血統・血縁・血脈の違い ——血のつながり、系譜の辿り方、そして流れ

血統とは、血縁関係を一定のルールに従って、系譜として辿ることができるものです。

これが、血統を理解するうえで最も重要なポイントです。

「血統」「血縁」「血脈」は、どれも血のつながりに関係する言葉ですが、見ているものが違います。
大まかに言えば、次のように整理できます。

血統は、血縁関係の辿り方。
血縁は、血のつながりそのもの。
血脈は、血や系譜が続いていく流れ。

この記事では、血統、血縁、血脈の順で、それぞれの意味を整理します。


Contents

血統とは何か

血統とは、血縁関係の中から、一定のルールに従って辿ることのできる系譜のことです。

血統は、単に「血がつながっている」という意味ではありません。
血のつながりである血縁の中から、どの親からどの子へ、どのような基準で系譜を辿るのかが定められているものです。

たとえば、次のようなものは、血縁関係を辿るためのルールになりえます。

父から子へ辿る。
母から子へ辿る。
父から息子へ辿る。
母から娘へ辿る。
長子へ辿る。
性別を問わず、親から子の一人へ辿る。
特定の地位や家督を継いだ子へ辿る。

ここで重要なのは、血統は、ただ一つのルールに拠って辿られるという点です。

父から息子へ辿るのも、ルールになりえます。
母から娘へ辿るのも、ルールになりえます。
性別を問わず、親から子の一人へ辿るのも、ルールになりえます。

しかし、どれか一つのルールが採用されたなら、他の辿り方は、その血統を辿るルールとしては採用されません。
これが血統の考え方です。

つまり、血統とは「血縁がある人を広くすべて含めるもの」ではありません。
血縁関係の広がりの中から、採用された一つのルールに従って、系譜として辿られる線が血統です。

なお、ここでいう「一つのルール」とは、必ずしも単純な条件一つだけを意味しません。
たとえば「男系男子」というルールは、「男系であること」と「男子であること」を含む一つの継承ルールです。
複数の条件を含んでいても、それが一つの継承基準として採用されているなら、そのルールに従って血統を辿ることになります。


血統は「血縁の中から取り出された線」である

血縁関係は、広く枝分かれします。
親には複数の子がいることがあり、その子にもまた複数の子がいることがあります。
そのため、血縁は網の目のように広がっていきます。

しかし、血統はその網の目全体ではありません。
血統は、血縁関係の広がりの中から、一定のルールによって取り出された系譜です。

たとえば、ある人物Aに、子B・子C・子Dがいたとします。
B・C・Dは、いずれもAと血縁関係にあります。

しかし、「長子が継承する」というルールなら、Aから長子へと血統を辿ります。
「父から息子へ辿る」というルールなら、父と息子の関係を通じて血統を辿ります。
「性別を問わず、親から子の一人へ継承する」というルールなら、その選ばれた子を通じて血統を辿ります。

この場合、継承しなかった子に血縁がないわけではありません。
血縁はあります。
ただし、そのルールで辿る血統の線には含まれない、ということです。


血統を成立させる二つの条件

血統を成立させるには、少なくとも二つの条件が必要です。

一つ目は、各世代に血縁関係があること。
二つ目は、その血縁関係を辿るためのルールがあること。

たとえば、次のような系譜があるとします。

Aから、子Bへ継承される。
Bから、子Cへ継承される。
Cから、子Dへ継承される。

このとき、A・B・C・Dの間に親子としての血縁関係があり、なおかつ「親から子の一人へ継承する」というルールに従って辿ることができるなら、これは血統と呼ぶことができます。

ここで大切なのは、子B・子C・子Dの性別ではありません。
「性別不問で、親から子の一人へ継承する」というルールを採用しているなら、そのルールに従って辿られる血縁関係は血統です。

反対に、「父から息子へ辿る」というルールを採用しているなら、母から娘へ辿る線や、性別不問で子の一人へ辿る線は、その血統のルールにはなりません。

血統とは、複数の辿り方を都合よく混ぜるものではありません。
採用された一つのルールに従って、血縁関係を一貫して辿るものです。

したがって、血統そのものは、あらかじめ男系や女系だけに限定される概念ではありません。
男系も、女系も、父から息子へ辿る系譜も、母から娘へ辿る系譜も、長子継承も、性別不問の継承も、いずれも血統の形式になりえます。

ただし、ある血統において一つのルールが採用されたなら、その血統はそのルールに従って辿られます。
別のルールで辿った系譜は、別の血統としては説明できても、同じ血統の継続としては扱われません。

ちなみに、日本の皇位継承は、歴史的には一貫して男系によって継承され、現行の皇室典範では「皇統に属する男系の男子」が継承すると定められています。そのため、日本の皇統を男系、現行制度上は男系男子というルールで辿る血統として捉える立場からは、女系天皇の登場は、その意味での皇統の断絶を意味します。


血縁とは何か

血縁とは、血のつながりによって成立する関係のことです。

親と子、祖父母と孫、兄弟姉妹、叔父・叔母と甥・姪、いとこなどは、いずれも血縁関係にあります。
血縁は、ある人とある人の間に「血のつながりがあるかどうか」を示す言葉です。

たとえば、ある人物Aに子Bがいる場合、AとBの間には血縁があります。
Bに子Cがいれば、AとCの間にも、祖父母と孫としての血縁があります。

血縁は、特定の一本の線だけを意味するものではありません。
人には通常、父方・母方の双方に血縁があります。
また、子が複数いれば、血縁関係は兄弟姉妹やその子孫へも広がっていきます。

つまり、血縁とは、血のつながりによって形成される関係全体を指す言葉です。


血統と血縁の違い

血統と血縁は、似ていますが同じではありません。

血縁は、血のつながりの有無を表します。
血統は、その血縁関係をどのルールで辿るかを表します。

たとえば、ある人に三人の子がいる場合、その三人はいずれも血縁上の子です。

しかし、「長子だけが継承する」というルールなら、血統は長子を通じて辿られます。
「父から息子へ辿る」というルールなら、父と息子の関係を通じて辿られます。
「性別を問わず、親から子の一人へ辿る」というルールなら、そのルールに従って選ばれた子を通じて辿られます。

このように、血縁は広がりであり、血統はその広がりの中からルールによって取り出された系譜です。

一文で言えば、次のようになります。

血縁は、血によるつながりの広がり。
血統は、その血縁関係の中から、一つのルールに従って辿られる系譜。


血脈とは何か

血脈とは、血や系譜の流れ、連続性を表す言葉です。

血脈は、血統や血縁よりも、やや比喩的な響きを持ちます。
単に「誰と誰が血でつながっているか」だけでなく、「ある流れが受け継がれている」という意味で使われることがあります。

たとえば、次のような表現です。

名家の血脈が受け継がれる。
王家の血脈が絶える。
一族の血脈が続く。
師から弟子へ、思想の血脈が流れている。

このように、血脈は生物学的な血のつながりだけでなく、家、氏族、王朝、文化、思想、技芸などの継承にも使われます。

血統が「ルールに従って辿る系譜」であるのに対し、血脈は「続いている流れ」や「受け継がれている連続性」に重点があります。


血統・血縁・血脈の違い

最後に、三つの違いを整理します。

血統は、血縁関係を一定のルールに従って辿った系譜です。
父から息子へ、母から娘へ、長子へ、あるいは性別を問わず親から子の一人へ。
これらはいずれも、血統を辿るルールになりえます。

ただし、ある血統において採用されるルールは一つです。
どれか一つのルールが採用されたなら、その血統はそのルールに従って辿られます。
別のルールで辿った線は、同じ血統の継続ではなく、別の血統の考え方になります。

血縁は、血によって結ばれた関係そのものです。
親子、兄弟姉妹、祖先、子孫、いとこなど、血のつながりがある関係全体を指します。

血脈は、血や系譜が続いていく流れです。
血筋の連続だけでなく、家、文化、思想、技芸などが受け継がれていくことにも使われます。

ごく簡潔にまとめると、次のようになります。

血統は、一つのルールに従って血縁関係を辿るもの。
血縁は、血によってつながっていること。
血脈は、そのつながりや系譜が流れとして続くこと。

血統を考えるときに大切なのは、「血がつながっているか」だけではありません。
その血縁関係を、どのルールによって辿るのかです。

そのルールが明確であり、血縁関係に基づいて世代を一貫して辿ることができるなら、それは血統として成立します。

作成者: 理屈コネ太郎

元消化器内視鏡医・産業医。現在は社会・人間行動・構造分析をテーマに執筆活動を行う。定年退職後はヨット・ボート・クルマなど趣味と構造研究の日々を過ごす。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です