前輪のグリップを作る
  • ステアリングを切りすぎると抵抗が増える
  • 旋回中に速度を落としすぎると立ち上がりが遅れる
  • 車両の向きが変わる前に加速するとラインが膨らむ
  • 一つの操作の乱れが、次の操作へ影響する

といった基本的な関係は、四輪車を運転するときにも役立ちます。

カートで得た答えを四輪車へ持ち込むのではなく、カートで覚えた問いの立て方を持ち込む。

この点に、レンタルカートをドライビングの原器として使う価値があります。

レンタルカートは独立したモータースポーツでもある

ここまでは、四輪車のドライビングスキルを磨くという観点からレンタルカートを取り上げました。

しかし、レンタルカートは、クルマの運転技術を練習するためだけの道具ではありません。

カートそのものが、一般的な四輪車とは異なる、独立したカテゴリーのモータースポーツです。

軽量な車体、身体に直接伝わる加減速、路面に近い視点、素早い挙動。絶対的な速度がそれほど高くなくても、運転者が受ける感覚は強烈です。

乗り物を速く、思い切り、しかも比較的安全な環境で走らせたい人にとって、これほどよくできた遊びはなかなかありません。

四輪車のドラテクを磨くという目的を忘れて、レンタルカートそのものに夢中になる人がいるのも当然です。

一人で手ぶらでも始められる

あまり知られていませんが、レンタルカートを走らせられるサーキットは全国各地にあります。

私の知る範囲では、多くの施設が安全管理に力を入れており、場内も比較的清潔で、初めての人でも入りやすい雰囲気があります。

ヘルメットやグローブを貸し出している施設も多く、予約や当日の受付だけで走行できる場合があります。

自分のカートを所有する必要も、運搬するための車両を用意する必要もありません。

一人で手ぶらで出かけ、その日のうちに走れることは、レンタルカートの大きな魅力です。

ただし、服装や靴の条件、年齢、身長、体重などの利用基準は施設によって異なります。初めて訪れる場合は、事前に公式サイトなどで確認しておくと安心です。

まとめ

レンタルカートは、クルマのドライビングスキルを調律するのに適した乗り物です。

カートと一般的な四輪車では構造も挙動も異なるため、操作をそのまま転用できるわけではありません。

それでも、減速、旋回、加速のつながりや、荷重移動とタイヤのグリップとの関係を考えるうえで、カートは非常に優れた教材になります。

操作を変えれば、挙動が変わる。

挙動が変われば、ラップタイムも変わる。

その結果を見ながら、次の操作を考える。

この繰り返しによって、自分のドライビングを少しずつ調律できます。

まだレンタルカートを経験したことがない方には、自分の運転技術を見直す目的でも、ただ純粋に思い切り走る目的でも、一度試してみることをおすすめします。

レンタルカートは、安全に配慮された場所で、乗り物を速く走らせる楽しさを全身で味わえる、実に奥深い遊びです。

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作成者: 理屈コネ太郎

元消化器内視鏡医・産業医。現在は社会・人間行動・構造分析をテーマに執筆活動を行う。定年退職後はヨット・ボート・クルマなど趣味と構造研究の日々を過ごす。

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