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プレジャーボートの購入で後悔しないコツは何か?
本記事では、私(理屈コネ太郎)の経験と見聞を踏まえ、後悔の典型理由を4つに整理して解説します。対象はプレジャーボート(船外機・船内外機・船内機含む)ですが、価格・税・維持費などは事前調査で精度高く見積もれるため、ここでは「乗りはじめてから判明する落とし穴」に絞ってお伝えします。
価格や維持費の全体像は、以下の記事もどうぞ:
・『小型船舶購入ガイド|費用・維持・選び方の全て』
・『とある友人の船艇購入価格(各種オプション込)』
要約(30秒でわかる結論)
| 後悔の主因 | 典型パターン | 予防策の要点 |
|---|---|---|
| ① 乗り心地が想像以上に荒い/扱いにくい | 波衝撃・ロール・視界の死角 | 艇型・サイズ選定、視界とデッキ動線の現地確認、減揺装備の検討 |
| ② 離接岸が難しくロープ作業が重労働 | 風・潮・混雑で難度上昇 | 練習計画、補助装備(スラスター等)、乗員体制の現実観 |
| ③ 出航回数が想定より少ない | 海況/不具合/改修待ち | 運用計画と整備計画をセットで、代替プラン(陸遊び)も準備 |
| ④ 実は「船そのもの」が好きではない | 釣り道具の延長として購入 | 費用対効果の再計算、遊漁船という選択肢の比較 |
① 乗り心地と扱いにくさ(想像より荒い・硬い)
海は常に動き、航行中はピッチング(上下動)、停泊中はロール(横揺れ)が大きくなります。速度を上げれば安定する場面もありますが、海面からの離水→着水時の衝撃は体に響きます。視界についても、構造物の死角が多い艇は常時見張りの負荷が高く、複数クルー前提のデザインをソロや少人数で扱うとストレスを感じがちです。
私は減揺のためSeakeeper Rideを導入し、体感の改善を得ました(詳細は『Seakeeper Ride装着から16カ月|“効いていることを忘れる”静かな技術』をご参照ください)。
対策の要点
艇型・サイズ:同クラスでも喫水・デッドライズ・重量で乗り味は激変。可能なら実艇試乗を。とはいえ、数回乗ったくらいでは分からないというのも本当のところ。しかし、試乗しないより多少は情報量が増える事はたしか。
視界・動線:ヘルム位置から四方の死角、デッキの移動のしやすさを事前確認。
装備:トリム/フラップ/減揺デバイスの後付け余地を確保。
② 離接岸の難易度とロープワークの現実
離接岸は風・潮・混雑・係船設備で難度が跳ね上がります。ロープ作業は中腰・重量物を伴い、体力と回数で負担が蓄積。シングルハンドは達成感が大きい一方、無理なく反復できる手順と装備が必須です。家族・友人の協力は毎回は得られない前提で計画しましょう。
対策の要点
練習計画:風弱・非混雑の時間帯に同じ桟橋で反復。動画で自己採点も有効。
補助装備:バウ/スターンスラスター、パワーウィンチ、ロープガイドなどでハンドリングを軽く。
人員計画:最低人数で回る手順(係留具・フェンダーの配置含む)を平時から標準化。
具体的手順は『初めてのマイボートの選び方|全体的な事柄』にまとめています。
③ 出航回数が伸びない(海況・故障・改修待ち)
天候・海況での出航禁止, 不具合発生, 使用目的に合わせた改修などで、数週間〜数か月も海に出られないことは珍しくありません。私も2艇とも改修待ちで出航できない期間を経験しました。乗れない時間はモチベーションを下げ、回遊機会がさらに減る負のループに。
対策の要点
運用と整備を一体設計:定期整備・改修の時期をハイシーズンから外す。
代替プラン:陸上メンテ/艤装DIY/操船イメトレを準備し、熱を切らさない。
保証と部品:輸入艇は部品リードタイムを見込む。予防交換は可用性の投資。

理屈コネ太郎の希望に合わせるため改修となった愛艇たち 最後に4つ目の「船が本当に好きでない人」について述べたい。
④ 船が本当に好きか?(目的と費用の再点検)
釣りの道具として船を捉えると、費用・時間・手間に対してリターンが見合わないと感じる人も多いです。もっとも高い釣り具とまで言う人もいる。とくに最近は水産資源の減少が顕著らしく、釣果がかなり減少していて、ワリに合わないと愚痴をこぼす人も多い。詳細は➡釣果目的のプレジャーボート所有は間尺に合わない
遊漁船は高コスパ・準備不要という理由でマイボートに替わる強力な選択肢。
一方、「船そのもの」への愛着があれば、操る・整える・学ぶという過程自体がリターンになります。船の楽しみ方の一環としての釣りであれば、船にかかる費用や手間は釣りの費用としてカウントしませんから。
対策の要点
費用対効果の比較:年間の航行日数×満足度で、自艇 vs 遊漁船を現実計算。
同乗体験を増やす:購入前に知人所有の複数艇種・複数シチュエーションで釣りのしやすさや費用対効果をできるだけ把握。
「小さく始める」:釣り目的なら小さな艇からのステップアップは失敗リスクを抑制できる。この場合、24ftで4人(キャプテン含む)に納得感が高いという実感値があります。
4つの落とし穴を回避するチェックリスト
試乗:想定海況に近い条件。少なくとも2くらいは試乗した方がよい。
死角確認:ヘルムから四方の視界とデッキ動線
離接岸計画:標準手順と最小人員、必要装備の見取り図
整備計画:保証範囲と部品リードタイム、オフシーズン改修の枠取り
費用対効果:自艇 vs 遊漁船の年間モデル
“船そのもの”の動機:操る・整える過程を楽しめるか?
まとめ
後悔の主因は乗り味/視界, 離接岸とロープ作業, 出航できない期間, 船そのものへの動機不足の4つ。
艇選定・装備・手順・整備計画を具体化すれば、後悔は大きく減らせます。
迷ったら小さく始めて検証→段階的に拡張が現実的です。
よくある質問(FAQ)
Q. 乗り心地はサイズを上げれば必ず改善しますか?
A. 改善傾向はありますが、艇型・重量・デッドライズ・喫水・船体形状で体感は大きく変わります。サイズだけで判断せず実艇試乗を。
Q. 離接岸が不安です。最初に投資すべき装備は?
A. フェンダー追加・クリート位置の最適化・ライン整備が費用対効果大。余裕があればバウ/スターンスラスターも。
Q. 出航日数を増やすコツは?
A. 天候の観察習慣、早朝〜午前中の短時間出航、整備の前倒しが効きます。
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